金融市場では、「マーケットメイカー」という存在が市場の円滑な運営を支えています。普段はあまり目立ちませんが、株式や債券、外国為替、そして暗号資産(仮想通貨)の市場でも重要な役割を担っています。
暗号資産市場では、流動性を高めることが市場の成長につながると考えられています。その流動性を陰で支えているのがマーケットメイカーです。
市場でいつでも売買できる環境は、自然に生まれるものではありません。そこには、市場を支える専門的な参加者の存在があります。
マーケットメイカーとは何か
マーケットメイカーとは、金融商品の売値と買値を継続的に提示し、市場でいつでも取引できる環境を提供する事業者や金融機関のことです。
通常の投資家は、自分が売りたい時や買いたい時だけ注文を出します。
一方、マーケットメイカーは市場が開いている間、継続して売買注文を提示し続けます。
この役割によって、市場参加者は相手を探すことなく取引しやすくなります。
なぜ必要なのか
もし売り手しかいない市場では、買いたい人は取引できません。
逆に買い手しかいなければ、売却したい人は現金化できません。
マーケットメイカーは、その間に立って売買を成立させる役割を果たしています。
市場に参加する投資家は安心して売買できるようになり、市場全体の流動性も向上します。
市場が円滑に機能するためには欠かせない存在です。
利益はどこから生まれるのか
マーケットメイカーは慈善事業として活動しているわけではありません。
一般的には、買値と売値の差である「スプレッド」が収益源になります。
例えば、ある暗号資産を99万9,000円で買い取り、100万円で販売すれば、その差額が利益になります。
1回あたりの利益は小さくても、多くの取引を積み重ねることで収益を上げています。
そのため、取引量が多く流動性の高い市場ほど、マーケットメイカーも活動しやすくなります。
価格の急変を和らげる役割もある
マーケットメイカーは、価格変動を完全に防ぐことはできません。
しかし、売買注文を継続して出すことで、一時的な注文不足を補い、価格が極端に動くことを和らげる効果があります。
市場参加者が安心して売買できる環境を維持することも、大切な役割の一つです。
もちろん、大きな経済ニュースや金融危機のような場面では価格は大きく動きますが、平常時には市場の安定に貢献しています。
暗号資産市場でも重要性が高まる
暗号資産市場は24時間365日取引が行われています。
世界中の投資家が参加するため、常に十分な流動性を維持することが求められます。
そのため、多くの暗号資産取引所では専門のマーケットメイカーが売買注文を出し続けています。
機関投資家が安心して取引するためにも、十分な流動性は不可欠であり、その基盤を支える存在としてマーケットメイカーの役割は年々大きくなっています。
市場の透明性との関係
一方で、マーケットメイカーには高い透明性も求められます。
価格形成に大きな影響を与える立場にあるため、不公正な取引や価格操作につながらないよう、各国では監督やルール整備が進められています。
健全なマーケットメイクが行われてこそ、市場参加者は安心して取引できるようになります。
市場の信頼は、適切な制度と公正な運営によって支えられているのです。
今後の暗号資産市場への期待
暗号資産市場では、レバレッジ規制の見直しや機関投資家の参入拡大など、制度整備が進んでいます。
市場参加者が増えれば、マーケットメイカーの活動もさらに活発になり、流動性は一段と高まる可能性があります。
流動性が向上すれば価格発見機能も改善され、日本市場の国際競争力向上にもつながるでしょう。
市場の発展には、投資家だけでなく、こうした市場インフラを支える存在も重要なのです。
結論
マーケットメイカーは、売値と買値を継続的に提示することで、市場に流動性を提供する重要な存在です。
普段は目立ちませんが、投資家が安心して売買できる環境を支え、価格発見機能や市場の安定にも大きく貢献しています。
暗号資産市場が今後さらに成熟した金融市場へ発展するためには、適切な規制の下でマーケットメイカーが十分に機能し、公正で流動性の高い市場を維持していくことが欠かせないでしょう。
参考
日本経済新聞 2026年7月28日 朝刊
変容する仮想通貨(下)レバレッジ緩和、投資誘う 「厳しすぎる」規制にメス 法人の倍率、個人に適用案