オンライン税務調査の導入が進み、企業の情報管理や経理業務は大きく変わろうとしています。
これまで税理士は、決算書や申告書の作成、税務調査への立会いなどが主な役割と考えられてきました。
しかし、電子帳簿保存法への対応やクラウド会計の普及、オンラインツールの活用が進む現在では、それだけでは十分とは言えません。
これからの税理士には、顧問先の情報管理や経理DXを支援し、オンライン税務調査にも対応できる体制づくりをサポートすることが求められています。
今回は、オンライン税務調査時代における税理士の新たな役割について考えてみます。
税務申告だけでは顧問先を守れない時代へ
税務申告は税理士の重要な業務です。
しかし、オンライン税務調査では、申告書だけではなく、その根拠となる電子データや情報管理体制も確認されます。
帳簿が正しく作成されていても、
電子データが整理されていない
必要な資料をすぐ提出できない
社内ルールが整備されていない
という状況では、調査への対応に時間がかかってしまいます。
税理士は、申告書の作成だけではなく、顧問先の管理体制全体を支援することが重要になります。
経理DXの伴走者になる
クラウド会計や電子帳簿保存法への対応は、多くの中小企業にとって難しい課題です。
税理士は制度を説明するだけではなく、
クラウド会計の導入支援
証憑管理の改善
電子データの保存方法
業務フローの見直し
など、実務に即した助言を行うことが求められます。
経営者が安心してデジタル化を進められるよう伴走することが、これからの顧問業務の大きな価値になります。
オンライン税務調査への事前準備を支援する
税務調査は始まってから準備するものではありません。
日頃から、
電子データが整理されているか
必要資料をすぐ提出できるか
メール管理は適切か
アクセス権限は整備されているか
こうした点を確認しておくことが重要です。
税理士は毎月の巡回監査や面談の中で、こうしたチェックを継続的に行うことで、顧問先の調査対応力を高めることができます。
これは「税務調査対策」ではなく、「経営管理の改善支援」と言えるでしょう。
情報管理のアドバイザーになる
オンライン税務調査では、情報管理の質が企業の信頼性にも影響します。
税理士は、
ファイル管理
電子メール保存
クラウド利用
電子帳簿保存法への対応
などについて、顧問先へ具体的な改善提案を行うことができます。
情報管理は本来、経営そのものを支える基盤です。
税理士がこの分野に積極的に関わることで、顧問先の企業価値向上にも貢献できます。
経営者との対話がますます重要になる
デジタル化が進んでも、最終的な経営判断を行うのは経営者です。
税理士は数字を説明するだけではなく、
なぜこの仕組みが必要なのか
どのようなリスクがあるのか
経営にどのようなメリットがあるのか
こうした点を分かりやすく伝える役割も担います。
経営者が納得して取り組めるよう支援することが、真の顧問業務と言えるでしょう。
AI時代だからこそ税理士の価値が高まる
AIやクラウドサービスの進化によって、会計処理やデータ分析の自動化はさらに進むでしょう。
しかし、
企業ごとの事情
経営者の考え方
業種特有の課題
将来を見据えた助言
これらはAIだけでは十分に対応できません。
税理士には、デジタル技術を活用しながら、人だからこそ提供できる判断や助言が期待されています。
オンライン税務調査時代は、税理士の専門性がより重要になる時代でもあります。
信頼される税理士は変化を先取りする
制度が変わってから対応するのではなく、変化を先読みして準備することが、顧問先から信頼される税理士の条件です。
オンライン税務調査への対応もその一つです。
電子帳簿保存法やクラウド会計、情報管理の改善を日頃から支援することで、顧問先は安心して本業に専念できます。
税理士自身も学び続け、新しい技術や制度を積極的に取り入れる姿勢が求められます。
結論
オンライン税務調査時代において、税理士の役割は大きく広がっています。
申告書を作成するだけではなく、経理DXや情報管理、内部統制の整備まで支援することが、これからの顧問業務の重要な使命です。
企業のデジタル化が進む今だからこそ、税理士は「税務の専門家」から「経営を支える伴走者」へと進化することが期待されています。
顧問先の未来を守るためには、変化を恐れず、新しい時代にふさわしい支援を提供し続けることが何よりも重要ではないでしょうか。
参考
税理士界 令和8年6月15日号
税務調査等におけるオンラインツールの利用について 特別寄稿 国税庁課税総括課