金で裏付けられた暗号資産とは何か 金トークンの税率が最大55%から20%程度へ下がる可能性がある理由編

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暗号資産というと、ビットコインのように価格が大きく変動する資産を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、暗号資産の中には実物資産を価値の裏付けとして発行されるものがあります。

その代表例の一つが、金を裏付け資産とする金トークンです。

日本ではこれまで税制が普及の壁の一つになっていましたが、暗号資産を巡る制度改正によって状況が大きく変わる可能性が出てきました。

金トークンとは何か

金トークンとは、金の価値と連動するように設計されたデジタル資産です。

デジタルゴールドと呼ばれることもあります。

ビットコインもデジタルゴールドと表現されることがありますが、両者の仕組みは大きく異なります。

ビットコインには、その価値を直接裏付ける金などの実物資産が存在しません。

これに対して金トークンは、発行者などが保有する金を裏付けとしてトークンを発行し、ブロックチェーン上で取引できるようにします。

つまり、金という昔から存在する実物資産と、ブロックチェーンという新しい技術を組み合わせた金融商品と考えることができます。

日本にも金トークンがある

海外ではテザーゴールドやパックスゴールドなどが代表的な金トークンとして知られています。

日本では三井物産の子会社である三井物産デジタルコモディティーズが、2022年からジパングコインを発行しています。

ジパングコインは1コインが金1グラム相当の価値になるように設計されています。

金価格が上昇すれば基本的にはジパングコインの価格も上昇し、金価格が下落すれば価格も下がるという仕組みです。

スマートフォンなどから24時間365日取引でき、少額から購入できることも特徴です。

一方、日本では金ETFなどと比較すると、これまで金トークンの普及は限定的でした。

2026年6月末時点のジパングコインの発行残高は25億7400万円とされています。

普及を妨げていた税制

金トークンの大きな問題の一つが税金でした。

現在の税制では、暗号資産である金トークンを売却して得た利益は原則として雑所得になります。

雑所得は給与所得などと合算して所得税を計算する総合課税の対象です。

所得が増えるほど所得税率が高くなる累進課税が適用されるため、住民税を含めると最大で55%の税率になる場合があります。

一方、金ETFの売却益は申告分離課税の対象となり、税率は約20%です。

同じ金価格への投資でも、投資する商品の形によって税負担に大きな差が生じているわけです。

この違いは、金トークンを選択するうえで大きなハードルになっていました。

暗号資産の税率が20%程度になる可能性

この状況を変える可能性があるのが、暗号資産を巡る制度改正です。

2026年7月に成立した改正金融商品取引法では、暗号資産が金融商品取引法の規制対象として位置づけられることになりました。

また、2026年度税制改正大綱には、一定の暗号資産について20%程度の申告分離課税の対象とする方向性が盛り込まれています。

金トークンも対象になれば、これまで最大55%になる可能性があった売却益への税率が、金ETFと同程度の約20%になる可能性があります。

ただし、実際にどの暗号資産が対象になるのかなど、制度の詳細を確認する必要があります。

現時点では、すべての金トークンについて一律に税率20%が確定したと考えるべきではありません。

金ETFとの差が縮まる

税制が変更されれば、金トークンと金ETFの競争条件は大きく変わります。

これまでは税制面で金ETFが圧倒的に有利でした。

金トークンの税率が約20%になれば、その差が縮小します。

そうなると、24時間365日取引できることや、少額から購入できることなど、金トークン独自の利便性が注目される可能性があります。

実際に暗号資産交換業者の取り扱いも広がっています。

GMOコインは2026年4月、コインチェックは同年8月からジパングコインの取り扱いを始めました。

制度整備と販売網の拡大が同時に進めば、日本でも金トークンが身近な投資商品になる可能性があります。

金トークンには独自のリスクもある

もっとも、金トークンを金そのものと考えるのは注意が必要です。

金価格に連動するよう設計されていても、投資家が持っているのは金の延べ棒そのものではなく、デジタル上のトークンです。

そのため、発行会社の信用リスクがあります。

発行会社が破綻した場合に資産がどのように保全されるのかを確認する必要があります。

サイバー攻撃やシステム障害など、デジタル資産特有のリスクもあります。

ジパングコインについては、発行会社の破綻に備えて銀行による保証の仕組みが設けられているとされています。

商品ごとに裏付けとなる金の管理方法や投資家保護の仕組みを確認することが重要です。

金そのものの価格変動リスクもある

金は安全資産と呼ばれることがありますが、価格が下がらない資産という意味ではありません。

金価格は世界の金利、インフレ、為替、地政学リスク、中央銀行の購入などさまざまな要因によって変動します。

特に金利が上昇すると、利息を生まない金の相対的な魅力が低下し、価格の下押し要因になることがあります。

金価格に連動する金トークンも当然その影響を受けます。

金トークンには、金そのものの価格変動リスクと、発行会社やシステムなどトークン固有のリスクの両方が存在することになります。

金投資の選択肢が増える

金への投資方法には、金地金、純金積立、金ETFなどがあります。

ここに金トークンという新しい選択肢が加わろうとしています。

これまで金トークンは税制面で不利でした。

しかし、暗号資産への申告分離課税が実現し、金ETFと同程度の税率になれば、投資家にとって比較しやすくなります。

そのとき重要になるのは税率だけではありません。

売買のしやすさ、手数料、保管コスト、発行会社の信用力、裏付け資産の管理方法、換金方法などを総合的に比較する必要があります。

金という古い資産とブロックチェーンという新しい技術の組み合わせが、日本の個人投資家にどこまで受け入れられるのか注目されます。

結論

金トークンとは、金を価値の裏付けとしてブロックチェーン上で発行、取引するデジタル資産です。

日本ではこれまで売却益が雑所得として総合課税され、住民税を含めて最大55%の税率になる場合があることが普及の障壁になっていました。

今後、一定の暗号資産について約20%の申告分離課税が導入され、金トークンも対象になれば、金ETFとの税制上の差は大幅に縮小します。

ただし、税率が下がるから安全になるわけではありません。

金価格そのものの変動に加えて、発行会社の信用リスクやサイバーリスクなど、金トークン独自のリスクがあります。

税制改正は金トークン普及の大きな転機になり得ますが、金ETFや現物の金との違いを理解したうえで選択することが重要です。

参考

日本経済新聞 2026年9月15日 朝刊 金で裏付けの暗号資産、売却益税率55→20%公算

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