老人ホームへ入居した場合も居住用財産になるのか 高齢者の特例適用編

税理士
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高齢化が進む中、自宅を離れて老人ホームや介護施設へ入居する人が増えています。

その後、自宅を売却することになった場合、「もう住んでいないから3000万円特別控除は受けられないのではないか」と不安に思う人も少なくありません。

実は、老人ホームへ入居した場合でも、一定の要件を満たせば居住用財産の3000万円特別控除を受けられる可能性があります。

今回は、高齢者に関係の深い特例の取扱いについて解説します。

老人ホームへ入居しても直ちに対象外にはならない

3000万円特別控除は、自宅を離れた時点で必ず適用できなくなる制度ではありません。

高齢者が介護を必要とするようになり、自宅での生活が困難となって老人ホームへ入居することは、社会的にも一般的な出来事です。

そのため、税法でも一定の条件を満たす場合には、自宅を居住用財産として取り扱うことが認められています。

制度の趣旨は、やむを得ない事情で住めなくなった高齢者まで不利に扱わないことにあります。

入居理由が重要になる

どのような場合でも認められるわけではありません。

重要なのは、自宅を離れた理由です。

介護が必要になったことや、日常生活を送ることが困難になったことなど、生活上の必要性がある場合には、特例の対象となる可能性があります。

一方で、単なる利便性や資産運用上の理由で転居した場合には、通常の居住用財産として判断されるため、個別の状況を確認する必要があります。

空き家となった自宅の管理もポイント

老人ホームへ入居した後、自宅が空き家になるケースは少なくありません。

この場合も、自宅がどのような状態だったかが重要になります。

例えば、

・空き家として維持管理していた

・定期的に清掃していた

・生活用品が残されていた

などの事情は、居住用財産としての性格を判断する材料になることがあります。

反対に、第三者へ賃貸したり、事業用として利用したりすると、特例の適用に影響する場合があります。

売却時期にも注意が必要

老人ホームへ入居した後でも、売却時期によっては特例を受けられる可能性があります。

しかし、売却まで長期間経過すると、適用要件を満たさなくなることがあります。

そのため、施設への入居が決まった段階で、自宅をどのように活用するのか、いつ売却するのかを検討することが重要です。

売却時期を誤ると、数百万円単位で税負担が増える可能性もあります。

家族が判断するケースも増えている

高齢者本人ではなく、家族が売却手続きを進めるケースも多くあります。

認知症の進行などによって本人が判断できなくなると、成年後見制度や家族信託を利用することもあります。

こうした場合でも、3000万円特別控除の適用要件は変わりません。

売却方法だけでなく、居住実態や売却時期なども十分確認する必要があります。

家族だけで判断せず、税務や法律の専門家へ早めに相談することが安心につながります。

相続対策との関係も考える

老人ホームへ入居すると、自宅をそのまま残すか、売却するかという選択を迫られることがあります。

売却すれば3000万円特別控除が利用できる可能性がありますが、そのまま保有すれば相続財産になります。

また、相続後には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る3000万円特別控除」が利用できる場合もあります。

どちらが有利になるかは家族構成や財産状況によって異なるため、相続まで含めた総合的な検討が必要です。

結論

老人ホームへ入居したからといって、居住用財産の3000万円特別控除が直ちに利用できなくなるわけではありません。

介護を目的とした入居であることや、自宅の利用状況、売却時期などを総合的に判断して適用の可否が決まります。

高齢化が進む現在では、この特例を活用する場面は今後さらに増えると考えられます。施設への入居が決まった段階から、自宅の取扱いについて税務面も含めて計画的に検討することが、円滑な資産承継につながるでしょう。

参考

国税庁

「マイホームを売ったときの特例(居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除)」

租税特別措置法

所得税法

国土交通省

高齢者の住まいに関する各種資料

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