築古マンションはなぜ価格だけで選んではいけないのか 修繕履歴と積立金と耐震性を確認する理由編

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

新築マンションの価格上昇が続くなか、築年数の古い中古マンションが選択肢として注目されています。

築古マンションには、新築や築浅マンションより購入価格を抑えやすいという大きなメリットがあります。都心など立地のよい場所でも、築年数によっては新築よりかなり安い価格で購入できる場合があります。

しかし、マンションは専有部分だけを買うものではありません。

建物全体の修繕状況や管理組合の財政状態まで含めて購入することになります。

築古マンションでは、物件価格だけでは見えない将来負担を確認することが特に重要です。

築40年以上のマンションはこれから急増する

国土交通省の調査によると、2025年末時点で築40年以上のマンションは約158.8万戸あります。

さらに10年後には約313.1万戸となり、ほぼ2倍に増える見込みです。

つまり、これから住宅を購入する人にとって、築40年や築50年のマンションは決して珍しい存在ではなくなります。

新築マンションの価格が高くなれば、購入予算との関係から築古マンションを検討する人も増えるでしょう。

築古だから悪いというわけではありません。

立地がよく、十分な広さがあり、適切に管理されてきたマンションなら、合理的な選択肢になる可能性があります。

重要なのは築年数そのものより、その年月の間にどのような管理と修繕が行われてきたかです。

大規模修繕の回数を確認する

築古マンションを購入するとき、最初に確認したいのが大規模修繕の履歴です。

マンションでは外壁、防水、鉄部、設備などが時間とともに劣化していきます。

そのため、一定の周期で大規模修繕を行う必要があります。

現在では12年から18年程度の周期で実施するケースが一般的です。

例えば築40年のマンションなら、これまでに2回から3回程度、築50年なら3回から4回程度の大規模修繕が実施されているかどうかが一つの確認材料になります。

単に実施回数を見るだけでは十分ではありません。

いつ、どこを、どの程度修繕したのかという中身まで確認することが重要です。

給排水管の更新は特に重要

築古マンションで注意したい設備の一つが給排水管です。

建物の外観がきれいでも、内部の配管が老朽化している場合があります。

給排水管の劣化が進めば、漏水などの事故につながる可能性があります。

そのため、過去に配管の更新工事が実施されているかを確認する必要があります。

専有部分をきれいにリフォームした中古マンションでも、共用部分の配管まで更新されているとは限りません。

室内の新しさとマンション全体の老朽化は別の問題として考える必要があります。

修繕積立金はいくらあるか

もう一つ重要なのが修繕積立金です。

マンションでは将来の大規模修繕に備え、区分所有者から毎月修繕積立金を集めています。

問題は、必要な工事費に対して十分なお金が積み立てられているかです。

築年数が進むほど修繕する場所が増え、大規模な工事が必要になる可能性があります。

ところが、過去の修繕積立金が低く設定されていれば、必要な資金が不足することがあります。

その場合、購入後に修繕積立金が大幅に引き上げられたり、一時金の負担を求められたりする可能性があります。

購入価格が安くても、その後に大きな負担が発生すれば、実質的な住宅コストは高くなります。

管理組合に借金があっても直ちに悪いとは限らない

修繕資金が不足すると、管理組合が金融機関などから借り入れて大規模修繕を行うことがあります。

管理組合に借金があると聞くと、不安になるかもしれません。

しかし、借金があるという事実だけでマンションの管理状態を判断するのも適切ではありません。

重要なのは、その後の返済計画です。

例えば修繕積立金を適切な水準まで引き上げ、長期的な返済計画を立てているのであれば、必要な修繕を先送りせず実施した結果として借り入れを利用している可能性があります。

反対に、借金がなくても必要な修繕を先送りしているマンションなら安心とはいえません。

預金残高や借入残高だけではなく、長期修繕計画と一緒に確認する必要があります。

旧耐震基準かどうかを確認する

築古マンションでは耐震性も重要です。

特に注意したいのが旧耐震基準のマンションです。

1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物では、旧耐震基準が適用されている可能性があります。

旧耐震基準だから直ちに危険という意味ではありません。

耐震診断を行い、必要な耐震改修を実施しているマンションもあります。

したがって、建築された時期だけで判断するのではなく、耐震診断や耐震改修の実施状況まで確認することが重要です。

耐震性は住宅ローン減税にも関係する

耐震性は安全面だけの問題ではありません。

住宅ローン減税の適用にも関係する場合があります。

古い中古住宅では、建築された時期によって一定の耐震基準を満たしていることを求められる場合があります。

条件を満たさなければ、住宅ローンを利用して購入しても住宅ローン減税を受けられない可能性があります。

住宅ローン減税を前提として資金計画を立てている場合、適用できないことが購入後に分かれば家計への影響は小さくありません。

売買契約を結ぶ前に確認しておくことが大切です。

管理組合の保険も確認する

意外に見落としやすいのが、マンション管理組合が加入している保険です。

築年数が古くなると漏水事故などが増え、保険料が上昇する場合があります。

保険料を抑えるため、管理組合が補償内容や特約を縮小しているケースも考えられます。

その結果、事故が起きたときに想定していた補償を受けられない可能性があります。

管理組合がどのような保険に加入しているのかも、マンションのリスク管理を見る材料になります。

築年数より管理状態を見る

中古マンションでは築年数が価格を大きく左右します。

しかし、購入後の安心という点では築年数だけでは判断できません。

同じ築40年でも、計画的に修繕を続けてきたマンションと、必要な修繕を先送りしてきたマンションでは状態が大きく違います。

確認したいのは、大規模修繕の履歴、給排水管の更新、長期修繕計画、修繕積立金、管理組合の借入金、耐震性、保険などです。

築古マンションでは、部屋を見るだけでなく管理組合の資料を見ることが重要になります。

結論

築古マンションの魅力は、立地や広さを確保しながら購入価格を抑えられる可能性があることです。

一方で、価格が安い理由を築年数だけで説明できるとは限りません。

過去の修繕不足や積立金不足など、将来の負担が価格に反映されている可能性もあります。

購入価格だけを見るのではなく、購入後に必要となる修繕費まで含めた総額で考えることが大切です。

築古マンションを選ぶときは、築年数そのものよりも、そのマンションがこれまでどのように管理され、これからどのように維持されていくのかを見る必要があります。

安い築古マンションを探すというより、適切に管理されてきた築古マンションを探すという視点が重要です。

参考

日本経済新聞 2026年9月19日 朝刊 築古物件購入の落とし穴

日本経済新聞 2026年9月19日 朝刊 中古物件価格を大きく左右

タイトルとURLをコピーしました