第3号被保険者が離婚すると年金はどうなるのか 扶養から外れた後は自分で加入手続きが必要な理由編

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

会社員の配偶者として第3号被保険者になっている人が離婚すると、年金の扱いはどうなるのでしょうか。

離婚しても、それまで第3号だった期間がなくなるわけではありません。

第3号被保険者として適正に記録されていた期間は、原則として老齢基礎年金につながります。

しかし、離婚後もそのまま第3号でいられるわけではありません。

第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養される一定の配偶者であることを前提とした制度だからです。

離婚すれば、その配偶者ではなくなります。

その後は自分の働き方などに応じて、第1号被保険者や第2号被保険者へ切り替わります。

ここで重要なのが手続きです。

離婚しただけで、その後の年金記録が何もしなくてもすべて適切につながるとは限りません。

離婚すると第3号ではなくなる

第3号被保険者になるためには、第2号被保険者に扶養される一定の配偶者であることが必要です。

例えば会社員の夫に扶養されている妻が第3号被保険者だったとします。

夫婦が離婚すれば、妻は夫の配偶者ではなくなります。

したがって、それまでのように夫との関係を基礎として第3号被保険者でいることはできません。

これは収入が増えたかどうかとは別の問題です。

離婚後も本人の収入がゼロだったとしても、

収入がないから第3号のまま

とはなりません。

第3号は低所得者一般を対象とした制度ではなく、第2号被保険者の一定の配偶者を対象とした制度だからです。

それまでの第3号期間はどうなるのか

離婚によって第3号でなくなったからといって、それ以前の適正な第3号期間まで取り消されるわけではありません。

第3号被保険者だった期間は、原則として国民年金の保険料納付済期間として扱われます。

例えば結婚後15年間、第3号被保険者だった人が離婚したとします。

その15年間について適正に第3号として記録されていれば、老齢基礎年金を計算する際の期間につながります。

問題になるのは離婚した後です。

離婚後にどの年金制度へ加入するのかを整理する必要があります。

働いていなければ第1号になるケースがある

離婚した時点で本人が会社などに勤めておらず、厚生年金にも加入していないとします。

この場合、20歳以上60歳未満などの要件に該当すれば、原則として国民年金の第1号被保険者になるケースがあります。

第1号被保険者になれば、原則として自分で国民年金保険料を納めます。

第3号だったときには本人が国民年金保険料を直接納付していなかったため、大きな変化です。

離婚によって、

配偶者に扶養される第3号

から、

自分で国民年金に加入する第1号

へ変わることになります。

就職すれば第2号になる

一方、離婚後に会社へ就職し、厚生年金の加入対象になれば第2号被保険者になります。

この場合は勤務先を通じて厚生年金に加入します。

厚生年金保険料の本人負担分は通常、給与から差し引かれます。

勤務先も原則として保険料を負担します。

さらに加入期間と報酬に応じて、本人名義の老齢厚生年金が積み上がります。

したがって離婚後の年金区分は、

離婚したから必ず第1号

と決まっているわけではありません。

本人がその後どのように働くかによって変わります。

パートでも第2号になることがある

離婚後にパートで働く場合も注意が必要です。

パートだから必ず第1号になるわけではありません。

短時間労働者でも勤務先の社会保険の加入要件を満たせば、厚生年金に加入して第2号被保険者になります。

一方、厚生年金の加入対象にならなければ、第1号被保険者になるケースがあります。

つまり、

正社員なら第2号

パートなら第1号

と単純に分けることはできません。

雇用形態の名称ではなく、実際に厚生年金の加入対象になっているかどうかを見る必要があります。

離婚後は自分自身の年金として考える

第3号被保険者である間は、年金制度への加入が配偶者の働き方と強く結び付いています。

配偶者が第2号被保険者であり、その扶養に入っていることが第3号の前提だからです。

しかし離婚すると、その関係がなくなります。

以後は、

自分が会社員として厚生年金に入るのか

自分で国民年金保険料を納めるのか

という本人自身の加入関係が中心になります。

第3号から外れることは、年金制度上でも「配偶者を通じた加入」から「自分自身の加入」へ切り替わる場面なのです。

手続きを忘れると問題になる理由

離婚後に第1号被保険者になる場合には、必要な切り替え手続きを行うことが重要です。

手続きをしなければ、

第3号ではない

第2号にもなっていない

にもかかわらず、第1号として必要な手続きも行われていない期間が生じる可能性があります。

その状態を放置すると、年金記録に問題が生じることがあります。

特に長期間そのままにしてしまうと、後になって過去の状況を確認することも難しくなります。

離婚時には住所や氏名、健康保険など多くの手続きが必要になるため、年金の切り替えが見落とされないよう注意が必要です。

未納期間が生じる可能性がある

第1号被保険者として国民年金保険料を納める必要があるのに納付しなければ、未納期間になる可能性があります。

未納期間があると、将来の老齢基礎年金額に影響します。

さらに障害基礎年金や遺族基礎年金などでは、保険料の納付状況が受給要件に関係する場合があります。

年金は老後だけの制度ではありません。

そのため、

まだ若いから年金手続きは後でよい

と考えるのは危険です。

離婚後に第3号でなくなったら、その時点から次の加入関係をきちんと確認することが重要です。

保険料を払えない場合は放置しない

離婚後に第1号被保険者になったものの、収入が少なく国民年金保険料を払うことが難しい場合もあります。

特に離婚直後は生活環境が大きく変わり、経済的に不安定になることがあります。

この場合、

払えないから何もしない

という対応は避ける必要があります。

国民年金には、一定の要件を満たした場合に保険料免除や納付猶予などの制度があります。

未納のまま放置することと、正式な手続きをして免除などの承認を受けることは同じではありません。

将来の年金や万一の場合の保障にも関係するため、利用できる制度を確認することが重要です。

健康保険も同時に確認する

離婚すると変わるのは年金だけではありません。

配偶者の勤務先の健康保険で被扶養者になっていた場合には、その扶養関係も見直す必要があります。

自分の勤務先の健康保険に加入するのか。

国民健康保険に加入するのか。

状況に応じて手続きが必要になります。

ここでも、

第3号被保険者

と、

健康保険の被扶養者

は別制度です。

ただし離婚という同じ出来事によって両方の資格に影響することがあるため、実務上はまとめて確認することが大切です。

離婚時の年金分割とは別の話

離婚と年金というと、「年金分割」を思い浮かべる人もいるでしょう。

しかし、

第3号被保険者から外れた後の加入手続き

と、

離婚時の年金分割

は別の問題です。

年金分割は、婚姻期間中の厚生年金記録について一定の仕組みに基づいて分割する制度です。

一方、第3号から第1号や第2号へ切り替える手続きは、離婚後の自分自身の年金加入を適切につなげるためのものです。

年金分割の手続きを考えているからといって、離婚後の国民年金の加入手続きが不要になるわけではありません。

両者を混同しないことが重要です。

第3号分割という仕組みもある

離婚時の年金分割には、第3号被保険者に関係する「3号分割」と呼ばれる仕組みもあります。

一定の条件を満たす第3号被保険者期間について、配偶者の厚生年金記録を分割する制度です。

ここで注意したいのは、

第3号だった期間の基礎年金を半分に分ける制度

ではないことです。

厚生年金の標準報酬記録を分割する仕組みです。

第3号被保険者自身の老齢基礎年金と、離婚時の厚生年金の分割は分けて理解する必要があります。

再婚すれば再び第3号になることもある

離婚によって一度第1号被保険者になった人が、その後再婚する場合もあります。

再婚相手が厚生年金の第2号被保険者であり、その扶養に入るなど第3号の要件を満たせば、再び第3号被保険者になることもあります。

年金の区分は一生固定されるものではありません。

就職する。

退職する。

結婚する。

離婚する。

配偶者が退職する。

こうした人生上の変化によって、第1号、第2号、第3号の間を移ることがあります。

重要なのは、その都度自分がどの区分に該当するのかを確認することです。

第3号制度が配偶者との関係に依存していることが分かる

離婚時の扱いを見ると、第3号被保険者制度の特徴がよく分かります。

本人の所得だけで資格が決まる制度ではありません。

本人が育児や介護をしているかだけで決まる制度でもありません。

第2号被保険者である配偶者との関係が制度の土台になっています。

そのため婚姻関係がなくなれば、本人の収入が変わっていなくても第3号ではなくなります。

第3号制度の縮小をめぐる議論で、

配偶者という立場を基準に社会保障上の扱いを変える仕組みを今後も続けるのか

が問われる理由の一つです。

結論

第3号被保険者が離婚すると、第2号被保険者の配偶者という資格を失うため、そのまま第3号でいることはできません。

ただし、それまで適正に第3号だった期間がなくなるわけではありません。

その期間は原則として老齢基礎年金につながります。

重要なのは離婚後です。

厚生年金に加入する会社などで働けば第2号被保険者になります。

厚生年金に加入せず、20歳以上60歳未満などの要件に該当すれば、第1号被保険者として自分で国民年金に加入するケースがあります。

そこで必要な手続きをしないまま放置すると、年金記録に問題が生じたり、保険料の未納期間が発生したりする可能性があります。

また、離婚時の年金分割と、離婚後の年金加入手続きは別の制度です。

年金分割を行うからといって、その後の加入手続きが不要になるわけではありません。

第3号被保険者制度は、本人だけで完結する制度ではなく、配偶者の社会保険加入と婚姻関係を前提にした仕組みです。

だからこそ離婚という人生の変化が起きたときには、

これまでの年金記録

だけでなく、

これから自分がどの制度に加入するのか

を確認する必要があります。

第3号から外れた後の年金を途切れさせないためには、自分自身の加入区分を確認し、必要な手続きを確実に行うことが重要なのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月5日朝刊 厚労省「年金3号」縮小へ調査 働き控えの実態把握

タイトルとURLをコピーしました