社債は途中で売れるのか 満期まで持つ投資と途中売却では何が違うのか編

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

社債を購入すると、決められた利息を受け取り、満期になれば原則として元本が償還されます。

そのため、定期預金のように満期まで持つ金融商品というイメージを持つ人もいるでしょう。

しかし、社債の中には満期前に売却できるものもあります。

ここで注意したいのは、満期まで保有して元本の償還を受けることと、途中で社債を売却することはまったく違うという点です。

途中売却では、その時点の社債価格によって利益が出ることもあれば、損失が発生することもあります。

償還とは何か

社債には通常、満期があります。

企業は社債を発行するときに、いつ元本を返すのかをあらかじめ決めます。

たとえば1年後。

3年後。

5年後。

10年後。

この満期に社債の元本を投資家へ返すことを償還といいます。

発行企業が契約通り支払いを続けることができれば、投資家は満期に原則として額面金額の償還を受けます。

満期まで保有する投資では、この償還が大きな意味を持ちます。

満期まで持てば途中の価格変動は影響しにくい

社債にも市場価格があります。

購入後に価格が上がることもあれば、下がることもあります。

しかし、満期まで保有して発行企業が予定通り元本を償還できれば、途中の市場価格が上下しても、その価格で売却する必要はありません。

たとえば額面100万円の社債を購入し、途中で市場価格が98万円になったとしても、その時点で売却しなければ98万円の損失が確定するわけではありません。

発行企業が満期に予定通り100万円を償還すれば、途中の価格下落とは別に考えることができます。

途中で売却すると市場価格が重要になる

事情が変わって満期前に現金が必要になることがあります。

その場合、売却可能な社債であれば途中で売ることを検討できます。

ただし、購入したときの金額がそのまま戻ってくるとは限りません。

売却時点の市場価格で取引することになるからです。

100万円で購入した社債が、その時点で97万円でしか売れなければ、売却による損失が発生します。

反対に市場価格が上昇していれば、購入価格より高く売れる可能性もあります。

社債価格は市場金利で動く

社債価格を動かす大きな要因の一つが市場金利です。

たとえば年1パーセントの利息を受け取れる社債を持っているとします。

その後、市場金利が上昇して、新しく発行される同程度の社債が年2パーセントの利息を払うようになったとします。

投資家から見ると、新しい社債の方が魅力的です。

そこで年1パーセントしか受け取れない既存の社債を売却するには、価格を下げる必要が生じることがあります。

一般に市場金利が上昇すると既発債の価格には下落圧力がかかり、市場金利が低下すると価格には上昇圧力がかかります。

発行企業の信用力でも価格は動く

市場金利だけではありません。

社債を発行した企業の信用力も価格に影響します。

業績が大幅に悪化する。

借入金が急増する。

信用格付けが引き下げられる。

こうしたことが起きれば、その企業の社債を保有するリスクが高まったと判断される可能性があります。

投資家がより高い利回りを求めるようになれば、すでに発行されている社債の価格が下落することがあります。

途中売却では、企業の信用力の変化も無視できません。

売りたいときに売れるとは限らない

株式の場合、上場株式であれば証券取引所で日々多くの売買が行われています。

社債は事情が異なります。

商品によっては売買する投資家が少なく、希望する価格ですぐに売却できないことがあります。

買い手が少なければ、価格を下げなければ売れない場合もあります。

このように、売りたいときに希望する価格で売却できない可能性を流動性リスクといいます。

途中売却を考える場合には、価格だけでなく売却のしやすさも重要になります。

デジタル社債では特に確認が必要

デジタル社債は小口で購入できるなど、個人投資家にとって使いやすい商品が登場しています。

一方、途中売却については商品ごとに条件が異なります。

譲渡できる相手が限られている。

売買できる市場が限定されている。

原則として満期まで保有することを想定している。

こうした商品も考えられます。

1万円から購入できるから、いつでも簡単に売れるとは限りません。

購入前に償還期限とともに、中途売却や譲渡の条件を確認することが重要です。

満期と自分のお金の予定を合わせる

途中売却のリスクを小さくする方法の一つは、使う予定のない資金で社債を購入することです。

1年後に使う予定のお金なら、それより長い満期の社債に投資することが適切か考える必要があります。

住宅購入資金。

教育資金。

生活防衛資金。

近いうちに使う予定があるお金まで社債に入れてしまうと、必要になったときに途中売却を迫られる可能性があります。

投資する金額だけではなく、いつ使うお金なのかを考えることが大切です。

満期保有でも信用リスクは残る

満期まで持てば必ず安全という意味でもありません。

途中の価格変動を気にする必要は小さくなりますが、発行企業の信用リスクは残ります。

企業が満期までに経営破綻するなどして支払い能力を失えば、予定通り利息や元本を受け取れない可能性があります。

満期保有によって避けやすくなるのは、途中の市場価格で売却することによる損失です。

発行企業そのものの信用リスクまで消えるわけではありません。

結論

社債には通常、満期があり、発行企業が約束通り支払えば満期に原則として元本が償還されます。

一方、満期前に社債を売却する場合には、その時点の市場価格が重要になります。

市場金利が上昇すれば社債価格が下落することがあります。

発行企業の信用力が悪化しても価格が下がる可能性があります。

さらに、売りたいときに希望する価格で売却できない流動性リスクもあります。

特にデジタル社債では、途中売却や譲渡の条件を購入前に確認することが重要です。

社債を選ぶときには、利率だけを見るのではありません。

満期はいつなのか。

その期間、本当に使わないお金なのか。

途中で売却する必要が生じた場合にどうなるのか。

社債投資では、買うときから出口まで考えておくことが大切です。

参考

日本経済新聞 2026年9月16日 朝刊 ファイナンス新潮流 社債版「優待」で個人開拓

タイトルとURLをコピーしました