会社員の給与から差し引かれる所得税は、企業が自由に計算しているわけではありません。国税庁が公表する「源泉徴収税額表」に基づいて計算されています。
この税額表は、企業の給与計算に欠かせない実務資料であり、税制改正が行われるたびに内容も見直されます。
2026年度税制改正では、「年収178万円の壁」への見直しに伴い、源泉徴収税額表も段階的に改正されることになりました。そのため、企業の給与担当者や経理担当者は、適用時期を正しく理解しておく必要があります。
この記事では、源泉徴収税額表の見方や種類、改正時に注意すべきポイントについて解説します。
源泉徴収税額表とは何か
源泉徴収税額表とは、給与や賞与を支払う際に徴収する所得税額を計算するための一覧表です。
企業は、この税額表を用いて毎月の給与から所得税を差し引き、国へ納付します。
税額表は国税庁が毎年公表しており、税制改正が行われた場合には、その内容も見直されます。
給与担当者は、この税額表を正しく適用することで、適正な所得税を源泉徴収することができます。
税額表の見方
源泉徴収税額表では、給与額と扶養親族等の人数をもとに徴収すべき所得税額を確認します。
例えば、同じ給与額であっても、扶養親族の人数が異なれば源泉徴収税額も変わります。
これは、扶養控除などを考慮して毎月の所得税額を概算で計算するためです。
なお、毎月徴収される税額は年間の所得税額ではなく、年末調整で精算することを前提とした概算額です。
月額表と日額表
源泉徴収税額表には、主に「月額表」と「日額表」があります。
月額表は、毎月支払う給与に適用されるもので、最も多く利用されています。
一方、日額表は、日払いや週払いなど、月単位以外で給与を支払う場合に使用されます。
給与の支払方法によって使用する税額表が異なるため、給与担当者は適切な税額表を選択しなければなりません。
2026年度改正で何が変わるのか
2026年1月からは、「年収160万円の壁」に対応した新しい源泉徴収税額表が適用されました。
さらに、2027年1月からは、「年収178万円の壁」に対応した新たな源泉徴収税額表が適用される予定です。
つまり、企業では2年連続で源泉徴収税額表が改正されることになります。
今回の改正により、給与水準によっては源泉徴収される所得税が減少し、従業員の手取り額が増えるケースも想定されています。
改正時に注意するポイント
税額表が改正された場合は、給与計算システムが新しい税額表へ更新されているかを確認する必要があります。
もし更新が間に合わず旧税額表で計算すると、本来より多く所得税を徴収してしまう可能性があります。
その場合には、還付や追加徴収などの対応が必要になることもあります。
また、2026年は通勤手当や食事補助の非課税制度も見直されるため、給与計算全体を総合的に確認することが重要です。
実務担当者が確認すべきこと
源泉徴収税額表が改正された際には、次の点を確認すると実務上のミスを防ぎやすくなります。
- 適用開始日が正しいか
- 給与計算システムが最新の税額表に対応しているか
- 扶養親族等申告書の内容が最新になっているか
- 年末調整の控除額が改正内容を反映しているか
- 従業員からの問い合わせに対応できるよう制度改正を理解しているか
制度改正が続く時期ほど、「どの改正が、いつから適用されるのか」を整理して管理することが重要になります。
結論
源泉徴収税額表は、企業が毎月の給与から所得税を徴収する際に使用する重要な実務資料です。
税額は給与額や扶養親族の人数などに応じて決まり、毎月の徴収額は年末調整で精算することを前提とした概算額となっています。
2026年度税制改正では、「年収178万円の壁」への対応により、源泉徴収税額表も段階的に改正されます。
給与担当者は適用時期やシステム更新を適切に管理し、制度改正へ正確に対応することが、円滑な給与実務につながるでしょう。
参考
企業実務 2026年8月号(2026年8月)「160万円から178万円へ!『年収の壁』の変化と“源泉所得税”の実務対応」 石井秀治 著