営業が得意な人という言い方をすることがあります。
しかし、一口に営業といっても仕事内容は同じではありません。
新しい顧客を開拓する営業もあれば、すでに取引のある顧客との関係を深める営業もあります。
参考記事では、同じ営業成績を上げている従業員でも、自ら新規開拓して成果を出す人と、既存顧客との関係構築で成果を出す人では、持っている能力が異なると説明されています。
つまり、「営業ができる」という評価だけでは、適材適所を判断するには不十分なのです。
新規営業とは何か
新規営業は、これまで取引のなかった顧客との関係をつくり、契約につなげていく仕事です。
まだ自社の商品やサービスを利用していない相手へ働きかけるため、自分から行動することが必要になります。
誰にアプローチするのか。
どのような提案をするのか。
相手の反応に応じて、どのように次の行動を変えるのか。
決められた仕事を正確に処理するだけではなく、自ら考えて動く場面が多くなります。
参考記事では、新規開拓営業で特に重視したい能力や特性として、主体性、行動力、変化対応力が挙げられています。
新規営業では主体性が重要になる
新規営業では、最初から顧客との関係ができているわけではありません。
そのため、自ら仕事をつくっていく姿勢が求められます。
指示された顧客を訪問するだけではなく、
どの企業に可能性があるのか。
誰に接触すればよいのか。
どのような課題がありそうなのか。
と考えながら行動する必要があります。
そこで重要になるのが主体性です。
上司から細かく指示されなければ動けない人より、自分で考えて行動できる人のほうが力を発揮しやすい仕事と考えられます。
行動力と変化対応力も求められる
新規営業では、行動しても必ず成果につながるとは限りません。
提案を断られることもあります。
想定していた顧客の反応と違うこともあります。
市場環境や顧客のニーズが変われば、営業方法を変えなければならない場合もあります。
そのため、行動力だけでなく変化への対応力も重要になります。
参考記事でも、新規営業では主体性や行動力に加え、変化への対応力が求められることが多いとされています。
決められた方法を繰り返すだけではなく、状況に応じて行動を変えられることが強みになります。
既存営業とは何か
一方、既存営業では、すでに取引のある顧客との関係を維持し、さらに深めていくことが重要になります。
顧客の状況を継続的に確認する。
困っていることを聞く。
必要な商品やサービスを提案する。
問題が起きれば対応する。
こうした積み重ねによって、長期的な取引関係を築いていきます。
新しい顧客へ次々と働きかける新規営業とは、仕事の性質が異なります。
既存営業では傾聴力が重要になる
既存顧客との関係では、自分が話すことだけでなく、相手の話を聞くことが重要になります。
現在どのような問題を抱えているのか。
自社の商品やサービスに不満はないのか。
今後どのようなことを考えているのか。
顧客の話を丁寧に聞かなければ、こうした情報を把握することはできません。
参考記事では、既存顧客を担当する営業では、傾聴力が特に重視したい能力や特性の一つとして挙げられています。
目立つ営業活動ではなくても、相手の話を正確に理解できることが大きな強みになるのです。
信頼関係を築く力も必要になる
既存営業では、一度契約を取れば終わりではありません。
その後も取引が続きます。
約束を守る。
問い合わせにきちんと対応する。
問題が起きたときに逃げずに対応する。
必要な情報を適切なタイミングで提供する。
こうした日々の積み重ねによって信頼関係が形成されます。
参考記事では、既存顧客を担当する営業について、信頼関係を築く力や継続的な対応力がより重要になると説明されています。
短期間で大きな成果を出す能力とは違った強みが必要になるわけです。
新規営業が得意なら既存営業も得意とは限らない
ここが人材配置で重要なところです。
新規営業で高い成果を上げているからといって、既存営業でも同じように成果を上げられるとは限りません。
反対も同じです。
新しい人と次々に関係をつくることが得意な人もいます。
一方で、同じ顧客と長く付き合いながら信頼関係を深めることが得意な人もいます。
どちらが優れているという話ではありません。
成果を出しやすい場面が違うのです。
営業成績という数字だけでは分からない
二人の営業担当者が、同じ一千万円の売上を上げていたとします。
数字だけを見れば同じ評価になるかもしれません。
しかし、一人は新規顧客を次々と開拓して一千万円を売り上げたのかもしれません。
もう一人は既存顧客との取引を深めて一千万円を売り上げたのかもしれません。
同じ数字でも、成果を生み出した方法は違います。
参考記事でも、能力を見る際には単に「何ができるか」だけではなく、「どのような場面で成果を出しているか」を確認することが重要だとされています。
人材配置では、結果だけでなく結果が生まれた過程を見る必要があります。
営業という大きなくくりで配置しない
適材適所を考えるなら、「営業向き」という大きなくくりだけで判断することには限界があります。
新規開拓なのか。
既存顧客の深耕なのか。
見積作成や社内調整まで担当するのか。
参考記事でも、営業という同じ職種であっても、担当する仕事内容によって求められる能力や特性は異なると説明されています。
まず仕事を具体的に分解し、その仕事で何が求められるのかを明確にすることが重要です。
そのうえで本人の能力や特性と照らし合わせます。
結論
新規営業と既存営業は、どちらも営業ですが、求められる能力や特性は同じではありません。
新規営業では、主体性、行動力、変化対応力が重要になります。
既存営業では、傾聴力、信頼関係構築力、継続対応力が重要になります。
だからこそ、「営業成績がよいから営業に向いている」という評価だけでは十分ではありません。
どのような場面で成果を出しているのか。
どのような方法で顧客との関係をつくっているのか。
そこまで見て初めて、その人の強みが分かります。
職種名だけで人を配置するのではなく、仕事を具体的に分解し、その人が最も自然に力を発揮できる役割を探す。
同じ営業職のなかにも適材適所があるという視点が、人材をより活かす配置につながるのです。
参考
企業実務 2026年9月号 中小企業の適材適所の測り方