新築マンションの短期売買に新たな税制措置か 国交省が価格高騰対策を要望する理由

税理士
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新築マンションの価格高騰が続くなか、税制を使って投機的な取引を抑える議論が始まっています。

国土交通省は令和9年度税制改正要望で、新築マンションの価格高騰への対応について、必要な措置を講じるよう求めました。

現時点では具体的な税制措置は明らかになっていません。ただし、これまでの政府や国土交通省の動きを見ると、購入して間もないマンションを売却する短期売買が重要な論点になっていると考えられます。

マンションを自宅として購入する人だけでなく、不動産投資をする人にとっても注目しておきたいテーマです。

新築マンション価格の高騰が問題になっている

近年、特に東京都心を中心として新築マンション価格が大きく上昇しています。

建築資材や人件費、土地価格の上昇など、マンション価格が高くなっている理由は一つではありません。

そのなかで政策上の論点として浮上しているのが、実際に住むことを目的としない投機的な取引です。

価格上昇を期待してマンションを購入し、短期間で売却して利益を得ようとする取引が増えれば、実際に住宅を必要としている人が購入しにくくなる可能性があります。

そこで国土交通省は、実需に基づかない投機的取引が価格高騰の一因であるとの指摘を踏まえ、必要な対応を検討するとしています。

短期売買とは何か

国土交通省は新築マンションの取引実態を調査する際、購入後1年以内に売買されたものを短期売買として分析しています。

ここで注意したいのは、税法上の短期譲渡所得とは意味が違うことです。

国土交通省の調査で使われている短期売買は購入後1年以内です。

一方、不動産を売却した場合の所得税では、所有期間が5年以下か5年を超えるかによって短期譲渡所得と長期譲渡所得を区分する仕組みがあります。

同じ短期という言葉でも基準が異なります。

都心6区では短期売買が12パーセントを超える

国土交通省の調査では、令和6年1月から6月までの新築マンションについて、短期売買の割合が地域によってかなり異なっています。

東京圏では6.3パーセント、東京都では8.5パーセント、東京23区では9.3パーセントでした。

さらに都心6区では12.2パーセントに達しています。

単純化すれば、都心6区では新築マンションのおよそ8戸に1戸が購入後1年以内に売買されていた計算になります。

もちろん、短期間で売却されたマンションがすべて投機目的だったとは限りません。

転勤や離婚、家族構成の変化などによって、購入後すぐに売却しなければならなくなるケースもあります。

したがって、短期売買の割合だけから投機取引の規模を判断することはできません。

それでも、都心部ほど短期売買の割合が高いことは、今後の制度設計を考えるうえで重要な材料になります。

現在でも短期売却には重い税率が設定されている

実は現在の税制でも、不動産を短期間で売却した場合には比較的高い税率が適用されます。

土地や建物を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えている場合は長期譲渡所得となり、所得税15パーセントと住民税5パーセントを合わせて原則20パーセントです。

一方、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得となり、所得税30パーセントと住民税9パーセントを合わせて原則39パーセントとなります。

このほか復興特別所得税がかかります。

つまり現在でも、短期間で不動産を売却して利益を得る取引には、長期保有の場合より重い税負担が設定されています。

それでも新たな税制が検討される理由

ポイントは、現在の短期譲渡所得課税が5年という比較的長い期間を基準としていることです。

今回問題視されている可能性があるのは、購入から1年程度で売却するような、より短期間の取引です。

そのため今後の税制改正では、現在の短期譲渡所得課税とは別の考え方が検討される可能性があります。

ただし、現時点で国土交通省の要望には具体的な税目や税率、対象期間などは示されていません。

1年以内の売却に税率を上乗せするのか、新築マンションだけを対象とするのか、法人による取引をどう扱うのかなど、制度の中身はこれからの議論になります。

具体的な制度が決まったかのように考えるのはまだ早い段階です。

税制だけでマンション価格は下がるのか

もう一つ考えておきたいのが、マンション価格高騰の原因です。

マンション価格は投機的取引だけで決まるわけではありません。

土地価格、建築費、人件費、住宅需要、供給戸数、住宅ローン金利など、多くの要因によって決まります。

仮に短期売買への税負担を重くしたとしても、それだけでマンション価格が大幅に下がるとは限りません。

一方で、短期間での値上がり益を狙う取引の採算性が低下すれば、投機的な需要を一定程度抑える効果は考えられます。

税制改正を考える場合には、価格高騰への効果だけでなく、本来必要な不動産取引まで妨げない制度設計が重要になります。

金利上昇もマンション市場を変える

さらに今後のマンション価格を考えるうえでは金利も重要です。

一般に住宅ローン金利が上昇すると、同じ所得でも借りられる住宅ローンの金額や無理なく返済できる金額は小さくなります。

投資目的の場合にも、借入金利が上昇すれば投資採算は悪化します。

そのため金利上昇は、不動産価格に対して下落方向の圧力になりやすいと考えられます。

マンション価格の上昇が市場メカニズムによって落ち着けば、税制による追加対策の必要性についても議論が変わる可能性があります。

今後はマンション価格と短期売買の動向を見ながら税制改正が検討されることになりそうです。

税制改正で確認したいポイント

今回の税制改正要望で最も重要なのは、まだ具体的な制度が示されていないことです。

今後確認したいのは、短期売買を何年以内と定義するのか、新築マンションだけを対象とするのか、中古マンションも対象とするのか、個人と法人をどのように扱うのか、現在の短期譲渡所得課税との関係をどう整理するのかという点です。

特に購入後1年以内など極めて短期間の売却だけを対象とする制度が設けられる場合、不動産投資の出口戦略にも影響する可能性があります。

令和9年度税制改正の議論では、具体的な制度設計が示されるかどうかが注目されます。

結論

国土交通省が令和9年度税制改正で求めている新築マンション価格高騰への対応では、都心部を中心に増えている短期売買が重要な論点になっています。

国土交通省の調査では、令和6年1月から6月の新築マンションの短期売買割合は、東京圏6.3パーセント、東京都8.5パーセント、東京23区9.3パーセント、都心6区12.2パーセントでした。

現在でも不動産を短期間で売却すると短期譲渡所得として重い税率が適用されますが、税法上の基準は5年です。今回焦点になっている購入後1年程度の売買とは基準が異なります。

今後、さらに短期間の転売を対象とした新しい税制措置が具体化するのかが大きな注目点です。

ただし、マンション価格は投機だけでなく、建築費や土地価格、需給、金利などさまざまな要因で決まります。

短期売買への対応と住宅市場全体への影響をどのように両立させるのか。

令和9年度税制改正では、具体的な制度の有無だけでなく、その対象と仕組みまで確認する必要があります。

参考

税のしるべ 2026年9月14日 国交省が新築マンション高騰対応で税制措置を要望、主に短期売買を問題視か

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