マンションは、一戸建て住宅とは異なり、多くの人が一つの建物を共同で所有しながら生活する住宅です。そのため、自分の部屋だけでなく、廊下やエレベーター、外壁などの共用部分を誰がどのように管理するのか、また管理費や修繕積立金をどのように負担するのかなど、さまざまなルールが必要になります。
こうした共同生活の基本ルールを定めているのが「建物の区分所有等に関する法律」、一般に「区分所有法」と呼ばれる法律です。
2026年には区分所有法が大幅に改正され、老朽化したマンションの再生や所有者の多様化に対応するための制度整備が進められました。
今回は、区分所有法の目的や管理組合との関係、2026年改正の概要について解説します。
区分所有法とは
区分所有法は、一つの建物を複数の人が区分して所有する場合の権利や義務を定めた法律です。
正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」です。
マンションでは、それぞれの住戸は区分所有者が所有しますが、
・エントランス
・廊下
・階段
・エレベーター
・外壁
・屋上
などは、区分所有者全員が共同で所有する共用部分となります。
区分所有法は、このような共同所有を円滑に行うための基本ルールを定めています。
法律の目的
区分所有法の目的は、区分所有者全員の権利を守りながら、建物を適切に管理し、共同生活を円滑にすることです。
マンションでは、一人の判断だけで建物全体の管理方法を決めることはできません。
そのため、
・総会の開催
・議決権の行使
・管理規約
・管理組合の運営
などについて法律上の基本ルールが定められています。
これにより、多数の区分所有者が公平なルールの下で合意形成を図ることができます。
管理組合との関係
区分所有法では、区分所有者全員で管理組合を構成することが前提となっています。
管理組合は、
・建物の維持管理
・管理費や修繕積立金の管理
・理事会や総会の運営
・長期修繕計画の策定
などを担います。
一方、管理会社は管理組合から業務を委託される立場であり、管理組合そのものではありません。
意思決定を行う主体はあくまでも区分所有者で構成される管理組合であることを理解しておく必要があります。
管理規約との関係
区分所有法はマンション管理の基本ルールを定める法律です。
これに対し、管理規約は各マンションの実情に合わせて定める自治ルールです。
例えば、
・ペット飼育
・駐車場利用
・専有部分の使用
・理事の選任方法
などについては、管理規約で具体的に定めることができます。
ただし、管理規約は区分所有法に反する内容を定めることはできません。
法律が土台となり、その範囲内で管理規約が運用される仕組みになっています。
2026年改正の概要
2026年改正では、社会環境の変化に対応するため、多くの制度が見直されました。
背景には、
・築年数の古いマンションの増加
・区分所有者の高齢化
・相続による所有者不明
・海外居住者の増加
などがあります。
こうした課題に対応するため、
・国内管理人制度の導入
・管理組合の意思決定の円滑化
・マンション再生を進めやすくする制度
などが整備されました。
改正の目的は、共同生活のルールを変えることではなく、時代に合わせてマンション管理を持続可能なものにすることにあります。
区分所有者に求められる役割
区分所有法は管理組合や理事だけのための法律ではありません。
区分所有者一人ひとりが、
・管理規約を理解する
・総会へ参加する
・議決権を行使する
・管理費や修繕積立金を適切に負担する
ことが前提となっています。
マンション管理は全員参加による共同運営です。
法律を理解し、自ら管理に関心を持つことが、快適な住環境と資産価値の維持につながります。
結論
区分所有法は、マンションという共同所有の建物を円滑に管理するための基本法です。管理組合の運営や管理規約の位置付け、総会の運営など、マンション管理の根幹となるルールが定められています。
2026年の法改正では、老朽化や所有者の多様化といった現代の課題に対応するため制度の見直しが行われました。管理組合や管理会社だけに任せるのではなく、区分所有者一人ひとりが区分所有法の基本を理解し、主体的にマンション管理へ関わることが、将来にわたって安全で価値あるマンションを維持するために欠かせません。
参考
日本経済新聞朝刊(2026年8月1日)
「<ステップアップ>『議決代理』、利益誘導の恐れ マンション新制度に課題」
日本経済新聞朝刊(2026年8月1日)
「マンション管理規約のひな型」
国土交通省
「マンション標準管理規約」
建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)