リゾート会員権は資産なのでしょうか。それとも将来の負担なのでしょうか。
この問いに一律の答えはありません。
中古市場で売却でき、家族へ引き継ぐこともできるため、資産としての性格があります。
共有制なら、ホテルなどの土地や建物の持ち分を所有する仕組みになっています。
一方、保有しているだけで年会費や管理費などがかかり、利用しなくなっても簡単に手放せない場合があります。
同じ会員権でも、頻繁に利用している間は価値ある資産に感じられ、利用しなくなった瞬間から固定費を生む負担へ変わることがあります。
だからこそ、リゾート会員権では買うとき以上に、最後にどう手放すかを考えておくことが重要です。
売れるから資産とは限らない
リゾート会員権には中古市場があります。
参考記事によると、中古会員権の8月の平均価格は404万円で、前年同月より78万円、24%上昇しました。
中古市場で価格が付いている以上、一定の資産価値があると考えることができます。
しかし、市場価格があることと、必要なときにその価格ですぐ現金化できることは同じではありません。
株式のように市場で常時売買されているわけではなく、売却には買い手が必要です。
資産価値を見るときには、価格だけでなく換金性も考える必要があります。
購入価格より売却価格が重要になる
例えば500万円で会員権を購入したとします。
20年間利用した後、300万円で売却できれば、購入価格と売却価格の差は200万円です。
一方、20年後に50万円でしか売却できなければ、差額は450万円になります。
同じ500万円で購入しても、最終的な経済的負担は大きく異なります。
もちろん、その間に得られた宿泊の価値もあります。
会員権の損得は購入価格だけでは決まりません。
購入価格から将来の売却価格を差し引き、保有期間中の利用価値や維持費を合わせて考える必要があります。
維持費が資産価値を変える
リゾート会員権には年会費や管理費などが必要になる場合があります。
年間10万円なら、20年間で200万円です。
年間20万円なら400万円になります。
購入価格500万円だけを見ていた人にとって、長期間の固定費は大きな金額です。
しかも、施設を利用しなくなっても会員権を保有している限り負担が続く場合があります。
資産価値が100万円残っていても、年間20万円の維持費が必要なら、5年間保有するだけで同額の100万円を支払う計算になります。
資産価格と維持費は必ずセットで見る必要があります。
共有制では不動産を持ち続けることになる
共有制のリゾート会員権では、ホテルなどの土地や建物の持ち分を所有します。
この点では単なるホテルの割引サービスとは異なります。
不動産を所有するため、取得時には不動産取得税、保有中には固定資産税などが関係します。
利用しなくなったからといって、会員証を返却するだけで不動産の所有関係まで消えるとは限りません。
手放すときには持ち分を含めた権利関係を整理する必要があります。
共有制を購入するときには、ホテルを利用する権利を買うだけではなく、不動産を長期間保有する面があることを理解しておく必要があります。
預託制でも出口の確認は必要になる
預託制では、共有制のようにホテルの不動産を直接所有する仕組みではありません。
しかし、だからといって出口を考えなくてもよいわけではありません。
第三者へ譲渡できるのか。
名義変更にはどのような条件があるのか。
退会できるのか。
預託金はどのように扱われるのか。
こうした契約条件を確認する必要があります。
リゾート会員権という同じ名称でも、共有制と預託制では権利の中身が違います。
購入するときには、自分が何を取得し、最後にどのような方法で手放せるのかを理解しておくことが重要です。
値上がりしても投資商品とは限らない
参考記事では、中古会員権の平均価格が前年同月比24%上昇しています。
ホテル代の高騰や円安による国内旅行の再評価などが背景にあるとされています。
しかし、この値上がりだけを見て投資対象として考えることには注意が必要です。
施設は時間とともに古くなります。
新しい施設も開業します。
旅行先の人気も変化します。
さらに年会費などの保有コストもあります。
参考記事でも、値上がり益を狙った購入はリスクが高いとの指摘が紹介されています。
会員権は値上がりを期待するより、実際に利用して価値を得ることを中心に考える方が分かりやすい商品です。
使っている間は価値が見えやすい
リゾート会員権の価値は、中古価格だけでは測れません。
一般ホテルなら1泊5万円かかるところを、会員として2万円で利用できたとします。
1泊当たり3万円の差です。
年間20泊なら60万円になります。
家族で毎年利用し、10年間で200泊したのであれば、金銭的な差だけでなく多くの旅行体験も得ています。
このように実際に利用している間は、会員権の価値を実感しやすくなります。
問題は利用しなくなった後です。
使わなくなった瞬間に固定費だけが残る
子どもが独立した。
仕事が忙しくなった。
高齢になって遠方への旅行が難しくなった。
別の旅行スタイルに変わった。
こうした理由で会員権を利用しなくなることがあります。
年間20泊していたころには十分価値があった会員権でも、年間1泊になれば状況は変わります。
利用価値は小さくなる一方、年会費などの固定費は残ります。
その時点で売却を検討できるかどうかが重要です。
使わなくなった会員権を何となく持ち続けることが、最も避けたい状態です。
相続すると子どもの負担になることもある
親にとって価値のある会員権でも、子どもにとって同じ価値があるとは限りません。
親は毎年利用していても、子どもは旅行しないかもしれません。
施設が子どもの住居から遠い場合もあります。
それでも相続すれば、年会費などを負担することになる可能性があります。
参考記事では、親族への譲渡や相続が増えていることが紹介されています。
家族が積極的に利用するのであれば、世代を超えて使える資産になります。
一方、誰も利用しないのであれば、相続前に売却するという選択肢も考える必要があります。
売却する基準を先に決めておく
会員権を購入するときに、将来の売却基準まで決めておく方法があります。
例えば年間利用日数が5泊を下回ったら売却を検討する。
75歳になったら家族と今後の保有について話し合う。
子どもが引き継がない場合には自分の代で売却する。
中古価格が一定水準を維持しているうちに手放す。
このような目安をあらかじめ決めておけば、利用しない会員権を長期間保有することを防ぎやすくなります。
買うときに出口を決めることは、悲観的な考え方ではありません。
長期間利用する資産だからこそ必要な準備です。
最後まで使って初めて総コストが分かる
リゾート会員権の本当のコストは購入時には確定しません。
購入価格があります。
保有中の年会費や管理費があります。
共有制なら税負担もあります。
施設を利用するたびに宿泊料金も発生します。
そして最後に売却代金があります。
例えば500万円で購入し、20年間で維持費を200万円支払い、最後に200万円で売却したとします。
宿泊料金を除いた単純な負担は500万円と200万円を合わせた700万円から、売却代金200万円を差し引いた500万円です。
その500万円で20年間に何泊利用したのかによって、会員権の経済的な評価は変わります。
入口だけではなく出口まで見なければ、本当のコストは分からないのです。
結論
リゾート会員権は、資産にも負担にもなります。
頻繁に施設を利用し、一般ホテルより割安な料金で家族旅行を楽しめる間は、大きな利用価値があります。
中古市場で売却できる会員権なら、一定の資産価値が残る可能性もあります。
一方、利用しなくなっても年会費や管理費などが続けば、会員権は固定費を生む存在になります。
さらに中古価格が下落したり、買い手が見つからなかったりすれば、簡単には手放せません。
だからこそ、購入するときに考えるべきなのは、どれだけ豪華な施設を利用できるかだけではありません。
何年間利用するのか。
年間何泊するのか。
利用しなくなったらいつ売るのか。
子どもへ引き継ぐのか。
最後はいくらで売却できそうなのか。
ここまで考えて初めて、リゾート会員権の全体像が見えてきます。
リゾート会員権では、買うときよりも手放すときを考えておくことが重要です。
出口まで設計できてこそ、長期間安心して利用できる資産になるといえるでしょう。
参考
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 <ステップアップ>リゾート、会員権で身近に ホテル代高騰で割安感
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 共有制、取得後に税負担