リゾート会員権の中古市場を見ると、価格には大きな差があります。
比較的手頃な価格で購入できるものがある一方、非常に高額で取引される会員権もあります。
さらに同じブランドや同じホテルに関係する会員権でも、価格が同じとは限りません。
なぜこれほど差がつくのでしょうか。
リゾート会員権の価格を決めるのは、建物の豪華さだけではありません。
施設の人気、立地、利用できる部屋や日数、予約条件、そして中古市場の需給など、複数の要素が組み合わさって価格が形成されます。
会員権には定価と市場価格がある
リゾート会員権の価格を理解するためには、まず新規販売価格と中古市場価格を分けて考える必要があります。
運営会社などが新しく会員権を販売するときには、一定の販売価格が設定されます。
しかし、その会員権が中古市場へ出てくると話は変わります。
中古市場では、
いくらで売りたい人がいるのか
いくらなら買いたい人がいるのか
という需給によって価格が決まります。
したがって、新規販売時に1000万円だった会員権が、中古市場でも必ず1000万円で取引されるわけではありません。
反対に、人気が高まり、中古市場で価格が上昇することもあります。
施設の人気が価格を左右する
最も分かりやすい要素が施設そのものの人気です。
多くの人が、
このホテルを利用したい
このリゾートの会員になりたい
と思えば、その会員権に対する需要が高まります。
一方、施設が古くなったり、利用したい人が減ったりすれば、会員権の需要も弱くなる可能性があります。
ここは住宅の中古市場にも似ています。
同じ築年数のマンションでも、人気物件とそうでない物件では中古価格が大きく違うことがあります。
リゾート会員権でも、単に施設が存在することではなく、その施設を利用したい人がどれだけいるかが重要になります。
立地によって価値が変わる
リゾート施設では立地も重要です。
人気観光地にある施設や、大都市圏からアクセスしやすい施設は利用しやすくなります。
どれほど豪華な施設でも、自宅から行くのに長い時間がかかれば、年間に何度も利用することは難しいかもしれません。
一方、交通の便がよく、週末でも利用しやすい場所であれば利用頻度を高めやすくなります。
リゾート会員権は保有すること自体より、実際に利用することに価値があります。
そのため、
行きたい場所か
だけでなく、
何度も行ける場所か
という点が価格にも影響します。
同じホテルでも部屋によって違う
同じホテルを利用できる会員権だからといって、すべて同じ価値とは限りません。
会員権によって利用できる客室のグレードなどが異なる場合があります。
広い客室を利用できる権利と、比較的小さな客室を利用する権利では、当然ながら利用価値が違います。
眺望や設備などに違いがあれば、それも需要に影響します。
つまり、
どのホテルを利用できるのか
だけを見るのでは不十分です。
そのホテルで、
どのような部屋を
どのような条件で
利用できるのかまで確認する必要があります。
利用できる日数も価格に影響する
リゾート会員権では、年間に利用できる日数や利用方法が定められている場合があります。
年間に多く利用できる会員権と、利用できる日数が限られている会員権では価値が異なります。
ただし、単純に日数が多ければ高いとも限りません。
重要なのは、
自分が利用したい日に利用できるか
です。
年間20日利用できても、自分が休める日に予約が取れなければ十分に活用できません。
逆に利用可能日数が少なくても、自分の旅行スタイルに合っていれば高い価値を感じる場合があります。
会員権の価値は、日数だけではなく利用しやすさまで含めて決まるのです。
人気の時期に使えるかどうかも重要
旅行需要は1年を通じて一定ではありません。
年末年始、ゴールデンウイーク、夏休みなどには利用希望が集中します。
そこで重要になるのが予約条件です。
会員権を持っていても、繁忙期に必ず予約できるとは限りません。
予約方法や抽選制度、利用可能日の割り当てなどは会員権によって異なります。
そのため同じホテルを利用できる会員権でも、
人気の時期に利用しやすい
予約の自由度が高い
といった条件があれば、需要が強くなる可能性があります。
ホテルの名前だけでは見えない部分が価格差を生むわけです。
利用できる施設の数でも違う
一つのホテルだけを利用する会員権もあれば、系列の複数施設を利用できる仕組みもあります。
旅行が好きな人にとって、毎回同じ場所へ行くとは限りません。
今年は海へ行き、次は温泉、その次は高原へ行きたいという人もいるでしょう。
利用できる施設が各地にあれば、旅行先の選択肢が増えます。
そのため系列施設の数や場所、新しい施設が増えているかどうかなども会員権の魅力に影響します。
一つの建物の価値だけではなく、
会員になることでどれだけ広いネットワークを利用できるのか
という点も重要になります。
中古市場では需給が価格を動かす
さまざまな条件があっても、最終的に中古価格を決める基本は需給です。
たとえば人気の会員権を100人が買いたいと考えているのに、売りに出ている会員権が10件しかなければどうなるでしょうか。
買い手同士の競争が起き、価格は上がりやすくなります。
反対に100件の会員権が売りに出ているのに、購入希望者が10人しかいなければ、売り手は価格を下げなければ売却しにくくなります。
つまり中古価格とは、
この施設はいくらの価値があるはずだ
という理論だけで決まるものではありません。
実際に買いたい人と売りたい人のバランスによって動きます。
高くなりすぎると買い手は別の価格帯へ移る
2026年7月の市場では興味深い動きがみられました。
リゾート会員権の平均価格は411万円となり、比較可能な2019年1月以降で最高値を更新しました。
一方、取引の中心には変化がみられました。
100万円以上300万円未満の中価格帯が取引件数全体の42%を占めました。
これに対し、それまで価格上昇をけん引していた300万円以上の高価格帯は、取引件数に占める割合が低下しました。
これは価格が上昇すれば、買い手が無条件に追いかけ続けるわけではないことを示しています。
高価格帯が割高だと感じれば、
もう少し安い会員権にしよう
と購入者が中価格帯へ移ることがあります。
需要は価格によっても変化するのです。
年会費も会員権価格に影響する
購入時の価格だけでなく、保有している間の費用も重要です。
たとえば中古価格が100万円と安くても、毎年高額な年会費が必要なら、購入希望者は慎重になるでしょう。
反対に購入価格が高くても、利用価値に対して維持費が妥当だと判断されれば需要が集まる場合があります。
リゾート会員権では、
購入価格
と
保有コスト
を分けて考える必要があります。
安く買える会員権が、必ずしも安く持てる会員権とは限りません。
将来売れるという期待も価格に影響する
購入者は現在の利用価値だけを考えているとは限りません。
将来使わなくなったときに売却できるかどうかも重要です。
中古市場で頻繁に取引され、購入希望者が多い会員権であれば、
必要なくなったら売れる可能性がある
と考えやすくなります。
一方、ほとんど取引がなく、買い手を見つけるのが難しい会員権であれば、購入をためらう人が増えるでしょう。
この違いが現在の価格にも反映されます。
つまり中古市場の流動性そのものが、会員権の価値の一部になるのです。
数十万円だから割安とは限らない
中古市場で非常に安い会員権を見つけると、
お買い得ではないか
と思うかもしれません。
しかし価格が安いことには理由がある場合があります。
利用希望者が少ない。
維持費が高い。
施設へ行きにくい。
利用条件が自分に合わない。
売却しにくい。
こうした事情が価格に反映されている可能性があります。
反対に数千万円する会員権だから必ず価値が高いとも限りません。
重要なのは市場価格の高低そのものではなく、
その価格で自分がどのような利用価値を得られるのか
です。
結論
リゾート会員権の価格は、ホテルの建設費や豪華さだけで決まるわけではありません。
施設の人気、立地、利用できる客室、利用可能日数、予約条件、系列施設の充実度、年会費など、さまざまな条件が価値を左右します。
そして中古市場では、最終的に買いたい人と売りたい人の需給によって価格が形成されます。
そのため同じブランドや同じホテルに関係する会員権でも、権利内容が違えば価格に大きな差が生まれることがあります。
数十万円だから安い。
数千万円だから価値が高い。
そう単純には判断できません。
リゾート会員権の価格を見るときに大切なのは、
いくらで売られているか
だけではなく、
その価格でどんな部屋を、いつ、何日、どの施設で利用できるのか
まで確認することです。
リゾート会員権の価格とは、ホテルという建物の値段ではありません。
その施設を将来どれだけ便利に利用できるのかという権利の価値と、それを欲しい人の多さが数字になって表れたものなのです。
参考
日本経済新聞 2026年9月5日朝刊 リゾート会員権 最高値 7月411万円 円安で国内旅行回帰