週末や長期休暇を自然豊かな場所で過ごしたい。
そんなときの選択肢として昔からあるのが別荘です。
自分の別荘を持てば、好きなときに訪れ、自宅とは違う環境で過ごすことができます。
一方、近年は別荘を丸ごと所有するのではなく、リゾート会員権を購入して会員制ホテルを利用する方法もあります。
どちらもリゾート地で継続的に過ごすための仕組みですが、お金のかかり方や管理の負担は大きく異なります。
リゾート会員権と別荘の違いを考えると、なぜ数百万円の会員権に需要があるのかも見えてきます。
別荘は不動産そのものを所有する
一般的な別荘を購入する場合、土地や建物などの不動産を取得します。
普通の住宅を購入する場合と基本的な考え方は同じです。
購入後は自分の財産になります。
そのため、自分や家族が利用するだけでなく、条件が整えば将来売却することもできます。
何より大きな特徴は、
自分専用の場所を持てる
ことです。
家具やインテリアを自分好みにできます。
私物を置いたままにすることもできます。
自分の家なので、基本的には宿泊するたびにホテルのような宿泊料金を支払う必要もありません。
この自由度が別荘の大きな魅力です。
別荘は買った後にもお金がかかる
ただし別荘は購入代金を支払えば終わりではありません。
不動産を所有する以上、保有している間にもさまざまな費用が発生します。
代表的なものが固定資産税です。
さらにマンション型であれば管理費や修繕積立金などが必要になることがあります。
戸建てであっても建物は少しずつ老朽化します。
屋根。
外壁。
給湯設備。
水回り。
空調設備。
こうしたものは長期間使えば修理や交換が必要になります。
別荘を利用していない期間にも建物は古くなっていきます。
つまり別荘には、
買う費用
だけでなく、
持ち続ける費用
があります。
年に数回しか使わなくても維持費は発生する
別荘の経済性を考えるうえで重要なのが利用頻度です。
たとえば年間10日しか使わない別荘でも、固定資産税や管理費などは基本的に1年分発生します。
建物の修繕も、
今年は10日しか使わなかったから10日分だけ傷む
というものではありません。
誰も利用していなくても湿気や寒暖差などの影響を受けます。
庭があれば草木も伸びます。
長期間訪れなければ、防犯や換気なども気になります。
そのため利用日数が少ないほど、1泊あたりに換算した実質的な負担が大きくなる可能性があります。
リゾート会員権は施設を共同で利用する
一方、リゾート会員権では、一つの施設を多くの会員で利用するのが基本です。
所有権型の会員権で不動産の共有持ち分を取得する場合もありますが、自分一人がホテル一棟や一室を365日自由に利用する仕組みとは異なります。
会員は一定のルールに従って予約し、施設を利用します。
つまり、
自分専用の別荘を持つ
のではなく、
必要なときに整備されたリゾート施設を利用する
という考え方です。
ここが別荘との大きな違いです。
数千万円の不動産を丸ごと買わなくてよい
人気リゾート地で別荘を購入しようとすれば、まとまった資金が必要になることがあります。
土地と建物を丸ごと取得するからです。
一方、リゾート会員権では、施設全体を一人で購入する必要はありません。
多くの会員が共同で施設を利用します。
そのため、数千万円の別荘を所有するより少ない初期負担で、一定水準のリゾート施設を継続的に利用できる場合があります。
2026年7月の中古リゾート会員権の平均価格は411万円でした。
もちろん411万円も大きなお金です。
しかし数千万円の別荘購入と比較すると、必要資金の性格は大きく異なります。
管理を自分でしなくてよいことが大きい
リゾート会員権の大きな利点の一つが管理です。
ホテル形式の施設であれば、客室の清掃や設備管理などは運営側が行います。
利用者は基本的に予約して施設へ行き、利用後は帰宅できます。
別荘ではそうはいきません。
久しぶりに訪れたら庭の草が伸びていた。
水回りに問題が起きていた。
設備が故障していた。
こうしたこともあり得ます。
リゾートで休むために行ったのに、到着して最初に掃除や管理をしなければならないということもあります。
会員制ホテルでは、この管理負担を施設側に任せられることに価値があります。
ただし会員権にも維持費がある
だからといって、リゾート会員権なら維持費が不要というわけではありません。
会員権によっては年会費などが必要です。
施設を利用するときに利用料金が発生する場合もあります。
したがって比較すべきなのは、
別荘は維持費がかかる
リゾート会員権は維持費がかからない
という単純な違いではありません。
別荘なら、
固定資産税
管理費
修繕費
保険料
その他の維持管理費
などを考えます。
会員権なら、
購入代金
年会費など
利用時の料金
名義変更などに関する費用
などを考えます。
両方の総額を比較する必要があります。
別荘は好きなときに行ける強みがある
管理面ではリゾート会員権が便利ですが、別荘には大きな強みがあります。
自分専用であることです。
自分の別荘なら、
今週末に行こう
と思ったときに、基本的にはホテルの客室を予約する必要はありません。
もちろん交通事情などはありますが、他人が泊まっているから利用できないという問題はありません。
一方、会員制リゾートでは多くの会員が同じ施設を利用します。
年末年始やゴールデンウイーク、お盆などには予約希望が集中します。
会員権を持っていても、希望日に必ず利用できるとは限りません。
自由度では別荘に大きな魅力があります。
私物を置いておけるかも大きな違い
別荘であれば、自宅と同じように自分の物を置いておくことができます。
衣類。
趣味の道具。
食器。
本。
スポーツ用品。
毎回自宅から運ぶ必要がありません。
長期間滞在する人にとっては非常に便利です。
一方、一般的な会員制ホテルは宿泊施設です。
自分専用の収納場所として自由に使えるわけではありません。
この違いは、
旅行としてリゾートへ行くのか
第二の家として暮らすのか
という利用目的の違いにつながります。
複数の場所へ行きたいなら会員権が向く場合もある
別荘は基本的に場所が固定されています。
軽井沢に別荘を買えば、別荘を利用する旅行先は軽井沢になります。
もちろん別のホテルへ旅行することもできますが、せっかく別荘を所有しているのであれば、
別荘を使わなければもったいない
という心理も働くでしょう。
一方、リゾート会員権によっては系列の複数施設を利用できるものがあります。
夏は高原。
冬は温泉。
別の季節には海。
このように旅行先を変えられる仕組みであれば、毎回違う場所へ行きたい人には魅力があります。
一つの場所に深く根を下ろしたい人と、さまざまな場所を旅行したい人では適した選択肢が違います。
売却の仕組みも違う
別荘を手放す場合は、不動産として売却するのが基本です。
売却価格は土地や建物の価値、立地、築年数、不動産市場の需給などによって決まります。
リゾート会員権を手放す場合には、中古会員権市場で買い手を探す方法があります。
こちらは施設の人気、利用条件、年会費、会員権市場の需給などが価格に影響します。
つまり同じリゾート関連の財産でも、
別荘は不動産市場
会員権は会員権市場
という異なる市場で価格が形成される側面があります。
どちらも購入時の価格で将来売却できる保証はありません。
相続するときにも考えることがある
別荘もリゾート会員権も、長期間保有すれば相続の問題が出てきます。
親が大好きだった別荘でも、子どもが使いたいとは限りません。
遠方に住んでいれば、年に一度も利用しないかもしれません。
それでも不動産を所有すれば維持管理の問題が続きます。
リゾート会員権でも同じです。
子どもが旅行に興味がなければ、年会費などが負担になる可能性があります。
購入するときには自分が使う期間だけでなく、
将来家族が引き継ぎたい財産なのか
という視点も持っておく必要があります。
何泊すれば得かだけでは決められない
別荘とリゾート会員権を比較すると、
年間何泊すれば元が取れるのか
と考えたくなります。
もちろん費用比較は重要です。
しかし両者は提供している価値そのものが少し違います。
別荘には、
自分だけの場所を持つ価値
があります。
会員制リゾートには、
管理を任せながら整備された施設を利用する価値
があります。
したがって単純な1泊単価だけでは判断できません。
自分がリゾートに何を求めているのかを考える必要があります。
別荘と会員権の中間という考え方
リゾート会員権が支持される理由の一つは、一般的なホテルと別荘の中間的な需要に応えられることです。
普通のホテルは、利用するたびに予約して宿泊します。
別荘は、自分専用の不動産を所有します。
リゾート会員権は、
普通のホテルより継続的に利用したい
しかし自分専用の別荘を丸ごと持つほどではない
という人にとって選択肢になります。
別荘を持つことから、リゾートを利用する権利を持つことへ。
所有より利用を重視する考え方ともいえます。
結論
リゾート会員権と別荘の最大の違いは、自分専用の不動産を丸ごと所有するのか、多くの会員と施設を利用するのかという点にあります。
別荘には、自分の好きなように使え、私物を置き、予約を気にせず利用できる魅力があります。
その一方で、購入費だけでなく、固定資産税や修繕、清掃、設備管理などを自分で負担する必要があります。
リゾート会員権では年会費や利用料金などが必要になる場合がありますが、施設の日常的な管理を自分でする必要はありません。
さらに仕組みによっては、系列の複数施設を利用できることもあります。
どちらが得かは一律には決められません。
一つの場所に第二の家を持ちたいのか。
それとも管理の手間を減らしながら、さまざまなリゾートを楽しみたいのか。
リゾート会員権が数百万円でも購入される理由は、単にホテルを安く利用できるからではありません。
数千万円の別荘を丸ごと所有しなくても、リゾートを日常生活の延長として繰り返し楽しめる。
その所有と利用の間にある選択肢こそ、リゾート会員権の一つの価値なのです。
参考
日本経済新聞 2026年9月5日朝刊 リゾート会員権 最高値 7月411万円 円安で国内旅行回帰