ホテルの宿泊料金が上昇するなか、リゾート会員権への関心が高まっています。
リゾート会員権というと、一部の富裕層が保有する高額な商品という印象を持つ人もいるかもしれません。
しかし、中古市場まで含めると価格帯は幅広く、10万円台から購入できるものもあります。
一般のホテル料金が高騰したことで、会員価格で宿泊できるリゾート会員権の割安感が相対的に強まっているのです。
ただし、単純に宿泊料金だけを比較して判断することはできません。
会員権の購入費用だけでなく、年会費や維持費、さらに共有制では税金もかかるからです。
リゾート会員権とは何か
リゾート会員権とは、リゾート地などにある会員制ホテルやコンドミニアムを利用するための権利です。
会員権を取得すると、年間の利用可能日数など一定の条件のもとで対象施設に宿泊できます。
大きな特徴は、宿泊時に支払う料金です。
一般的なホテルでは需要に応じて宿泊料金が大きく変動します。
特にゴールデンウイークや夏休み、年末年始などの繁忙期には宿泊料金が大幅に上昇することがあります。
一方、リゾート会員権では会員向けの宿泊料金が設定されており、同じ地域や同程度のホテルと比較して割安になる場合があります。
ホテル料金が上昇するほど、この価格差が目立ちやすくなるわけです。
1人当たりの宿泊料金が安くなることもある
参考記事では、グランドエクシブ軽井沢の本館にある48平方メートルのラージグレードが紹介されています。
1泊1万8,150円で、4人で利用すると1人当たり約4,538円です。
さらにジムやプールなどの施設も利用できます。
一般のホテルで同程度の広さや設備を求めれば、特に観光シーズンには相応の宿泊料金になるでしょう。
家族や友人など複数人で利用するほど、1人当たりの宿泊費を抑えやすいところもリゾート会員権の特徴です。
ただし、この1泊料金だけを見てお得と判断してはいけません。
会員になるための取得費用が別に必要だからです。
同じ系列の施設を利用できる場合がある
会員権には特定の施設名が付いていることが一般的です。
しかし、その施設だけしか利用できないとは限りません。
同じ運営会社や系列の施設を相互利用できる仕組みを採用しているケースがあります。
例えば、グランドエクシブ軽井沢の会員であっても、全国各地にある系列施設を利用できる場合があります。
これはリゾート会員権を考えるうえで重要なポイントです。
毎年同じ場所に旅行する人だけでなく、全国のさまざまな地域を旅行したい人にも利用価値が生まれるからです。
施設ごとの設備やサービス水準がある程度統一されていれば、初めて訪れる地域でも宿泊先を選びやすくなります。
新規購入と中古購入がある
リゾート会員権の取得方法は、大きく新規と中古に分かれます。
新規の場合は、運営会社が募集する会員権を購入します。
販売価格が決められているため、基本的にはその価格で取得します。
一方、中古の場合は既存の会員が手放した会員権を仲介業者などを通じて購入します。
中古価格は需要と供給によって変動します。
施設の人気や立地、築年数、利用できる客室のグレードなどによって価格が大きく異なります。
参考記事によると、リゾート会員権の価格帯は10万円台から3,000万円台まであります。
リゾート会員権と一口にいっても、かなり幅広い市場なのです。
会員権価格は上昇している
足元では中古会員権の価格も上昇しています。
参考記事によると、e会員権が集計した8月の平均価格は404万円でした。
前年同月と比較すると78万円、24%の上昇です。
背景の1つとして考えられているのが、国内旅行への需要です。
円安によって海外旅行の費用負担が大きくなれば、国内のリゾート施設を利用する選択肢が相対的に魅力を増します。
さらに一般ホテルの宿泊料金が上昇すれば、会員価格で宿泊できることの価値も高まります。
ただし、会員権価格が上昇しているからといって、投資商品として考えるのは注意が必要です。
値上がり益を目的に購入する商品ではない
中古会員権の価格は、施設の人気などによって変動します。
人気施設であれば価格が上昇することもあります。
一方、一般的には施設が古くなるにつれて中古価格が緩やかに下落する傾向があります。
さらに新しい施設では、転売目的の購入を防ぐため、3年から5年程度は名義変更や譲渡を禁止する場合があります。
つまり、購入後に価格が上昇しても、すぐに売却できるとは限りません。
株式や投資信託のように換金性の高い金融商品とは性格が大きく異なります。
リゾート会員権は値上がり益を狙う投資というより、自分や家族が施設を利用することで価値を得る商品と考えた方が分かりやすいでしょう。
購入価格だけで判断してはいけない
リゾート会員権を検討するときに重要なのが、購入後の費用です。
会員権を購入すれば終わりではありません。
年会費や施設の維持費などが継続的に発生します。
仮に年間10万円の維持費がかかり、年間5泊しか利用しなければ、それだけで1泊当たり2万円の固定費を負担している計算になります。
ここに会員権の取得費用と実際の宿泊料金が加わります。
そのため、一般ホテルとの比較では宿泊料金だけを見るのではなく、
会員権取得費用
年間維持費
年会費
宿泊料金
利用回数
売却時の価格
などを総合的に考える必要があります。
特に高額な会員権の場合、宿泊料金が一般ホテルより安いという理由だけで取得費用を回収することは簡単ではありません。
共有制では不動産を所有する
リゾート会員権には、大きく共有制と預託制があります。
共有制では、会員がホテルなどの不動産を共同で所有します。
つまり、単なるホテルの利用権ではありません。
施設の土地や建物について一定の持ち分を取得する仕組みです。
そのため、会員権取得時には不動産取得税が発生する場合があります。
さらに不動産を所有しているため、取得後も固定資産税などを負担することになります。
会員権の購入価格だけを見ていると、この税負担を見落とす可能性があります。
預託制では利用権を取得する
もう1つが預託制です。
預託制では、運営会社に一定のお金を預けることで施設を利用する権利を取得します。
共有制のように施設の不動産そのものを共同所有する仕組みではありません。
利用者から見れば、共有制でも預託制でもホテルを利用するという点では大きな違いを感じない場合があります。
しかし法律上や資産としての性格は異なります。
特に共有制では不動産を所有するため、取得時や保有期間中の税金まで含めて考える必要があります。
子どもや孫に引き継ぐケースもある
リゾート会員権は長期間利用されることがあります。
そのため、購入者本人だけでなく、次の世代への承継も重要になります。
参考記事によると、東急ハーヴェストクラブでは会員権を親族に譲渡したり、相続したりするケースが増えているといいます。
家族で何十年も利用してきた施設であれば、単純な経済価値だけでは判断できません。
子どもが小さい頃から毎年訪れた場所であれば、家族にとって思い出の資産になることもあります。
一方、子どもや孫がその施設を利用するとは限りません。
年会費や維持費を引き継ぐことにもなるため、相続させれば必ず喜ばれる資産とは限らない点にも注意が必要です。
ホテル代との単純比較では判断できない
ホテル代が高騰すると、リゾート会員権の宿泊料金は確かに魅力的に見えます。
しかし、本当のコストは宿泊料金だけではありません。
例えば500万円の会員権を購入して20年間利用するのであれば、単純計算でも取得費用だけで年間25万円です。
さらに年会費や維持費、共有制なら税負担が加わります。
一方で20年後に一定の価格で売却できれば、実質的な負担額は小さくなります。
つまり、
購入価格から将来の売却価格を差し引き、保有期間中の維持費や税金を加え、それを実際の宿泊回数で割る
という考え方が重要になります。
リゾート会員権は、1泊いくらというホテル料金だけでは本当の経済性を判断できない商品なのです。
結論
ホテル料金の上昇によって、リゾート会員権の割安感は以前より強まっています。
会員価格で宿泊でき、温泉やプール、ジムなどの設備を利用できることに加え、系列施設を相互利用できる商品もあります。
家族旅行などで毎年一定回数利用する人にとっては、有力な選択肢になるでしょう。
一方、購入価格だけでなく、年会費や維持費、宿泊料金、売却価格まで含めて考える必要があります。
さらに共有制では不動産取得税や固定資産税などの負担も考慮しなければなりません。
大切なのは、値上がりするかどうかではなく、自分や家族が実際にどれだけ利用するかです。
リゾート会員権は投資商品として考えるより、将来の旅行や余暇に先にお金を使う商品として考えると、その価値を判断しやすくなるのではないでしょうか。
参考
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 <ステップアップ>リゾート、会員権で身近に ホテル代高騰で割安感
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 共有制、取得後に税負担