フラット35には、一定の条件を満たすと住宅ローン金利が引き下げられる制度があります。
その優遇の大きさを決めるために使われているのがポイントです。
子育て世帯であること、省エネルギー性能の高い住宅を購入すること、中古住宅を購入することなど、それぞれの条件にポイントが設定されています。
そして獲得したポイントの合計によって、金利がどれだけ、何年間引き下げられるのかが決まります。
住宅ローンのポイントというと買い物でもらえるポイントのように見えますが、実際には住宅政策の目的と住宅ローンの金利優遇を結びつける仕組みなのです。
ポイント制とは何か
フラット35では、住宅の性能や家族構成など一定の条件を満たした場合にポイントが付与されます。
その合計ポイントに応じて、通常のフラット35の借入金利から一定期間、金利が引き下げられます。
例えば子育て世帯を支援したいのであれば、子どもの人数などに応じてポイントを付与します。
省エネルギー性能の高い住宅を普及させたいのであれば、一定の性能を持つ住宅にもポイントを付けます。
住宅ローン利用者から見ると、条件を満たすほど金利負担を軽減できる仕組みです。
一方、国から見ると、住宅ローンの金利優遇を利用して望ましい住宅取得や子育て世帯の住宅取得を後押しする政策でもあります。
1ポイントで金利が下がる
ポイント制を理解するうえで基本となるのが、ポイントと金利引き下げ幅の関係です。
フラット35では、原則として1ポイントにつき年0.25%の金利引き下げに対応します。
例えば1ポイントなら一定期間、年0.25%の引き下げです。
2ポイントなら年0.5%、3ポイントなら年0.75%、4ポイントなら年1%という考え方になります。
住宅ローンでは0.25%という数字は小さく見えるかもしれません。
しかし住宅ローンは数千万円を20年、30年、35年という長期間にわたって返済します。
そのため金利がわずかに違うだけでも、毎月の返済額や支払う利息には差が生じます。
金利優遇は住宅取得者にとって実質的な経済支援になるのです。
最初の5年間には上限がある
ポイントをたくさん獲得すれば、最初から際限なく金利が下がるわけではありません。
最初の5年間については、4ポイント分となる年1%の金利引き下げが上限です。
例えば条件を組み合わせて4ポイントを獲得した場合、当初5年間について年1%引き下げるという考え方になります。
では5ポイント以上を獲得した場合、余ったポイントは無駄になるのでしょうか。
そうではありません。
最初の5年間に使い切れなかったポイントについては、その後の期間の金利引き下げに回すことができます。
このためポイント数が多くなると、金利引き下げ幅だけでなく、優遇を受けられる期間にも違いが出てきます。
複数の優遇を組み合わせられる
ポイント制の重要な特徴が、一定の条件のもとで複数の金利引き下げメニューを組み合わせられることです。
例えば子育て世帯が、省エネルギー性能の高い住宅を購入するケースを考えてみます。
子育て世帯としての条件を満たし、さらに住宅性能についても条件を満たせば、それぞれに対応したポイントを合計できる場合があります。
さらに地域に関する条件などを満たせば、別の優遇制度と組み合わせられる場合もあります。
つまりフラット35の金利を見るときには、基準となる金利だけを確認するのでは不十分です。
自分の世帯と購入する住宅がどの優遇条件に該当し、最終的に何ポイントになるのかを確認する必要があります。
同じ金額を借りる場合でも、住宅の性能や家族構成などによって実際の金利負担が変わる可能性があります。
なぜ住宅性能で金利を下げるのか
住宅ローンの金利と住宅性能は、一見すると関係がないように思えます。
しかしフラット35の金利優遇には住宅政策という側面があります。
例えば断熱性能や省エネルギー性能の高い住宅を増やしたいのであれば、そのような住宅を購入する人の金利を優遇します。
住宅購入者にとっては、高性能な住宅を購入する初期負担を金利面から軽減できます。
国にとっては、住宅ローンという仕組みを通じて省エネルギー住宅などの普及を促すことができます。
単純に住宅を買った人全員の金利を下げるのではなく、政策上促進したい住宅や世帯を重点的に支援する仕組みになっているわけです。
子育て支援にもポイントを使う
住宅性能だけではなく、家族構成もポイントに反映されます。
代表的なのがフラット35子育てプラスです。
子育て世帯や若年夫婦世帯の住宅取得を金利面から支援する仕組みです。
子育てには教育費や食費など長期間にわたって多くのお金が必要になります。
さらに子どもが増えれば、より広い住宅が必要になる家庭もあります。
住宅価格が上昇すれば、こうした世帯ほど住宅取得の負担が重くなる可能性があります。
そこで住宅ローンの金利を引き下げることで、住宅取得時の負担を軽減します。
ポイント制は住宅政策だけでなく、子育て政策とも結びついているのです。
金利だけで住宅を選ばないことも重要
金利優遇が大きい住宅を見ると、できるだけ多くのポイントを獲得した方が得だと考えたくなります。
しかし住宅購入では、金利優遇だけで物件を決めるべきではありません。
例えば高い住宅性能を得るために物件価格が大幅に高くなれば、金利優遇による負担軽減を上回る可能性があります。
中古住宅なら購入後の修繕費やリフォーム費も考える必要があります。
住宅ローンの負担は、金利だけで決まるわけではありません。
住宅価格、借入額、頭金、金利、返済期間、維持管理費などを合わせて考える必要があります。
ポイント制度は住宅選びの判断材料の一つとして利用することが大切です。
ポイント制を知ると住宅政策が見える
フラット35のポイント制を見ると、国がどのような住宅や世帯を支援しようとしているのかも見えてきます。
子育て世帯を支援する。
省エネルギー性能の高い住宅を増やす。
質の高い中古住宅の流通を促す。
地域の住宅政策を後押しする。
こうした複数の政策目的を金利優遇という形で住宅購入者の行動につなげています。
住宅ローンは単なる金融商品ではありません。
フラット35については、住宅政策を実現するための手段という側面もあるのです。
結論
フラット35のポイント制とは、家族構成や住宅性能など一定の条件を満たした場合にポイントを付与し、その合計に応じて住宅ローン金利を一定期間引き下げる仕組みです。
基本的には1ポイントにつき年0.25%の金利引き下げに対応し、最初の5年間は年1%の引き下げが上限となります。
さらに一定の条件のもとで複数の金利引き下げメニューを組み合わせることができます。
この制度の特徴は、単に住宅ローンを安くすることではありません。
子育て支援、省エネルギー住宅の普及、中古住宅の活用など、国が進めたい政策と住宅ローンの金利優遇を結びつけています。
フラット35を検討するときには表示されている基準金利だけを見るのではなく、自分の世帯と購入する住宅が何ポイントに該当するのかまで確認することが重要です。
参考
日本経済新聞 2026年9月10日朝刊 「フラット35」、子育て世帯の優遇拡充 中古住宅購入の金利下げ