ノンアルコールビールは1%なのにビールはなぜ10%なのか 酒類だけ減税対象から外れる理由編

税理士
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2027年4月から予定されている飲食料品の消費税率1%への引下げでは、食品だけでなく多くの飲料も対象になります。

しかし、飲み物ならすべて1%になるわけではありません。

代表的な例がビールとノンアルコールビールです。

ビールは10%のままですが、飲食料品に該当するノンアルコールビールは1%になります。

現在は8%と10%の2ポイント差ですが、これが1%と10%の9ポイント差へ広がります。

見た目も味わいも似た商品で、なぜこれほど大きな税率差が生まれるのでしょうか。

飲食料品でも酒類は対象外

現在の消費税の軽減税率では、一定の飲食料品に8%が適用されています。

ただし、酒類は対象から除かれています。

そのため、スーパーで購入して自宅で飲むビールであっても10%です。

予定されている2027年4月からの消費税率引下げでも、この基本的な線引きが引き継がれます。

飲食料品は1%になりますが、酒類は10%のままです。

つまり、飲み物かどうかではなく、酒類に該当するかどうかが税率を分ける重要な基準になります。

ビールは10%のまま

ビールは酒税法上の酒類です。

そのため、現在の軽減税率8%の対象ではありません。

消費税率は10%です。

飲食料品の税率が1%へ引き下げられても、酒類であるビールにはその減税は適用されません。

発泡酒などについても、酒類に該当する商品であれば基本的な考え方は同じです。

食事と一緒に飲むものであっても、消費税では一般の飲食料品とは別に扱われることになります。

ノンアルコールビールは飲食料品

一方、ノンアルコールビールは、酒税法上の酒類に該当しない商品であれば飲食料品として扱われます。

そのため現在は8%です。

予定されている制度が実施されれば、2027年4月から1%になります。

スーパーの売り場では、ビールとノンアルコールビールが近くに並んでいることも珍しくありません。

消費者から見れば代替関係にある商品でもあります。

しかし消費税では、酒類か飲食料品かという分類によって10%と1%に分かれるわけです。

現在の税率差は2ポイント

現在でもビールとノンアルコールビールの消費税率は異なります。

ビールは10%です。

ノンアルコールビールは8%です。

差は2ポイントです。

税抜価格200円の商品で単純に比較すると、8%なら税込216円、10%なら税込220円です。

税率による差は4円です。

この程度であれば、味やブランド、アルコールを飲みたいかどうかといった要素の方が商品選択に大きく影響すると考えられます。

2027年4月から差は9ポイントへ

飲食料品が1%になると状況は大きく変わります。

税抜価格200円のノンアルコールビールなら、1%で税込202円です。

同じ税抜価格のビールなら、10%で税込220円です。

差は18円になります。

6本なら税率だけで108円、24本なら432円の差です。

購入数量が増えるほど、9ポイントの税率差が家計に見えやすくなります。

これまで存在していた税率の境界線が、税込価格にはっきり表れるようになるわけです。

ビールには消費税だけでなく酒税もある

ビールを考えるときには、もう一つ注意したい点があります。

酒類には消費税とは別に酒税があります。

したがって、ビールとノンアルコールビールの価格差をすべて消費税だけで説明することはできません。

原材料や製造方法、ブランド、販売戦略なども価格を左右します。

重要なのは、2027年4月から予定されている飲食料品の消費税率引下げによって、消費税という一つの要素だけを見ても1%と10%の大きな差が生まれることです。

税率差でノンアルコールへ移る人は増えるのか

注目されるのは消費者の行動です。

もともとビールを飲みたい人が、18円安いからという理由だけでノンアルコールビールに変更するとは限りません。

アルコールを飲むこと自体に価値を感じている人にとって、両者は完全に同じ商品ではないからです。

一方、食事に合わせる飲み物としてビールとノンアルコールビールのどちらでもよいと考える人なら、価格差が商品選択に影響する可能性があります。

特に物価高で節約志向が強い状況では、購入頻度の高い商品ほど税込価格の差が意識されやすくなります。

飲食店ではさらに別の問題が生じる

ここで話が少し複雑になります。

スーパーなどで持ち帰る飲食料品と、飲食店で提供される飲食サービスでは消費税上の扱いが異なるからです。

ノンアルコールビールそのものが飲食料品であっても、飲食店で店内飲食として提供されれば外食として標準税率の対象になります。

つまり、同じ商品でも、どこでどのような形で購入するかによって税率が変わる可能性があります。

飲食料品の税率が1%まで下がれば、この持ち帰りと外食の境界線も現在以上に重要になります。

税率差は企業の販売戦略にも影響する

1%と10%の差は、メーカーや小売店にとっても無視できません。

例えばスーパーでは、ビールとノンアルコールビールの税込価格差が広がれば、売り場で価格差がこれまで以上に目立つ可能性があります。

メーカー側も、消費者がどの程度価格に反応するのかを見極める必要があります。

ただし、今回の1%への引下げは2年間限定です。

一時的な税率差だけを前提として、商品開発や製造設備に大規模な投資をすることには慎重になる企業も多いと考えられます。

複数税率の難しさが見えやすくなる

ビールとノンアルコールビールの違いは、複数税率制度の特徴を分かりやすく示しています。

どこかで1%と10%を分ける以上、境界線のすぐ両側には似た商品が存在します。

その差が2ポイントであれば目立ちにくくても、9ポイントになれば価格への影響は大きくなります。

消費税減税によって家計負担が軽くなる一方で、どの商品までを減税するのかという制度設計の重要性も高まることになります。

結論

2027年4月から予定されている飲食料品の消費税率1%への引下げでは、ビールとノンアルコールビールの税率差が大きく広がります。

ビールは酒類であるため10%のままです。

一方、酒類に該当しないノンアルコールビールは飲食料品として1%になります。

現在の8%と10%の2ポイント差が、1%と10%の9ポイント差になるわけです。

重要なのは、消費者から見て商品が似ているかどうかではなく、酒類に該当するかという法的な分類によって消費税率が決まることです。

税率差が9ポイントまで広がれば、商品の価格競争や消費者の選択にも影響する可能性があります。

ビールとノンアルコールビールは、飲食料品1%という制度が持つメリットだけでなく、複数税率における境界線の難しさを考えるうえでも象徴的な事例といえます。

参考

日本経済新聞 2026年9月20日 朝刊 消費減税、類似品に差
国税庁 消費税の軽減税率制度

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