オロナミンCとリポビタンDはなぜ税率が違うのか 似た栄養ドリンクでも食品と医薬部外品に分かれる理由編

税理士
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スーパーやコンビニ、ドラッグストアには、疲れたときや元気を出したいときに手に取るさまざまな飲料が並んでいます。

オロナミンCとリポビタンDも、消費者から見れば似た場面で選ばれることがある商品です。

しかし、消費税では両者の扱いが異なります。

オロナミンCは食品として現在8%の軽減税率が適用されていますが、リポビタンDは指定医薬部外品であるため10%です。

2027年4月から予定されている飲食料品の消費税率1%への引下げが実施されれば、この差は1%と10%へ拡大します。

なぜ同じように飲む商品なのに、これほど大きな税率差が生まれるのでしょうか。

オロナミンCは食品として扱われる

オロナミンCは、税制上は飲食料品として扱われます。

現在の消費税では飲食料品に軽減税率8%が適用されています。

そのため、予定されている消費税率引下げが実施されれば、2027年4月から1%の対象になります。

ここで重要なのは、栄養を補給するために飲むのか、のどが渇いたから飲むのかといった消費者の目的ではありません。

商品そのものが食品として扱われていることがポイントです。

リポビタンDは指定医薬部外品

一方、リポビタンDは指定医薬部外品です。

指定医薬部外品は、消費税の軽減税率制度における飲食料品には該当しません。

そのため現在も10%の標準税率が適用されています。

飲食料品の税率が1%へ引き下げられても、指定医薬部外品の税率まで1%になるわけではありません。

リポビタンDには引き続き10%が適用されます。

つまり、見た目はどちらも瓶入りの飲料であっても、食品なのか指定医薬部外品なのかによって税率が分かれるわけです。

飲めるものなら食品というわけではない

消費者の感覚では、口から摂取するものを広く食品と考えたくなります。

しかし、消費税の軽減税率ではそう単純ではありません。

医薬品や医薬部外品は、飲んだり食べたりするものであっても軽減税率の対象となる飲食料品には含まれません。

そのため、ドラッグストアでは同じような棚に並んでいる商品でも税率が違うことがあります。

商品の形ではなく、法令上どのカテゴリーに分類されているのかが重要なのです。

現在は8%と10%の2ポイント差

現在の制度でも、オロナミンCとリポビタンDには税率差があります。

食品であるオロナミンCは8%です。

指定医薬部外品であるリポビタンDは10%です。

ただし、その差は2ポイントです。

例えば税抜価格が100円の商品で考えると、8%なら税込108円、10%なら110円です。

差は2円です。

商品そのものの価格やブランドの違いと比べれば、税率差が消費者の商品選択を大きく左右する場面は限られていたと考えられます。

2027年4月から税率差は9ポイントへ

ところが飲食料品の税率が1%になれば状況は変わります。

食品は1%、指定医薬部外品は10%です。

税率差は9ポイントになります。

税抜価格100円なら、1%の商品は税込101円です。

10%の商品は税込110円です。

税率だけで9円の差が生じます。

税抜価格1,000円なら90円の差です。

現在の8%と10%に比べると、税率による価格差の存在感が大きくなります。

価格だけで商品が選ばれるとは限らない

もっとも、税率が低い商品に消費者が一斉に乗り換えるとは限りません。

特に栄養ドリンクなどでは、ブランドや商品の特徴を意識して購入している人も多いからです。

いつも飲んでいる商品だから買う。

特定の商品に期待して購入する。

味が好きだから選ぶ。

こうした要素が強ければ、数円から数十円の価格差だけで購入する商品を変更するとは限りません。

消費税率は商品の競争条件の一つではありますが、商品選択を決める唯一の要素ではありません。

税率差が大きいほど商品分類が注目される

それでも1%と10%の9ポイント差には大きな意味があります。

これまで消費者がほとんど意識していなかった商品の法的な分類が、税込価格を通じて見えるようになるからです。

なぜこちらは1%なのに、こちらは10%なのか。

その疑問を持つ消費者が増える可能性があります。

小売店側も、どの商品が食品で、どの商品が医薬品や医薬部外品なのかを正確に管理しなければなりません。

税率差の拡大は、商品の分類を消費税実務の重要な問題に変えることになります。

税率を目的に分類を自由に変えられるわけではない

企業にとって1%と10%の差が大きいのであれば、すべての商品を食品として販売すればよいのではないかと思うかもしれません。

しかし、企業が消費税だけを見て商品の分類を自由に決められるわけではありません。

商品の成分や表示、効能効果の標榜などには、それぞれの制度に基づくルールがあります。

食品と医薬品や医薬部外品の違いは、消費税のためだけに設けられている区分ではありません。

したがって、税率だけを理由に簡単にカテゴリーを変更できるものではないのです。

2年間限定であることも企業行動に影響する

さらに今回の飲食料品1%は、2年間限定の措置として予定されています。

2027年4月から2029年3月までという限られた期間のために、新商品を開発したり既存商品の設計を大きく変更したりするのは企業にとって簡単ではありません。

商品開発には研究、製造、表示、パッケージ、販売などさまざまなコストがかかります。

税率差が大きくても、そのメリットを享受できる期間が短ければ、投資を回収できない可能性があります。

そのため、9ポイントの税率差がそのまま企業の商品開発競争につながるとは限りません。

結論

オロナミンCとリポビタンDは、消費者から見れば似た場面で購入されることがある飲料です。

しかし、消費税では商品の見た目や飲む目的ではなく、税制上の分類によって税率が決まります。

オロナミンCは食品として飲食料品に該当するため、予定されている制度では2027年4月から1%になります。

一方、リポビタンDは指定医薬部外品であるため10%のままです。

現在の2ポイントだった税率差は9ポイントへ広がります。

この事例から分かるのは、飲食料品の消費税率を大幅に引き下げると、これまで目立たなかった商品の境界線が税込価格に大きく表れるということです。

消費税1%を考えるときには、どれだけ税率が下がるのかだけではなく、なぜその商品が1%になるのかという分類にも目を向ける必要があります。

参考

日本経済新聞 2026年9月20日 朝刊 消費減税、類似品に差
国税庁 消費税の軽減税率制度

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