みりんは10%なのにみりん風調味料はなぜ1%なのか 料理に使う商品でも税率が違う理由編

税理士
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煮物や照り焼きなど、日本の家庭料理でよく使われる調味料にみりんがあります。

スーパーの調味料売り場を見ると、本みりんとみりん風調味料が並んでいることがあります。

料理での使い方はよく似ていますが、消費税では同じ扱いとは限りません。

本みりんは酒類に該当するため10%です。

一方、酒類に該当しないみりん風調味料は飲食料品として扱われ、2027年4月から予定されている飲食料品の消費税率引下げが実施されれば1%になります。

同じ料理に使う商品なのに、なぜ1%と10%に分かれるのでしょうか。

本みりんは調味料でも酒類

本みりんは料理に使う調味料というイメージが強い商品です。

しかし、消費税の税率を判断するときには、料理に使うかどうかだけで決まるわけではありません。

本みりんは酒税法上の酒類に該当します。

現在の軽減税率制度では、酒類は軽減税率の対象となる飲食料品から除外されています。

そのため、本みりんには現在10%の消費税率が適用されています。

予定されている飲食料品1%への引下げが実施されても、酒類である本みりんは10%のままです。

みりん風調味料は飲食料品

一方、みりん風調味料は、本みりんと似た用途で使用されますが、酒類に該当しない商品があります。

酒類に該当せず、食品として販売されているみりん風調味料であれば飲食料品として扱われます。

現在は8%の軽減税率の対象です。

2027年4月から予定されている制度では、この税率が1%になります。

つまり、本みりんは10%、みりん風調味料は1%という大きな税率差が生まれることになります。

料理に使うかどうかでは税率は決まらない

この違いを理解するうえで重要なのが、商品の用途と税制上の分類を分けて考えることです。

本みりんもみりん風調味料も、煮物や照り焼きなどに使われます。

消費者から見れば、どちらも調味料です。

しかし、消費税では料理に使うから飲食料品になるという考え方ではありません。

酒類に該当する本みりんは10%。

酒類に該当しない食品であるみりん風調味料は1%。

商品の用途が似ていても、法的な分類が異なれば税率も異なるわけです。

現在は8%と10%の2ポイント差

この違いは現在の軽減税率制度でも存在します。

本みりんは10%です。

軽減税率の対象となるみりん風調味料は8%です。

現在の差は2ポイントです。

例えば税抜価格500円の商品なら、8%では税込540円、10%では税込550円です。

税率による差は10円です。

この程度であれば、消費者が商品を選ぶ際には価格そのものや味、品質、ブランドなどの違いの方が重要になることも多いでしょう。

1%と10%なら45円の差になる

ところが、飲食料品が1%になれば税率差は9ポイントになります。

税抜価格500円の商品なら、1%では税込505円です。

10%では税込550円です。

差は45円になります。

現在の10円から大きく広がります。

本みりんとみりん風調味料の税抜価格が同じとは限らないため、実際の店頭価格を単純に比較することはできません。

それでも、消費税という一つの要因だけを取り出せば、税率差による影響が大きくなることは確かです。

塩やしょうゆなどは基本的に1%

ほかの一般的な調味料と比較すると違いがさらに分かりやすくなります。

塩や砂糖、しょうゆ、みそなどは食品です。

そのため、対象となる商品であれば2027年4月から1%になります。

本みりんだけが料理に使う調味料だから10%なのではありません。

酒類に該当することが10%になる理由です。

スーパーの調味料売り場では、ほとんどの商品が1%なのに、一部の商品だけ10%という状況が生じる可能性があります。

料理酒でも同じ問題が起こる

同じような問題は料理酒でも生じます。

料理に使う商品だからといって、必ず飲食料品として1%になるわけではありません。

酒税法上の酒類に該当する料理酒であれば、酒類として軽減税率の対象外になります。

一方、酒類に該当しない食品としての料理用調味料もあります。

したがって、料理用という商品名だけを見て税率を判断することはできません。

実際の商品が税制上どのように分類されているのかを確認する必要があります。

小売店では商品ごとの税率管理が重要になる

税率差が9ポイントまで広がれば、小売店にとっても商品の分類がこれまで以上に重要になります。

スーパーでは、本みりん、みりん風調味料、料理酒、料理用調味料など、見た目や用途の似た商品を多数扱っています。

それぞれについて正しい税率をPOSレジの商品マスターに登録しなければなりません。

1%の商品を誤って10%に設定すれば、消費者から本来より多くの消費税相当額を受け取る形になります。

逆に10%の商品を1%として処理すれば、事業者側の税務処理にも問題が生じます。

税率差が大きくなるほど、商品管理の正確性が重要になります。

税率差が商品選択に影響する可能性

消費者にとっても、税率差は商品選択の新しい要素になります。

これまで本みりんを購入していた人が、価格差を理由にみりん風調味料へ変更するケースが出る可能性があります。

ただし、本みりんとみりん風調味料は完全に同じ商品ではありません。

原材料や製造方法、風味などには違いがあります。

そのため、9ポイントの税率差が生まれたからといって、消費者が一斉に税率の低い商品へ移るとは限りません。

価格と品質のどちらを重視するかによって選択は変わります。

身近な商品ほど複数税率の境界線が見える

本みりんとみりん風調味料の例が興味深いのは、特別な商品ではなく家庭で日常的に使う調味料だからです。

飲食料品の税率を1%まで下げれば、これまであまり意識されなかった税制上の区分が毎日の買い物の中に見えるようになります。

商品が何に使われるか。

売り場のどこに置かれているか。

見た目がどれだけ似ているか。

こうした要素ではなく、税制上どのカテゴリーに分類されているかによって1%と10%が決まります。

複数税率制度では、税率差を大きくするほど、この境界線の存在感も大きくなるのです。

結論

本みりんとみりん風調味料は、どちらも料理に使われるよく似た商品です。

しかし消費税では、本みりんは酒類に該当するため10%となります。

一方、酒類に該当しないみりん風調味料は飲食料品として、予定されている制度では2027年4月から1%になります。

現在の8%と10%という2ポイント差は、1%と10%の9ポイント差へ広がります。

重要なのは、商品の用途ではなく法的な分類によって税率が決まることです。

料理に使うから1%になるわけでも、調味料だから1%になるわけでもありません。

本みりんとみりん風調味料の違いは、飲食料品の消費税率を大幅に引き下げたとき、身近な商品の間にも大きな税率差が生まれることを示す分かりやすい事例です。

参考

日本経済新聞 2026年9月20日 朝刊 消費減税、類似品に差
国税庁 消費税の軽減税率制度

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