データドリブン行政とは何か 行政はデータで意思決定する時代へ編

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行政を取り巻く環境は、デジタル技術の進展によって大きく変化しています。これまでは経験や慣例に基づいて判断されることも少なくありませんでしたが、近年では客観的なデータを活用して政策や行政運営を行う「データドリブン行政」が重視されるようになっています。

国税庁でも、KSK2の導入やAIの活用により、税務行政をデータに基づいて高度化する取り組みが進められています。税務調査の対象選定や業務の効率化、納税者サービスの向上など、さまざまな場面でデータ活用が重要な役割を果たしています。

今回は、データドリブン行政とは何か、その考え方や税務行政への応用について解説します。

データ活用

データドリブン行政とは、行政が保有するデータを分析し、その結果を基に意思決定や政策立案を行う考え方です。

従来の行政では、担当者の経験や過去の慣行が重視される場面もありました。

もちろん経験は重要ですが、社会が複雑化する中では、それだけでは十分とはいえません。

そこで、

  • 統計データ
  • 行政データ
  • 電子申告データ
  • 各種調査結果

などを活用し、客観的な根拠に基づいて判断することが求められています。

例えば税務行政では、全国から集まる膨大な申告データを分析することで、申告漏れの傾向や不正申告の特徴を把握し、より効率的な行政運営につなげています。

EBPMとの関係

データドリブン行政と密接に関係する考え方が「EBPM」です。

EBPMとは、「Evidence Based Policy Making」の略で、日本語では「証拠に基づく政策立案」と訳されています。

EBPMでは、

  • 客観的な統計
  • 調査結果
  • データ分析

などを活用して政策を立案・評価します。

例えば、

「どの制度が最も効果を上げているのか」

「どの地域で支援が必要なのか」

といった課題について、データを基に判断します。

データドリブン行政は行政運営全体の考え方であり、EBPMは政策立案の手法という違いがありますが、いずれも「データを根拠に意思決定する」という共通点があります。

税務行政への応用

国税庁では、データドリブン行政の考え方がさまざまな場面で取り入れられています。

例えば、

  • AIによる申告漏れリスク分析
  • 電子申告データの分析
  • 不正還付パターンの把握
  • 税務調査対象の選定

などです。

これらは、膨大なデータを分析することで、人だけでは見つけにくい傾向や異常を把握する取り組みです。

また、2026年9月に導入予定のKSK2では、紙で管理していた情報のデータ化が進み、AIが活用できるデータ量も大幅に増えるとされています。

その結果、より精度の高い分析が可能となり、税務行政の効率化や公平性の向上が期待されています。

データ活用がもたらすメリットと課題

データドリブン行政には多くのメリットがあります。

例えば、

  • 客観的な判断ができる
  • 行政資源を効率的に配分できる
  • 不正の早期発見につながる
  • 納税者サービスの改善に役立つ

などです。

一方で、課題もあります。

データの誤りや偏りがあれば、分析結果にも影響が及びます。

また、個人情報を適切に保護しながらデータを活用することも重要です。

さらに、AIによる分析結果だけに頼るのではなく、その結果を職員が確認し、最終的な判断を行う仕組みも欠かせません。

データを活用することと、人の判断を尊重することの両立が、これからの行政運営では重要になります。

今後の行政はデータが社会を支える基盤になる

データドリブン行政は、税務行政だけに限られた取り組みではありません。

医療、福祉、防災、教育など、さまざまな分野でデータ活用が進められています。

行政サービスの質を高めるためには、必要な情報を適切に収集し、分析し、政策や業務改善につなげることが不可欠です。

その一方で、データの利用目的を明確にし、透明性を確保することも重要になります。

国民の信頼を得ながらデータを活用することが、これからの行政には求められています。

結論

データドリブン行政とは、行政が保有するデータを分析し、その結果を基に意思決定や行政運営を行う考え方です。国税庁では、AIやKSK2を活用して税務調査の高度化や業務効率化を進めており、データを活用した行政運営が着実に広がっています。

今後は、EBPMの考え方と組み合わせながら、より効果的で公平な行政サービスの実現が期待されます。そのためには、データの活用だけでなく、個人情報保護や説明責任にも十分配慮し、国民の信頼を維持しながらデジタル化を進めていくことが重要です。

参考

税のしるべ「国税庁におけるAIの活用を公表、9月にKSK2の導入で予測モデルの精度が向上へ」2026年8月3日

国税庁「国税庁におけるAIの活用」2026年7月27日

デジタル庁「デジタル社会の実現に向けた重点計画」

内閣官房「EBPM(証拠に基づく政策立案)に関する資料」

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