TOPIX除外はなぜ段階的に行われるのか 2028年7月まで時間をかけて比率を下げる理由編

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2026年10月から始まる新TOPIXへの移行では、基準を満たさなくなった企業が一度にTOPIXから外されるわけではありません。

対象となる銘柄について、TOPIXへの組み入れに使われる比率を段階的に引き下げ、2028年7月まで時間をかけて除外していく仕組みが設けられています。

なぜ、すぐに除外しないのでしょうか。

大きな理由の1つが、TOPIXに連動する巨額の運用資金への影響です。

多数の銘柄を一度に除外すれば、指数連動型の投資信託やETFなどから売り注文が集中する可能性があります。

そこで市場への影響を抑えるため、時間をかけて新しいTOPIXへ移行するのです。

TOPIXから外れるとパッシブファンドは売却する

TOPIXには多くの投資信託やETFなどが連動しています。

こうしたパッシブファンドは、TOPIXとできるだけ同じ値動きになるように株式を保有します。

ある企業がTOPIXから完全に除外されれば、その企業を保有し続ける必要性は低下します。

そのため指数の変更に合わせて株式を売却することになります。

もし数百銘柄が同じ日に完全除外されれば、多数の銘柄で売り注文が発生する可能性があります。

新TOPIXでは構成銘柄数が大きく減る見込みであるため、この問題は特に重要になります。

新TOPIXでは約4割の銘柄が減る見込み

現在のTOPIXは1600銘柄を超える企業で構成されています。

参考記事では、QUICKが2026年8月までのデータを使って試算した結果、最終的な新TOPIXの構成銘柄数は987銘柄になるとしています。

現在と比べると約4割減る計算です。

仮にこれだけの銘柄を一度に除外すれば、指数連動資金による売却も集中する可能性があります。

企業側だけでなく、投資家にも大きな影響が及びかねません。

そこで採用されたのが、段階的に組み入れ比率を下げていく方法です。

移行係数とは何か

段階的な移行を理解するうえで重要なのが、移行係数です。

TOPIXでは、それぞれの企業の浮動株時価総額などをもとに指数への影響度が決まります。

新しい基準を満たさない銘柄については、その指数計算上の比率を一度にゼロにするのではなく、移行係数を段階的に引き下げます。

簡単にいえば、

これまで100%反映していたものを87.5%にする

その後75%にする

さらに62.5%にする

というように、少しずつTOPIXへの反映を小さくしていく考え方です。

最終的にゼロになれば、TOPIXから完全に除外されることになります。

2026年10月にまず87.5%へ下がる

参考記事によると、新TOPIXの基準を満たさなかった銘柄は、2026年10月30日に組み入れに使われる比率が100%から87.5%へ引き下げられます。

その後は3カ月ごとに12.5ポイントずつ引き下げていきます。

つまり一度に、

100%から0%

とするのではありません。

100%

87.5%

75%

62.5%

というように、段階的にTOPIXに占める比率を小さくしていきます。

指数連動型ファンドも、それに合わせて保有株式を少しずつ調整できるようになります。

なぜ12.5ポイントずつ下げるのか

段階的に比率を下げる最大の目的は、市場への衝撃を和らげることです。

例えばTOPIX連動型ファンド全体で、ある銘柄を1,000億円保有していたと仮定します。

その銘柄を一度に完全除外すれば、大量の売却が短期間に集中する可能性があります。

一方、指数への反映割合を段階的に下げれば、ファンド側も複数回に分けて保有額を減らすことができます。

売却時期を分散させることで、市場の需給に与える影響を抑えやすくなります。

指数改革を行う場合には、「どの企業を残すか」だけでなく、「どのように移行するか」も非常に重要なのです。

2027年10月にもう一度判定される

段階的に比率が下がっている企業には、途中でもう一度判定を受ける機会があります。

参考記事によると、2027年10月に再評価が行われます。

ここで新TOPIXの基準を満たせば、組み入れに使われる比率は50%で維持されます。

つまり、最初の判定で基準を満たさなかったからといって、その時点ですべてが決まるわけではありません。

企業には約1年間で状況を改善する機会があります。

企業価値を高める。

浮動株を増やす。

投資家への情報発信を強化する。

株式の売買を活発にする。

こうした取り組みによって基準を満たせば、完全除外へ向かう流れをいったん止められる可能性があります。

基準を満たさなければ2028年7月に完全除外へ

2027年10月の再評価でも基準を満たせなかった企業については、その後も段階的な引き下げが続きます。

そして2028年7月までにTOPIXから完全に除外される仕組みです。

つまり2026年10月から2028年7月まで、約2年かけて新しい構成へ移行します。

この長い移行期間には、市場への影響を抑えるだけでなく、企業側に対応する時間を与える意味もあります。

企業にとっては「除外候補になったら終わり」ではありません。

基準を満たすための経営改善や資本政策を進める時間が用意されています。

段階的な除外でも株価への影響はあり得る

段階的に除外するからといって、株価への影響がなくなるわけではありません。

投資家は将来の指数変更を予想して先回りして売買することがあります。

将来的にTOPIXから完全除外される可能性が高いと判断されれば、実際の売却が行われる前に株価へ影響することも考えられます。

反対に、基準を満たしてTOPIXに残る可能性が高まれば、投資家の見方が変わる場合もあります。

指数の変更日だけを見るのではなく、その前から株式市場が織り込み始める可能性があることに注意が必要です。

段階的移行は企業にも猶予を与える

今回の仕組みは、投資家だけでなく企業にも重要です。

一度に完全除外される仕組みなら、企業が対応する時間はほとんどありません。

段階的な移行なら、企業は自社の問題点を分析できます。

浮動株時価総額が不足しているのか。

売買が少ないのか。

投資家から十分に認知されていないのか。

株主構成に問題があるのか。

原因によって取るべき対策は異なります。

新TOPIXへの移行期間は、企業に資本市場との向き合い方を見直す時間を与える仕組みでもあります。

個人投資家は完全除外の日だけを見ない

個人投資家が注意したいのは、「2028年7月に除外されるから、そのとき初めて株価が動く」とは限らないことです。

指数連動型ファンドの保有調整は段階的に行われます。

さらに市場参加者は、その動きを予想して先回りする可能性があります。

したがって、

いつ移行係数が変わるのか

再評価で基準を満たしたのか

企業がどのような対策を取っているのか

を見ることが重要になります。

同時に、TOPIXから除外されることと企業そのものの価値がなくなることは別問題です。

指数の需給と企業の本質的な価値を分けて考える必要があります。

結論

新TOPIXでは、基準を満たさない企業を一度に除外するのではなく、2026年10月から2028年7月まで時間をかけて段階的に組み入れ比率を引き下げます。

2026年10月30日にまず100%から87.5%へ引き下げ、その後も3カ月ごとに12.5ポイントずつ下げていく仕組みです。

これは、多数の銘柄を一度に除外することでTOPIX連動型ファンドの売却が集中し、株式市場へ大きな影響を与えることを避けるためです。

さらに2027年10月には再評価が行われ、基準を満たせば比率を50%で維持できる仕組みも設けられています。

段階的な移行は、市場への衝撃を和らげるだけではありません。

企業にとっても、企業価値や株式の流動性を改善する時間になります。

新TOPIXへの移行は単なる銘柄の入れ替えではなく、投資家と企業の双方に時間を与えながら、日本株市場の構造を変えていく改革なのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月25日朝刊 新TOPIX、競争促す

日本取引所グループ 2025年3月26日 TOPIX等の見直しについて

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