健康診断の結果をどこに保管したか分からなくなったり、過去の検査結果や服薬歴を思い出せなかったりした経験はないでしょうか。
医療のデジタル化が進む中で、自分自身の健康情報を一元的に管理し、必要に応じて医療機関と共有する仕組みとして注目されているのが「PHR」です。
これまでは病院が医療情報を管理することが一般的でしたが、これからは患者自身が健康情報を活用する時代へと変わりつつあります。今回は、PHRの仕組みやメリット、今後の可能性について分かりやすく解説します。
PHRとは
PHRとは、「Personal Health Record(パーソナル・ヘルス・レコード)」の略で、個人の健康・医療情報を本人が管理・活用する仕組みを指します。
健康診断の結果、血圧や体重、歩数、予防接種の履歴、服薬情報、医療機関での診療情報などを、一人ひとりが継続的に管理できることが特徴です。
従来は医療機関ごとに情報が管理されることが一般的でしたが、PHRでは患者自身が情報の主体となります。
健康管理が継続しやすくなる
PHRの大きなメリットは、自分の健康状態を継続的に把握できることです。
例えば、毎日の歩数や体重、血圧、睡眠時間などを記録していけば、小さな変化にも気付きやすくなります。
健康診断の結果も毎年比較できるため、生活習慣病の予防や早期発見にも役立ちます。
健康管理は一度だけでは意味がありません。長期間のデータを蓄積することで、自分の健康状態をより正確に理解できるようになります。
医療機関との情報共有にも役立つ
PHRは、自分のためだけの記録ではありません。
患者が同意すれば、必要な情報を医療機関と共有することもできます。
初めて受診する病院でも、過去の検査結果や服薬状況、アレルギー情報などを正確に伝えられれば、診断や治療をより適切に進めやすくなります。
複数の医療機関を受診している人ほど、その効果は大きくなるでしょう。
医療DXとの連携が進む
PHRは、医療DXを支える重要な仕組みの一つです。
マイナ保険証、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスなどと連携することで、必要な医療情報を安全に活用しやすくなります。
さらに、スマートウォッチなどのウェアラブル機器と組み合わせれば、日常生活で取得した健康データも記録できます。
医療だけでなく、健康づくりや病気の予防にも活用の幅が広がっています。
個人情報の管理が重要になる
PHRでは多くの健康情報を扱うため、個人情報の保護は非常に重要です。
誰とどの情報を共有するのかを本人が適切に判断できる仕組みや、不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策が欠かせません。
便利だからこそ、安全性への信頼が制度の普及を左右します。
利用者自身も、情報の取り扱いについて正しく理解することが求められます。
人生100年時代の健康管理へ
人生100年時代といわれる現在、健康寿命を延ばすことが大きな課題になっています。
病気になってから治療するだけでなく、日頃から健康状態を把握し、生活習慣を改善することの重要性が高まっています。
PHRは、そのための情報基盤となる仕組みです。
自分の健康情報を「医療機関に預けるもの」ではなく、「自分自身で活用する資産」と考える時代が始まろうとしています。
結論
PHRは、自分の健康・医療情報を本人が管理し、健康づくりや医療に役立てるための新しい仕組みです。
健康診断や服薬情報、日常の健康データなどを継続的に管理することで、病気の予防や早期発見、より適切な医療につながることが期待されています。
医療DXが進展する中で、PHRは一人ひとりが主体的に健康を管理するための重要な基盤となっていくでしょう。
参考
日本経済新聞 2026年7月21日朝刊
紙の保険証、月末終了 スマホ搭載800万人