生成AIは文章を作成したり質問に答えたりするだけの存在から、実際に業務システムを操作する存在へと進化しつつあります。その変化を支える重要な技術の一つが「MCP」です。
資料では、AIアシスタントへ音声や自然な言葉で指示するだけで、AIがシステムを操作し処理を完了する未来が近づいており、その背景にはAIと外部サービスを接続する標準規格であるMCPの普及があると紹介されています。
本記事では、MCPの概要やシステム連携の仕組み、経理業務への影響について解説します。
MCPとは
MCPとは、生成AIとさまざまな業務システムやサービスを接続するための共通規格です。
従来の生成AIは、質問への回答や文章作成が中心でした。
一方、MCPを利用すると、AIは外部システムへアクセスし、必要な情報を取得したり、処理を実行したりできるようになります。資料でも、MCPはAIと外部サービスをつなぐ標準規格であり、さまざまなデータやシステムへアクセスしながら自律的に操作するサービスが登場し始めていると説明されています。
つまり、生成AIは「答えるAI」から「仕事を実行するAI」へと発展しつつあるのです。
システム連携の仕組み
企業では、
- 会計システム
- 経費精算システム
- 販売管理システム
- 給与システム
- Excel
など、多くのシステムが利用されています。
これまでは、それぞれのシステムを人が操作し、必要なデータを確認・入力していました。
しかし、MCPに対応した環境では、生成AIが利用者の指示を受け、複数のシステムへアクセスしながら必要な処理を実行することが期待されています。
例えば、
「今月の売上を集計して決算資料を作成してください」
という指示だけで、AIが必要なデータを取得し、集計や資料作成を支援するような活用が考えられます。
Excelとの連携も進む
資料では、Excelの利用方法も大きく変わりつつあることが紹介されています。
これまでExcelでは、
- 関数を入力する
- マクロを作成する
- 手作業で集計する
ことが一般的でした。
しかし現在では、Excelに搭載された生成AIへ
「この列を基準に集計してください」
と自然な言葉で指示するだけで、AIが画面を操作しながら集計を実行する方向へ進化しています。
MCPの普及によって、こうしたAIによる操作はExcelだけでなく、さまざまな業務システムへ広がることが期待されています。
経理業務はどのように変わるのか
経理部門では、多くの業務が複数のシステムにまたがっています。
例えば、
- 会計システム
- 経費精算システム
- 請求書管理システム
- Excel
などを行き来しながら仕事を進めています。
MCPによってAIがこれらのシステムを横断的に利用できれば、
- データ取得
- 集計
- 照合
- レポート作成
などの定型業務を効率化できる可能性があります。
人はその結果を確認し、判断や承認に集中できるようになるでしょう。
人の役割はなくならない
AIが業務を実行できるようになっても、人の役割がなくなるわけではありません。
資料でも、未公表の業績データなど機密性の高い情報を扱うため、安全な生成AI環境を利用することが重要であり、最終的な判断や承認は経理担当者や上長が行う必要があると説明されています。
AIは作業を代行できますが、
- 数値の確認
- 会計判断
- 法令への適合性
- 社内ルールとの整合性
などは、人が責任を持って確認しなければなりません。
実務への影響
MCPの普及は、経理担当者の働き方にも大きな変化をもたらすと考えられます。
これまで重視されてきた、
- システム操作
- データ入力
- 手作業による集計
の比重は徐々に低下していく可能性があります。
一方で、
- AIへ適切に指示する力
- AIが行った処理を検証する力
- 業務全体を設計する力
- リスクを管理する力
といった能力の重要性はさらに高まるでしょう。
AIを「操作する相手」ではなく、「業務を任せるパートナー」として活用する時代が近づいています。
結論
MCPは、生成AIと業務システムを接続するための共通規格であり、AIが複数のシステムを横断して業務を実行するための基盤となる技術です。
これにより、経理業務ではデータ収集や集計、資料作成などの定型業務をAIが支援する場面が増えると考えられます。
一方で、機密情報の管理や最終的な判断、承認は引き続き人が担う必要があります。
今後の経理担当者には、システムを操作する技術だけでなく、AIを安全かつ効果的に活用し、業務全体を管理する能力がますます求められるようになるでしょう。
参考
- 『企業実務』2026年8月号「セミナーレポート すぐに使える!経理担当者のための『生成AI×Excel』最強時短術」