予測がポイントになる時代へ――若者に広がる新しいポイ活と「予測市場」の可能性

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買い物やアンケート、動画視聴などを通じてポイントをためる「ポイ活」が、若者を中心に新しい段階へ進み始めています。

スポーツの試合結果や選挙、経済政策、企業の動向などを予測し、その結果が的中するとポイントを獲得できるサービスが登場しています。

従来のポイ活が消費行動や作業への対価だったのに対し、新しいポイ活は、自分の知識や情報分析力を活用することに特徴があります。

背景にあるのが、米国で急速に拡大している「予測市場」という仕組みです。

日本でも、金銭を直接賭けない独自のサービスが広がり始めています。

この動きは、若者のお小遣い稼ぎにとどまらず、金融教育、情報リテラシー、企業経営、さらには社会全体の意思決定にも影響する可能性があります。

若者の9割を10〜20代が占める新しいポイ活

日本経済新聞によると、スポーツや政治、経済の出来事を予測してポイントをためるアプリ「ミライマ」が若者の間で注目されています。

ミライマは、Masenticが2025年11月に開始したサービスです。

同社によると、月間利用者数は約10万人に達し、利用者の約6割が20代、約3割が10代となっています。

利用者の約9割を10〜20代が占めていることになります。

例えば、サッカーの試合でどちらのチームが勝つのか、衆議院が一定期間内に解散されるのか、人気ゲームの新作がいつ発表されるのかといったテーマを予測します。

利用者は自分の知識や判断に基づいて予測し、的中するとポイントを獲得できます。

記事では、累計3万円相当のポイントをためた大学生も紹介されています。

従来のポイ活とは異なり、情報収集や分析そのものが楽しみとなり、その成果が報酬につながる点が支持されていると考えられます。

予測が的中すると報酬を得られる仕組み

ミライマでは、運営会社が設定したテーマに対して、利用者が予測を投票する仕組みを採用しています。

投票にはアプリ専用のコインを使用します。

このコインは、アプリへの登録やログイン、広告視聴などによって獲得できます。

予測が的中すると、アプリ専用コインのほか、ギフトカードやPayPayポイントなどに交換できるポイントを受け取れます。

記事によると、交換レートは11ポイントで約1円相当、最低交換単位は5,500ポイントです。

つまり、5,500ポイントをためると約500円相当になります。

重要なのは、利用者が自分のお金を直接賭ける仕組みではないことです。

同社の説明では、課金せずに予測へ参加でき、外れた場合にも利用者が金銭を失うことはありません。

ただし、金銭的な負担がなくても、広告視聴や情報収集には時間が必要です。

ポイントの獲得額だけでなく、利用時間とのバランスを考えることも大切です。

米国で急拡大する「予測市場」とは何か

こうしたサービスの背景には、米国で拡大している予測市場があります。

予測市場とは、将来発生する出来事について参加者が予測し、その結果に応じて経済的な利益や損失が生じる仕組みです。

米国では、カルシやポリマーケットなどが代表的なサービスとして知られています。

予測対象は、選挙結果、経済指標、金融政策、スポーツ、企業活動など多岐にわたります。

例えば、中央銀行が次回の会合で利上げするかどうかというテーマについて、参加者が予測します。

市場価格から、参加者がその出来事の発生可能性をどの程度とみているのかを読み取ることもできます。

ただし、市場価格から計算される確率は、必ずしも客観的な発生確率を意味するものではありません。

参加者の偏りや取引量、流動性などによって価格が左右されるためです。

予測市場は将来を確実に言い当てる仕組みではなく、多数の参加者の予想を集約する仕組みと理解する必要があります。

世論調査とは異なる情報収集の可能性

予測市場が注目される理由の一つに、従来の世論調査を補完する可能性があります。

世論調査は、調査対象者に支持政党や政策への賛否などを質問し、その回答を統計的に集計します。

一方、予測市場では、参加者が将来の結果を予測します。

例えば、ある候補者を支持しているかどうかと、その候補者が当選すると予測しているかどうかは異なります。

予測市場では、自分の希望とは別に、実際に起こりそうな結果を判断する動機が働く場合があります。

また、新しい情報が発表されると、参加者の予測が短時間で変化することもあります。

2024年の米国大統領選挙では、主要な世論調査が接戦を示すなか、予測市場ではトランプ氏の勝利確率を高く評価する動きがみられました。

もっとも、一度の選挙結果だけで予測市場が世論調査より優れていると結論づけることはできません。

両者は測定する対象も方法も異なり、それぞれに長所と限界があります。

金融教育と情報リテラシーへの効果

予測型ポイ活には、若者が政治や経済に関心を持つきっかけになるという側面があります。

例えば、日本銀行が政策金利を引き上げるかどうかを予測する場合、金融政策や物価、景気の動向について調べる必要があります。

企業の決算を予測する場合には、売上高や利益、業界動向などを確認することになります。

選挙結果を予測する場合には、政策や支持率、選挙制度への理解が必要です。

こうした行動を通じて、日常生活では接する機会が少ない経済情報に関心を持つ可能性があります。

さらに、自分の予測が外れた理由を振り返ることで、判断の偏りや情報不足に気づくこともできます。

金融教育において重要なのは、知識を暗記することだけではありません。

情報を収集し、比較し、不確実性を理解したうえで判断する能力を身につけることです。

予測型サービスは、その学習機会を提供する可能性があります。

ギャンブルとの境界線と法的な課題

一方で、予測市場には慎重な検討が必要な側面もあります。

米国では、参加者が実際のお金を使って予測に参加するサービスが拡大しています。

そのため、スポーツ賭博との境界や依存の問題、未公表情報を利用した取引などが議論されています。

日本では、賭博罪をはじめとする法規制との関係が重要になります。

ミライマについては、運営会社が刑法や景品表示法などを踏まえて設計していると説明しています。

また、記事によれば、金融庁は同サービスを金融商品とみなしていません。

ただし、これは予測型サービス全般について、法律上の問題がないことを意味するものではありません。

参加方法、金銭負担の有無、報酬の仕組み、換金性などによって法的な評価は異なります。

特に、未成年者が利用する場合には、過度な利用や射幸心をあおる仕組みになっていないかという観点も重要です。

ポイント収入と税金の関係

税理士・FPの視点からは、ポイントを獲得した場合の税務上の取り扱いにも注意が必要です。

一般的な買い物で付与されるポイントは、通常の値引きと同様に扱われ、原則として所得税の課税対象にはなりません。

一方、キャンペーンへの参加や抽選などによって取得したポイントは、取得原因や利用方法によって一時所得などに該当する場合があります。

予測型ポイ活についても、すべてのポイントが非課税になるとは限りません。

継続的な活動の実態によっては、雑所得などとして取り扱うべき場合も考えられます。

一時所得に該当する場合には、原則として年間50万円の特別控除がありますが、他の一時所得との合算や必要経費などを考慮する必要があります。

また、ポイントを取得した時点で課税関係が生じるのか、使用・交換した時点で生じるのかについても、ポイントの性質や利用条件によって判断が必要です。

したがって、ポイントを獲得しただけで直ちに確定申告が必要になるわけではありませんが、多額の報酬を継続的に得る場合には確認が必要です。

企業経営にも広がる予測データの活用

予測市場の考え方は、企業経営にも応用できる可能性があります。

例えば、新商品の発売時期、販売目標の達成可能性、需要予測、設備投資の効果などについて、従業員や関係者の予測を集める方法です。

企業内では、役職や組織上の立場によって意見が偏ることがあります。

一方、多数の参加者が独立して予測する仕組みを整えれば、経営陣が把握していない現場の情報を集められる可能性があります。

もっとも、予測に報酬を設ければ、情報操作や不適切な誘導が起きる危険性もあります。

企業が活用する場合には、予測結果の正確性だけでなく、情報管理や内部統制の仕組みを整えることが必要です。

予測市場は経営判断を自動化するものではなく、意思決定を支援する情報源の一つとして位置づけることが適切です。

人生100年時代に必要な「予測する力」

人生100年時代には、将来を予測しながら判断する機会が増えていきます。

資産形成では、金利や物価、運用利回りを想定する必要があります。

老後生活では、年金収入、医療費、介護費用、生活費などの将来変化を考える必要があります。

企業経営でも、売上高や人件費、資金繰りなどについて複数のシナリオを準備することが求められます。

ただし、将来の予測が必ず的中するわけではありません。

重要なのは、予測の正確性を過信せず、予測が外れた場合にも対応できる準備をすることです。

例えば、老後資金の運用では、将来の株価上昇を期待するだけでなく、価格が下落した場合の生活への影響も検討する必要があります。

予測する力と、予測が外れた場合に備える力は、両方とも重要です。

若者の間で広がる予測型ポイ活は、こうした考え方を身近に学ぶ入口になる可能性があります。

結論

スポーツや選挙、経済の出来事を予測してポイントを獲得する新しいポイ活が、若者を中心に広がっています。

従来のポイ活が消費や作業を通じて報酬を得る仕組みだったのに対し、予測型ポイ活は知識や情報分析力を活用する点に特徴があります。

その背景には、米国で急拡大する予測市場があります。

日本では、金銭を直接賭けない仕組みによって、娯楽と情報収集を組み合わせた独自の発展が模索されています。

今後は、金融教育や情報リテラシーの向上、世論調査の補完、企業経営における予測データの活用など、幅広い分野への応用が期待されます。

一方で、ギャンブル性、未成年者の保護、情報の公平性、税務上の取り扱いなど、慎重に検討すべき課題もあります。

人生100年時代に求められるのは、将来を正確に言い当てる能力だけではありません。

不確実な情報を冷静に分析し、自分の判断を振り返り、予測が外れた場合にも対応できる力です。

予測型ポイ活の本当の価値は、獲得するポイントの金額だけでなく、情報を読み解き、自分で考える習慣を育てることにあると考えます。

参考

日本経済新聞 2026年11月6日 朝刊

「W杯や選挙『結果当てたら小遣いに』 新ポイ活、利用9割が10〜20代」

国税庁「No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」

国税庁「No.1490 一時所得」

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