定年後は仕事をしていたころより自由な時間が増えます。
平日に旅行できるようになり、夫婦で温泉やリゾートホテルを楽しみたいと考える人もいるでしょう。
一方、近年はホテル料金が上昇しています。
老後に旅行を続けたいと思っていても、1泊数万円のホテルを年間何度も利用すれば、家計への負担は大きくなります。
そこで選択肢になるのがリゾート会員権です。
会員価格で宿泊できるため、一般のホテル料金が上昇するほど割安感が強まる可能性があります。
ただし、会員権には購入費用や年会費などもあります。
老後の旅行費を本当に抑えられるかどうかは、何歳まで、年間何泊利用するかによって大きく変わります。
定年後は平日に旅行しやすくなる
現役世代の旅行には大きな制約があります。
仕事が休みになる土曜日や日曜日、祝日、ゴールデンウイーク、年末年始などに旅行が集中しやすくなります。
こうした時期はホテル料金も高くなりがちです。
定年後は事情が変わります。
月曜日から木曜日までの平日に旅行する。
観光地が比較的空いている時期を選ぶ。
混雑する大型連休を避ける。
こうした旅行がしやすくなります。
時間を自由に使えること自体が、老後の旅行では大きな強みになります。
会員価格で宿泊できるメリットがある
参考記事では、グランドエクシブ軽井沢本館のラージグレード48平方メートルの客室について、会員の宿泊料金が1室1泊1万8,150円と紹介されています。
4人で利用すれば、1人当たり4,538円です。
一般のホテル料金が高騰するなかでは、大きな価格差が生じる場合があります。
老後に年間何度も旅行する人であれば、この差額が積み重なります。
例えば一般ホテルと会員料金の差が1泊当たり2万円あり、年間20泊するなら、単純計算では年間40万円の差になります。
10年間なら400万円です。
利用回数が多い人ほど、会員料金のメリットを受けやすくなります。
購入価格を何年間で使うかが重要になる
ただし、会員料金だけを見てはいけません。
リゾート会員権を利用するためには、最初に会員権を購入する必要があります。
例えば500万円で購入したとします。
60歳から80歳まで20年間利用するなら、単純に20年で割ると年間25万円です。
年間25泊利用すれば、購入価格は1泊当たり1万円になります。
年間10泊なら2万5,000円です。
年間5泊なら5万円になります。
同じ500万円の会員権でも、利用回数によって1泊当たりの負担は大きく変わります。
年会費も1泊当たりに直して考える
さらに年会費や管理費などの固定費があります。
年間10万円の固定費が必要だとします。
年間20泊利用するなら、1泊当たり5,000円です。
年間10泊なら1万円です。
年間5泊なら2万円です。
年間1泊しか利用しなければ、その1泊のために10万円の固定費を負担している計算になります。
老後の旅行費を抑える目的で購入するなら、年間の利用回数が特に重要になります。
60代と70代では旅行回数が変わる可能性がある
会員権を購入するときには、現在の旅行回数だけで判断しないことも重要です。
例えば60歳で退職し、夫婦で年間30泊旅行するとします。
60代は積極的に利用できるかもしれません。
しかし、70代、80代になっても同じ年間30泊を続けられるとは限りません。
旅行の好みや生活環境が変わることもあります。
20年間利用するつもりで購入しても、実際によく利用するのは最初の10年間という可能性もあります。
老後の会員権では、利用回数が将来減ることも想定して計算しておくことが大切です。
夫婦で利用できる期間も考える
老後の旅行では、夫婦で利用するケースも多いでしょう。
夫婦2人で旅行すれば、1室料金を2人で利用できます。
さらに子どもや孫と一緒に利用すれば、1人当たりの宿泊費を抑えられる場合があります。
一方で、将来どちらか1人になれば旅行スタイルが変わる可能性があります。
1人でも同じようにリゾート施設を利用するのか。
子どもや孫と利用するのか。
それとも旅行そのものを減らすのか。
長期保有する会員権では、家族構成の変化まで考えておく必要があります。
系列施設を利用できれば旅行先を変えられる
毎年同じ施設だけを利用するのであれば、20年間保有すると飽きてしまう可能性もあります。
そこで重要になるのが系列施設の相互利用です。
参考記事では、グランドエクシブ軽井沢の会員が全国約20カ所のエクシブや系列の一部施設を利用できることが紹介されています。
今年は軽井沢。
来年は箱根。
その次は別の地域。
このように旅行先を変えられれば、長期間利用しやすくなります。
老後目的で購入する場合には、自宅から行きやすい系列施設がどれだけあるかも重要な判断材料になります。
平日を利用できることは大きな強みになる
現役世代と老後では、会員権の価値が変わる可能性があります。
仕事をしていると、旅行できる日が休日に集中します。
人気のある日程では予約競争が起こることもあります。
定年後なら平日に日程をずらせます。
天気予報を見て旅行日を決める。
混雑する季節を避ける。
連休の前後に利用する。
こうした柔軟な旅行ができれば、会員制リゾートを利用できる機会も増えます。
時間に余裕があることは、老後にリゾート会員権を活用するうえで大きなメリットになり得ます。
旅行費を先払いする感覚にも近い
リゾート会員権は、将来の旅行費の一部を先に支払う仕組みとして見ることもできます。
例えば60歳で500万円の会員権を購入し、20年間利用するとします。
購入時に大きなお金が必要になりますが、その後は会員料金で施設を利用できます。
一般ホテルの料金が今後さらに上昇すれば、会員料金の相対的な割安感が大きくなる可能性があります。
一方で、旅行しなくなれば先に支払った購入費を十分活用できません。
将来の旅行回数が多いほど有利になりやすく、少ないほど不利になりやすい仕組みです。
老後資金とは分けて考える
リゾート会員権を購入するときに特に注意したいのが、老後資金との関係です。
退職金が入ったからといって、その一部をすぐ高額な会員権に使うことが適切とは限りません。
老後には生活費だけでなく、医療や介護、住宅修繕などさまざまな支出が発生します。
リゾート会員権は売却できる場合がありますが、必要なときに希望価格ですぐ現金化できるとは限りません。
生活に必要な資金や予備資金とは分けて考える必要があります。
余裕資金の範囲で購入できるかどうかが重要です。
売却時期まで決めておく方法もある
老後にリゾート会員権を利用するからといって、一生保有する必要はありません。
例えば60歳から75歳までは積極的に利用し、その後は売却するという考え方もあります。
15年間で十分利用した後、まだ中古市場で価値があるうちに手放します。
子どもが利用したいのであれば承継する方法もあります。
重要なのは、購入するときから最後まで持ち続けることを前提にしないことです。
何歳まで利用するのか。
利用回数が年間何泊まで減ったら売却を検討するのか。
あらかじめ目安を決めておけば、使わない会員権の維持費を長期間払い続けることを避けやすくなります。
結論
リゾート会員権は、老後の旅行費を抑える手段になる可能性があります。
特に定年後は平日に旅行しやすくなり、年間の利用回数を増やしやすいという特徴があります。
ホテル料金が高騰するなかで会員価格との差が大きくなれば、頻繁に旅行する人ほどメリットを受けやすくなります。
しかし、宿泊料金だけで判断してはいけません。
購入価格、年会費、管理費などを含めて1泊当たりの総コストを考える必要があります。
さらに60代では年間20泊できても、70代、80代になれば旅行回数が減る可能性があります。
老後のリゾート会員権で重要なのは、何年間持つかではなく、その間に何泊利用できるかです。
年間の利用回数が多く、平日を活用でき、系列施設を幅広く利用できる人なら、老後の旅行を楽しむための有力な選択肢になり得ます。
一方、利用回数が減ったときには売却するという出口まで考えておくことが、老後資金を守りながら会員権を活用するために重要です。
参考
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 <ステップアップ>リゾート、会員権で身近に ホテル代高騰で割安感
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 共有制、取得後に税負担