リゾート会員権には中古市場があり、不要になった会員権を売却できる場合があります。
参考記事によると、中古会員権の8月の平均価格は404万円で、前年同月より78万円、24%上昇しました。
価格が上昇すれば、購入したときより高い価格で売却できるケースも出てきます。
例えば300万円で購入した会員権を500万円で売却できれば、単純な差額は200万円です。
そこで気になるのが税金です。
売却代金500万円のすべてに税金がかかるわけではありません。
一方で、購入価格より高く売れたからといって、200万円がそのまま税務上の利益になるとも限りません。
リゾート会員権を売却するときには、購入から売却までにかかった費用を整理することが重要です。
売却代金と利益は違う
まず理解したいのが、会員権を売却して受け取った金額と利益は違うということです。
例えば500万円で売却した場合、500万円すべてが利益になるわけではありません。
その会員権を取得するために支払った金額があります。
さらに売却するために直接必要になった費用があれば、それも考える必要があります。
税金を考えるときには、いくらで売れたかだけではなく、取得と売却にいくらかかったのかを見ることになります。
取得費とは何か
資産の売却では、取得費という考え方が重要になります。
簡単にいえば、その資産を取得するためにかかった金額です。
リゾート会員権であれば、会員権そのものの取得に支払った金額などを確認することになります。
例えば500万円で購入した会員権を700万円で売却したとします。
単純な売買価格の差は200万円です。
しかし実際の税務計算では、取得時や売却時の費用なども確認したうえで所得を計算する必要があります。
購入時の契約書や領収書を残しておくことが重要になる理由です。
売却にかかった費用も確認する
中古のリゾート会員権を売却するときには、仲介業者を利用する場合があります。
その際に仲介手数料などの費用が発生することがあります。
例えば500万円で売却できても、売却のために20万円の費用が必要なら、手元に残る金額はその分少なくなります。
税務上どの費用を差し引けるかについては、その費用の性質を確認する必要があります。
単に支払った費用をすべて差し引けるわけではありません。
売却に直接関係する費用なのかを整理することが重要です。
年会費は取得費とは別に考える
ここで注意したいのが、毎年支払ってきた年会費や管理費です。
例えば20年間、毎年10万円を支払っていれば合計200万円になります。
経済的には大きな負担です。
しかし、こうした保有期間中の費用と、会員権そのものを取得するための費用は同じ性質ではありません。
施設を利用するための年会費などを、売却時に当然に取得費へ加えられるとは限りません。
投資としての実際の損得と、税務上の所得計算は分けて考える必要があります。
共有制では不動産部分にも注意する
共有制のリゾート会員権では、ホテルなどの土地や建物について持ち分を所有しています。
そのため、売却するときには単なる施設利用権だけでなく、不動産の権利も移転することになります。
土地や建物の持ち分が含まれている以上、その内容を確認したうえで税務上の取り扱いを判断する必要があります。
購入契約書などに土地、建物、会員権などの内訳が記載されていれば、売却時の計算でも重要な資料になります。
共有制の会員権では、単純に中古市場の売買価格だけを見て税額を計算できるとは限りません。
預託制では権利の内容を確認する
預託制では、共有制のようにホテルの土地や建物を直接所有する仕組みではありません。
運営会社などに預託金を預け、施設を利用する権利を持つ形になります。
売却するときには、どのような権利を第三者へ移転しているのかを確認する必要があります。
預託金に関する権利。
施設を利用する会員資格。
その他契約上の権利。
こうした内容によって税務上の取り扱いを検討することになります。
共有制と預託制を同じものとして考えないことが大切です。
購入価格より安く売った場合も注意する
リゾート会員権は、購入価格より安く売却するケースも少なくありません。
例えば500万円で購入した会員権を100万円で売却すれば、経済的には400万円値下がりしています。
この400万円を給与所得など他の所得から自由に差し引けるように感じるかもしれません。
しかし、個人が保養などの目的で保有しているリゾート会員権の売却損については、他の所得との損益通算が認められない取り扱いとなる場合があります。
つまり、値下がりによる経済的な損失が、そのまま所得税を減らす効果につながるとは限りません。
購入価格より安く売った場合にも、税務上の取り扱いを確認する必要があります。
相続した会員権を売却する場合もある
親から相続したリゾート会員権を、子どもが利用しないため売却するケースもあります。
この場合、子ども自身が購入代金を支払っていないから取得費がゼロになるとは限りません。
相続によって取得した財産を売却する場合には、被相続人の取得に関する情報が重要になることがあります。
そのため、親が会員権を購入したときの契約書や領収書などを残しておくことには意味があります。
相続した後で売却を考えたとき、数十年前の購入資料が見つからないと取得時の状況を確認するのが難しくなる可能性があります。
値上がり益だけを見て投資判断しない
例えば300万円で購入した会員権が500万円になれば、200万円値上がりしています。
しかし、10年間に年会費などを合計100万円支払っていたとします。
さらに購入時と売却時に諸費用が発生していれば、実際の経済的な利益は200万円より小さくなります。
そのうえ売却による所得に税金がかかる可能性もあります。
中古価格の値上がり率だけを見て投資商品として魅力的だと判断するのは危険です。
購入から保有、売却までのすべてのキャッシュフローを見る必要があります。
購入時の資料を残しておく
リゾート会員権を購入したら、将来の売却を考えて資料を保管しておくことが大切です。
購入時の契約書。
購入価格が分かる資料。
取得時に支払った費用の資料。
会員権の権利内容が分かる書類。
共有制なら不動産の持ち分が分かる資料。
こうした資料があれば、数十年後に売却するときにも取得時の状況を確認できます。
会員権は長期間保有する可能性があるため、資料も長期的に管理するという意識が必要です。
結論
リゾート会員権を購入価格より高く売却した場合には、売却によって生じた所得について税金を考える必要があります。
ただし、売却代金の全額が利益になるわけではありません。
取得費や売却に直接必要となった費用などを確認して、税務上の所得を計算することになります。
一方、毎年支払った年会費などの保有コストと取得費は分けて考える必要があります。
共有制では土地や建物の持ち分が含まれ、預託制では預託金や利用権などが関係するため、会員権の種類によっても確認すべき内容が変わります。
また、購入価格より安く売却して経済的な損失が出ても、それを給与など他の所得から自由に差し引けるとは限りません。
重要なのは、売却するときになって初めて税金を考えないことです。
購入時の契約書や取得価格が分かる資料をきちんと残し、購入、保有、売却までを一体として管理することが、リゾート会員権の税金を考えるうえで大切になります。
参考
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 <ステップアップ>リゾート、会員権で身近に ホテル代高騰で割安感
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 共有制、取得後に税負担