住宅ローン金利上昇にどう備えるか 借りられる金額ではなく返せる金額で考える時代編

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住宅ローンを考えるとき、これまでは「変動金利と固定金利のどちらが得なのか」という金利選びに注目が集まりがちでした。

しかし、金利が上昇する時代には、もっと根本的な問題を考える必要があります。

それは、住宅ローンをいくら借りるのかという問題です。

日銀は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げました。

住宅ローンの変動金利にも今後、利上げの影響が波及する可能性があります。

一方、固定金利もすでに高い水準にあります。

つまり、これから住宅を購入する人にとっては、低金利を前提として借入額を最大化する住宅購入から、金利上昇を前提として借入額を抑える住宅購入へと考え方を変える必要があります。

変動金利はなぜ上昇するのか

住宅ローンの変動金利は、金融機関の短期プライムレートなどを基準として決められるのが一般的です。

日銀が政策金利を引き上げると、市場の短期金利が上昇し、金融機関の貸出金利にも影響します。

そのため、政策金利の上昇は住宅ローンの変動金利にも波及していきます。

実際、今回の日銀の追加利上げを受けて、変動金利の基準金利を見直す金融機関も出ています。

これまでのように、変動金利は極めて低い状態が長期間続くという前提だけで住宅ローンを組むことは難しくなっています。

固定金利にすれば安心とは限らない

それでは、固定金利を選べばよいのでしょうか。

固定金利には、将来市場金利が上昇しても住宅ローン金利が変わらないという大きなメリットがあります。

返済額が確定するため、家計管理もしやすくなります。

しかし、現在は固定金利そのものが高くなっています。

2026年9月の三菱UFJ銀行の新規借入金利では、変動金利が年1.195%であるのに対し、10年固定は年3.63%、全期間固定31年以上35年以下は年4.30%となっています。

変動金利と固定金利には大きな金利差があります。

固定金利を選ぶことは、単純に得か損かという問題ではありません。

将来の金利上昇リスクを金融機関ではなく、自分が負担するのか、それとも一定の金利を支払って固定するのかという選択になります。

金利が1%違うだけでも返済額は変わる

住宅ローンでは、わずかな金利差でも長期間では大きな差になります。

例えば、数千万円を35年間借りる場合を考えてみます。

金利が低いうちは毎月返済額を抑えられます。

しかし、金利が1%、2%と上昇していけば、返済負担は着実に増えていきます。

特に問題になるのが、住宅購入時に金融機関から借りられる限度近くまで借りているケースです。

住宅ローン以外にも、教育費、老後資金、住宅の修繕費、自動車購入費などが必要になります。

住宅ローンだけを返せればよいわけではありません。

借りられる金額と返せる金額は違う

住宅購入で最も重要なのは、この違いです。

金融機関が貸してくれる金額と、その家庭が無理なく返済できる金額は同じではありません。

金融機関の審査に通ったからといって、その借入額が家計にとって安全とは限りません。

例えば、共働きを前提として住宅ローンを組んでいても、出産、育児、介護、転職などによって世帯収入が減る可能性があります。

金利が上昇する可能性もあります。

そのため住宅購入では、現在の収入だけではなく、将来収入が減少した場合でも返済を続けられるかを考える必要があります。

住宅ローンは数十年間続く契約です。

借入時点の家計ではなく、将来の家計まで考えることが重要です。

5年ルールがあっても安心ではない

変動金利型住宅ローンでは、元利均等返済の場合、金融機関によっては5年ルールが採用されています。

金利が上昇しても、毎月の返済額を5年間据え置く仕組みです。

さらに、返済額を見直す場合でも、それまでの返済額の125%を上限とする125%ルールを設けている金融機関もあります。

しかし、これは金利上昇の影響がなくなる制度ではありません。

返済額が据え置かれている間は、返済額に占める利息部分が増え、元本の減り方が遅くなる可能性があります。

つまり、返済額がすぐ増えないから安心というわけではありません。

むしろ返済額が変わらないため、金利上昇の影響を実感しにくい点には注意が必要です。

金利上昇への最大の備えは借入額を抑えること

金利上昇への対応というと、変動金利から固定金利への変更や繰上返済が注目されます。

しかし、住宅購入前であれば、もっと効果的な方法があります。

最初から借入額を抑えることです。

例えば、購入する住宅の価格を少し下げる、頭金を増やす、希望する地域や広さを見直すといった方法があります。

借入額そのものが小さければ、金利が上昇した場合の影響も小さくなります。

金利を正確に予測することは困難です。

だからこそ、金利予測に賭けるのではなく、金利が上昇しても耐えられる借入額にしておくことが重要になります。

貯蓄を残しておくことも重要になる

頭金を増やせば住宅ローンの借入額を減らすことができます。

ただし、住宅購入時に貯蓄をほとんど使い切ってしまうことにも注意が必要です。

住宅を購入した後にも、固定資産税、修繕費、管理費、教育費などさまざまな支出があります。

病気や失業などによって収入が減少する可能性もあります。

したがって、頭金を増やすことと手元資金を確保することのバランスが重要です。

金利上昇局面では、余裕資金があること自体が大きなリスク対策になります。

住宅ローン返済額が増えた場合にも、家計を立て直す時間を確保できるからです。

住宅価格だけではなく総返済額を見る

住宅を購入するとき、多くの人は物件価格を見ます。

しかし、本当に重要なのは住宅ローンを含めた総返済額です。

同じ5,000万円の住宅でも、金利によって最終的な支払額は大きく変わります。

低金利時代には、住宅価格が高くても低い金利によって返済負担を抑えることができました。

金利が上昇すれば、この構造は変わります。

住宅価格だけではなく、金利を含めて最終的にいくら支払うことになるのかを見る必要があります。

結論

住宅ローン金利が上昇する時代には、変動金利と固定金利のどちらが得かという問題だけを考えていてはいけません。

もっと重要なのは、住宅ローンそのものを借り過ぎないことです。

金融機関から借りられる金額と、自分の家計が無理なく返せる金額は違います。

金利がさらに上昇しても返済できるか、世帯収入が減っても返済できるか、教育費や老後資金を準備しながら返済できるかを考える必要があります。

そして、住宅購入後も一定の貯蓄を残しておくことが重要です。

金利の将来を正確に予測することはできません。

だからこそ、金利を予測して住宅ローンを組むのではなく、金利が上昇しても耐えられる住宅ローンを組むことが、これからの住宅購入では重要になります。

参考

日本経済新聞 2026年9月26日 朝刊 住宅ローン金利上昇に備え 借入額抑制や貯蓄が重要に

日本銀行 2026年9月18日 金融市場調節方針の変更について

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