オルタナ投資のリターンはどう比較するのか 上場株式と同じ数字だけを見てはいけない理由編

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

オルタナティブ投資では、高いリターンが期待できることが魅力として挙げられることがあります。

特にPEでは、上場株式にはない流動性リスクなどを引き受ける代わりに、追加的なリターンを狙います。

そこで気になるのが、上場株式とオルタナ投資のどちらの運用成績がよいのかという点です。

しかし、例えば「年間10%」という数字が同じように示されていても、単純に比較できるとは限りません。

投資期間、価格評価の方法、手数料、流動性、リスクなどが違うからです。

リターンとは何か

リターンとは、投資した資金に対してどれだけ利益や損失が生じたかを表すものです。

例えば100万円を投資して110万円になれば、単純には10%のリターンです。

反対に90万円になれば10%の損失になります。

上場株式の場合には、株価の変化に加えて配当などを含めて投資成果を考えることができます。

一方、オルタナ資産では収益の生まれ方が異なる場合があります。

PEなら企業価値の向上や投資先株式の売却、不動産なら賃料収入や物件価格の変化などがリターンの源泉になります。

まず、何によってリターンが生まれているのかを見る必要があります。

投資期間をそろえて比較する

リターンを比較するときには、投資期間をそろえることが重要です。

例えば、ある投資が5年間で50%上昇し、別の投資が10年間で60%上昇したとします。

最終的な上昇率だけを見ると60%の方が高く見えます。

しかし、運用期間が違うため、そのままでは比較できません。

そこで、1年当たりではどの程度のリターンだったのかという視点が必要になります。

特にPEなどは投資期間が長くなりやすいため、最終的な利益額だけではなく、資金を何年間拘束して得た利益なのかを見ることが重要です。

資金をいつ投じたかも重要になる

PEなどでは、投資家が約束した資金を最初からすべて投資するとは限りません。

投資先が決まるたびに、段階的に資金が投じられる場合があります。

さらに、投資先を売却すると、途中で資金が投資家へ戻ってくることもあります。

つまり、

いつ資金を投じたのか

いつ資金が戻ってきたのか

という資金の流れも運用成績に影響します。

単純な開始時点と終了時点の価格だけでは測りにくい投資なのです。

上場株式は市場価格で評価される

上場株式には毎日市場価格があります。

100万円で購入した株式が80万円になれば、まだ売却していなくても、その時点の市場価格では20万円の値下がりです。

そのため、運用途中の価格変動も比較的明確に分かります。

相場が急落すれば、運用成績にもすぐ反映されます。

これは価格変動が大きいという側面だけではありません。

市場で日々売買されているため、資産価値の変化が見えやすいという特徴でもあります。

オルタナ資産では評価方法が違う

一方、PEや非上場不動産などには毎日の市場価格がありません。

一定期間ごとに資産価値を評価する場合があります。

そのため、金融市場が急落しても評価額へすぐには反映されないことがあります。

結果として、上場株式より運用成績が安定して見える場合があります。

しかし、本当に資産価値が安定しているとは限りません。

価格評価の頻度や方法が違うことによって、値動きが小さく見えている可能性があります。

リターンを比較するときには、価格がどのように算定されているのかも確認する必要があります。

手数料控除前か控除後かを確認する

リターンを比較するときに重要なのが手数料です。

例えば、あるオルタナ商品が高い運用成果を上げていても、そこから運用報酬や成功報酬などが差し引かれる場合があります。

一方、低コストのインデックス型投資信託では費用負担が比較的小さい商品もあります。

したがって、

手数料を差し引く前のリターン

手数料を差し引いた後のリターン

を混同してはいけません。

投資家にとって重要なのは、最終的に自分の手元に残るリターンです。

高いリターンだけでは優劣を判断できない

例えば、Aという投資のリターンが5%、Bという投資のリターンが10%だったとします。

数字だけならBの方が魅力的に見えます。

しかし、Bでは資金を10年間引き出せず、大きな損失が発生する可能性も高いとしたらどうでしょうか。

単純に10%と5%だけを比較することはできません。

高いリターンを得るために、どのようなリスクを取ったのかを見る必要があります。

投資ではリターンだけではなく、リターンを得るために引き受けたリスクとの関係が重要です。

流動性の違いもリターンと一緒に考える

上場株式とPEでは流動性も大きく異なります。

上場株式であれば、市場が開いていれば比較的容易に売却できます。

一方、PEでは長期間資金を回収できない場合があります。

仮にPEのリターンが上場株式を上回っていても、その差の一部は流動性を手放したことへの対価かもしれません。

つまり、

「PEの方がリターンが高かった」

だけでは十分ではありません。

どれだけ追加的なリスクを取って、その結果としてどれだけ追加的なリターンを得られたのかを見る必要があります。

比較対象を何にするかも重要

オルタナ投資の運用成績を見るときには、何と比較しているのかも確認する必要があります。

国内株式なのか。

世界株式なのか。

債券なのか。

株式と債券を組み合わせたポートフォリオなのか。

比較対象によって評価は変わります。

また、比較する期間も重要です。

株式市場が非常に好調だった期間と、低迷していた期間では結果が違います。

特定の期間だけを切り取って優劣を判断しないことが重要です。

リターンの数字の裏側を見る

オルタナ投資の運用実績を見るときには、1つの数字だけを見るのではなく、その数字がどのように計算されたのかを確認する必要があります。

どの期間の実績なのか。

手数料控除前なのか控除後なのか。

資産価格は市場価格なのか評価額なのか。

途中の資金流入や回収をどのように扱っているのか。

どの資産を比較対象としているのか。

こうした条件をそろえて初めて、リターンを比較する意味が出てきます。

結論

オルタナ投資と上場株式のリターンは、表示されている数字だけで単純に比較することはできません。

投資期間、資金を投じた時期、価格評価の方法、手数料、流動性、リスクなどが異なるからです。

特にPEなどでは、資金を長期間動かせないという流動性リスクを引き受けることで、追加的なリターンを狙う側面があります。

そのため、高いリターンが示されていても、それだけで優れた投資だったとは判断できません。

大切なのは、「何%儲かったか」だけを見ることではありません。

そのリターンを得るために、どれだけの期間資金を拘束し、どのようなリスクを取り、どれだけの手数料を負担したのかを見ることです。

オルタナ投資のリターンを評価するときには、数字の大きさではなく、その数字の裏側にある条件までそろえて比較することが重要なのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 何のためのオルタナ投資か

タイトルとURLをコピーしました