オルタナ投資で分散効果が期待できるのはなぜか 株式と違う値動きをする資産を持つ意味編

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オルタナティブ投資というと、高いリターンを狙う投資というイメージを持つ人もいるでしょう。

しかし、オルタナ投資にはもう1つ重要な目的があります。

それがリスクの分散です。

株式や債券とは異なる値動きをする資産をポートフォリオへ加えることで、資産全体の値動きを抑える効果が期待できます。

重要なのは、単純に投資対象を増やすことではありません。

異なる値動きをする資産を組み合わせることです。

分散投資とは何か

分散投資とは、資金を複数の資産へ分けて投資する考え方です。

例えば、資産のすべてを1社の株式へ投資していた場合、その企業の業績が悪化すると資産全体が大きく減少する可能性があります。

そこで複数の企業へ投資します。

さらに国内株式だけではなく、海外株式や債券などへ投資対象を広げることで、特定の企業や市場だけに依存するリスクを小さくできます。

ただし、分散投資で重要なのは投資対象の数だけではありません。

それぞれの資産が異なる値動きをするかどうかが重要になります。

同じ動きをする資産だけでは分散にならない

例えば、10種類の金融商品へ資金を分けていたとします。

商品数だけを見ると十分に分散しているように見えます。

しかし、すべての商品が株式市場の上昇とともに値上がりし、株式市場の下落とともに値下がりするのであれば、相場急落時には一斉に下落する可能性があります。

これでは、商品数を増やしたほどにはリスクを分散できません。

分散投資では、

「いくつの商品を持っているか」

だけではなく、

「それぞれの商品がどのように動くのか」

を見る必要があります。

株式と違う値動きをする資産を加える

そこで利用されるのが、株式などの伝統的資産とは異なる値動きをする資産です。

例えば、株式市場が10%下落したとします。

保有資産がすべて株式と同じように10%下落すれば、資産全体も大きく減少します。

一方、株式とは異なる値動きをする資産が含まれており、その資産の下落が小さかったり、価格が上昇したりすれば、資産全体の下落幅を抑えられる可能性があります。

これが分散効果です。

1つの資産の値下がりを、別の資産の異なる値動きによって和らげる考え方です。

オルタナ資産が利用される理由

オルタナティブ資産には、上場株式や債券とは異なる要因で収益が決まるものがあります。

代表例の1つが不動産です。

不動産の収益には、物件価格だけではなく、賃料収入や入居率などが影響します。

株式市場が下落したからといって、すべての不動産の賃料が同じ割合ですぐに下落するわけではありません。

そのため、株式などの伝統的資産との相関が低い資産として利用されることがあります。

オルタナ投資には、こうした異なる収益源を資産全体へ加える役割があります。

ポートフォリオ全体で考える

分散投資を考えるときに重要なのが、個別の商品ではなくポートフォリオ全体を見ることです。

例えば、あるオルタナティブ資産単独では値動きが大きいとします。

それだけを見ると、リスクの高い商品に見えるかもしれません。

しかし、その資産が株式とは異なる値動きをするのであれば、ポートフォリオへ加えることで資産全体の値動きが小さくなる場合があります。

反対に、単独では安定しているように見える商品でも、現在保有している資産とほぼ同じ値動きをするのであれば、追加しても大きな分散効果は期待できないかもしれません。

重要なのは、

「この商品はリスクが高いか低いか」

だけではありません。

「この商品を加えることで資産全体のリスクがどう変化するのか」

を見ることです。

高いリターンを狙う目的とは別に考える

オルタナ投資には、大きく2つの目的があります。

1つは、追加的なリスクを引き受けることで高いリターンを狙うことです。

もう1つが、伝統的資産とは異なる値動きを利用してリスクを分散することです。

この2つは分けて考える必要があります。

例えばPEへ投資する場合には、流動性リスクなどを取ることで高いリターンを狙うという目的があります。

一方、不動産などを組み入れる場合には、株式などとの相関の低さを利用してポートフォリオ全体のリスクを抑える目的も考えられます。

同じオルタナ投資でも、組み入れる理由は同じとは限りません。

分散すれば必ず損失を防げるわけではない

注意したいのは、分散投資をすれば損失がなくなるわけではないことです。

金融危機などでは、通常は異なる値動きをしている資産が同時に値下がりすることがあります。

市場参加者が一斉に資産を売却すれば、それまで相関の低かった資産まで下落する可能性があります。

また、金利上昇など、複数の資産へ同時に影響を与える要因もあります。

分散投資は損失を完全に防ぐ仕組みではありません。

特定の資産やリスクへの集中を避けるための仕組みと考える必要があります。

オルタナ資産特有の注意点もある

オルタナ資産では、分散効果が実際以上に大きく見える場合があります。

PEや非上場不動産などは、上場株式のように毎日市場価格がつくとは限りません。

株式市場が急落しても、オルタナ資産の評価額がすぐには変わらないことがあります。

その結果、数字だけを見ると株式とはまったく違う値動きをしているように見える場合があります。

しかし、実際には資産価値が変化していて、それが評価額へ反映されるまで時間がかかっているだけかもしれません。

オルタナ資産の分散効果を見る場合には、こうした「見かけ上の低相関」に注意する必要があります。

分散の目的を明確にする

個人投資家がオルタナ投資を考える場合も、まず目的を明確にする必要があります。

高いリターンを狙いたいのか。

株式への集中を減らしたいのか。

資産全体の値動きを抑えたいのか。

目的によって選ぶべき商品は変わります。

「オルタナ投資だから分散になる」と考えるのでは不十分です。

現在保有している資産とどのような関係にあるのかを確認することが重要です。

分散投資は、商品単独ではなく資産全体で考えるものなのです。

結論

オルタナ投資で分散効果が期待される理由は、株式や債券などの伝統的資産とは異なる値動きをする資産をポートフォリオへ加えられるからです。

相関の低い資産を組み合わせれば、1つの資産が大きく値下がりしたときでも、資産全体の下落を抑えられる可能性があります。

ただし、オルタナ資産を持つだけで自動的に分散できるわけではありません。

金融危機などでは資産間の相関が高まる場合があり、価格が頻繁につかない資産では分散効果が実際以上に大きく見えることもあります。

大切なのは、投資商品の数を増やすことではありません。

自分がすでに持っている資産とは異なるリスクや収益源を持つ資産を組み合わせることです。

オルタナ投資の価値は、商品単独のリターンだけではなく、資産全体の中でどのような役割を果たすのかを見ることで理解しやすくなります。

参考

日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 何のためのオルタナ投資か

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