マンション投資の出口戦略は税制改正でどう変わるのか 購入時だけでなく売却時の税金を見る理由編

税理士
水色 シンプル イラスト ビジネス 解説 はてなブログアイキャッチのコピー - 1

マンション投資では、いくらで購入するかに目が向きがちです。

しかし投資の最終的な成果を決めるのは、購入価格だけではありません。

何年間保有し、いくらで売却し、税金や売却費用を差し引いた後にいくら残るのかまで考える必要があります。

これがマンション投資の出口戦略です。

新築マンションの短期売買に対する税制措置が今後具体化すれば、投資家の出口戦略にも影響する可能性があります。

出口戦略とは売却まで考えること

マンション投資は購入した時点では終わりません。

購入後に家賃収入を得る方法もあれば、値上がりしたところで売却する方法もあります。

長期間保有することもできます。

最終的に重要なのは、投資を終了した時点でどれだけの利益が残ったかです。

購入価格が安くても、売却価格が大きく下がれば利益は出ません。

反対に売却価格が上昇しても、税金や金利、売買費用が大きければ手元に残る利益は小さくなります。

売却価格と利益は同じではない

例えば1億円で購入したマンションを1億2,000万円で売却したとします。

単純に見ると2,000万円の利益が出たように見えます。

しかし税務上の譲渡所得は、単純な売却価格と購入価格の差だけで決まるわけではありません。

取得費や譲渡費用などを考慮して計算します。

建物については、取得費を計算する際に所有期間中の減価償却相当額を考慮する必要もあります。

さらに実際の投資収益を見るなら、購入時や保有中のさまざまなコストも考えなければなりません。

売値が買値を上回ったというだけでは、最終的な投資成果は判断できません。

保有期間で税率が大きく変わる

個人のマンション投資で特に重要なのが保有期間です。

不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下なら、原則として短期譲渡所得になります。

税率は所得税30%と住民税9%を合わせて39%です。

5年を超える長期譲渡所得では、所得税15%と住民税5%を合わせて20%です。

別途、復興特別所得税があります。

同じ譲渡所得が発生しても、売却時期によって税引き後の金額が大きく変わる可能性があります。

税引き後利益で考えることが重要

仮に課税対象となる譲渡所得が2,000万円だったとします。

単純化して所得税と住民税だけで考えると、税率39%なら税負担は780万円です。

税率20%なら400万円です。

その差は380万円になります。

同じ2,000万円の譲渡所得でも、保有期間によって税引き後に残る金額は大きく変わります。

投資判断では税引き前利益ではなく、税引き後利益を見る必要があります。

売却時期を数カ月変えるだけで結果が変わることもある

短期譲渡所得と長期譲渡所得の判定では、売却した年の1月1日時点の所有期間が重要です。

そのため単純に購入から5年経過した時点で長期譲渡所得になるとは限りません。

売却する時期が少し違うだけで、短期と長期の判定が変わる場合があります。

マンション投資の出口を考えるときには、相場だけを見て売却時期を決めるのではなく、税務上の所有期間判定も確認することが重要です。

新しい短期転売課税が加われば出口は変わる

今後、購入後1年以内などの短期売買に新しい税制措置が設けられた場合を考えてみます。

短期間で売却した場合の税引き後利益がさらに小さくなれば、投資家は売却時期を遅らせる可能性があります。

購入から数カ月後に売却する予定だった人が、追加負担の対象期間を過ぎるまで保有するという行動です。

つまり税制改正は、税負担だけでなくマンションの保有期間そのものを変える可能性があります。

短期転売から賃貸へ変わる可能性もある

すぐに売却すると税負担が重くなるのであれば、一定期間は賃貸に出すという選択肢も考えられます。

短期的な値上がり益を狙って購入したマンションでも、すぐには売却せず、家賃収入を得ながら保有する方法です。

その後、税制上有利な時期になってから売却するという出口戦略へ変わる可能性があります。

この場合、短期売買件数は減っても、投資目的のマンション購入そのものが減るとは限りません。

税制によって投資行動の形が変わるだけということも考えられます。

金利上昇も出口戦略を変える

税制と同時に考えたいのが金利です。

借入金でマンションを購入している場合、保有期間を延ばせばその間の利息負担も続きます。

短期転売への税負担を避けるために長期間保有しても、金利が高ければ追加の利息負担が大きくなる可能性があります。

税金を減らすために保有期間を延ばした結果、支払利息が増えて全体の利益が減ることもあり得ます。

出口戦略では税金だけでなく、資金調達コストも合わせて考える必要があります。

売りたいときに売れるとは限らない

もう一つ重要なのが不動産の流動性です。

株式であれば市場が開いている時間に売却注文を出すことができますが、マンションは買い手が見つからなければ売却できません。

市場価格が下落している局面では、希望価格で買い手が見つからないことがあります。

税制上有利な時期まで待っている間にマンション価格が下落すれば、税金を節約できても売却益そのものが減る可能性があります。

税率だけを理由に売却時期を決めることには注意が必要です。

税制が投資家の行動を変える

短期転売への課税を考える政策側にとっても、出口戦略は重要な視点です。

税負担を重くすれば短期売買が減るとしても、投資家が市場から退出するとは限りません。

売却時期を遅らせる。

一定期間賃貸する。

別の地域や中古マンションへ投資する。

法人を利用した取引を検討する。

税制が変われば、投資家も新しい条件に合わせて行動を変えます。

制度の効果を検証するときには、短期売買件数だけでなく、その後の投資行動まで見る必要があります。

結論

マンション投資では購入価格だけでなく、いつ、いくらで売却し、税金や費用を差し引いた後にいくら残るのかを考える必要があります。

個人の場合、現在でも不動産の保有期間によって短期譲渡所得と長期譲渡所得に分かれ、原則として税率に大きな差があります。

今後、購入後1年以内などの極めて短い転売に新しい税制措置が設けられれば、マンション投資の出口戦略はさらに重要になります。

投資家が売却時期を遅らせたり、一定期間賃貸したりする可能性もあります。

一方、保有期間を長くすれば金利負担が増え、市場価格が下落するリスクもあります。

税金だけを減らせば投資収益が最大になるわけではありません。

購入価格、売却価格、保有期間、税金、金利、売買費用をまとめて考え、最終的な税引き後利益を見ることが重要です。

マンション投資は入口である購入だけでなく、出口である売却まで考えて初めて全体像が見えてきます。

参考

税のしるべ 2026年9月14日 国交省が新築マンション高騰対応で税制措置を要望、主に短期売買を問題視か

タイトルとURLをコピーしました