金に投資したいと思っても、金地金を購入して自分で保管することにハードルを感じる人は少なくありません。
そこで登場しているのが、金の価値をデジタル資産として保有する金トークンです。
日本で発行されている代表的な金トークンがジパングコインです。
金という古くからある資産とブロックチェーンという新しい技術を組み合わせることで、スマートフォンなどから少額で金価格に投資できる仕組みになっています。
ジパングコインとは何か
ジパングコインは、三井物産の子会社である三井物産デジタルコモディティーズが2022年から発行している金トークンです。
暗号資産の一種ですが、ビットコインなどとは仕組みが異なります。
ビットコインには、その価値を直接裏付ける金などの実物資産はありません。
一方、ジパングコインは金を裏付け資産として発行されます。
そのため、暗号資産そのものの需給だけで価格が決まるのではなく、基本的には金価格に連動して価値が変化します。
金をデジタル化して取引しやすくした金融商品と考えると分かりやすいでしょう。
1コインは金1グラム相当
ジパングコインを理解するうえで重要なのが、金との関係です。
ジパングコインは1コインが金1グラム相当の価値になるように設計されています。
例えば金1グラムの価格が上昇すれば、ジパングコインの価格も基本的には上昇します。
反対に金価格が下落すれば、ジパングコインの価格も下落することになります。
つまり、投資家は金地金を直接購入しなくても、ジパングコインを保有することで金価格の値動きに投資できます。
ただし、1コインが金1グラム相当だからといって、投資家自身が特定の金1グラムを直接所有しているという意味ではありません。
投資家が保有するのはデジタル上のトークンです。
金地金を直接所有することとの違いを理解しておく必要があります。
金価格への連動を目指している
ジパングコインの大きな特徴は、金価格への連動を目指していることです。
一般的な暗号資産では、需要と供給、投資家心理などによって価格が大きく変動する場合があります。
ジパングコインの場合は、金という実物資産を価値の裏付けとすることで、金価格との連動を目指しています。
そのため、金価格が上昇すると考える投資家にとっては、金地金や金ETFとは異なる投資手段になります。
金はインフレや地政学リスクへの備えとして利用されることがあります。
株式や債券とは異なる値動きをする場合があるため、資産を分散する目的で金を保有する投資家もいます。
ジパングコインは、こうした金投資をデジタル資産の形で行えるようにしたものです。
少額から金に投資できる
金地金を購入する場合には、一定のまとまった資金が必要になることがあります。
これに対してジパングコインは、小口で購入できます。
記事によると1円から購入することができます。
金1グラム相当の価格を一度に支払わなければならないわけではありません。
トークンを細かく分割して売買できるためです。
この小口化は、資産をデジタル化する大きなメリットの一つです。
まとまった資金がなくても、少額から金価格への投資を始めることができます。
毎月少しずつ購入するといった使い方もしやすくなります。
24時間365日取引できる
ジパングコインのもう一つの特徴が取引時間です。
スマートフォンのアプリなどを利用して、24時間365日取引できるとされています。
国内の金ETFは証券取引所に上場しているため、基本的には証券取引所が開いている時間に売買します。
これに対してジパングコインは、夜間や休日でも取引できます。
世界の金市場は、日本の証券取引所が閉まっている時間にも動いています。
海外で大きな政治問題や金融危機などが起きれば、日本時間の夜間に金価格が大きく動くこともあります。
24時間取引できることは、こうした世界市場の動きに対応しやすいという特徴につながります。
ただし、いつでも取引できることと、いつでも希望する価格で売買できることは同じではありません。
実際に投資する場合には、売買価格や流動性なども確認する必要があります。
取扱業者も増えている
ジパングコインを取り扱う暗号資産交換業者も増えています。
記事によると、GMOコインが2026年4月から、コインチェックが2026年8月から新たにジパングコインの取り扱いを始めました。
購入できる場所が増えれば、個人投資家にとって金トークンはより身近になります。
三井物産によると、2026年6月末時点の発行残高は25億7400万円です。
海外の代表的な金トークンと比べれば市場規模はまだ小さいものの、日本でも金トークンという投資手段が徐々に広がり始めています。
今後、暗号資産の税制が見直されれば、さらに注目される可能性があります。
金トークンだから安全とは限らない
ジパングコインが金価格に連動するからといって、元本が保証されているわけではありません。
金価格そのものが下落すれば、ジパングコインの価値も下落する可能性があります。
さらに、金地金を直接持つ場合にはないリスクもあります。
発行会社の信用リスクやシステム障害、サイバー攻撃など、デジタル資産特有のリスクです。
記事によると、ジパングコインには発行会社の破綻に備えた銀行による保証の仕組みがあるとされています。
投資する際には、金価格だけを見るのではなく、裏付けとなる金の管理方法や資産保全の仕組みまで確認することが重要です。
結論
ジパングコインは、日本で発行されている金を裏付けとした暗号資産です。
1コインが金1グラム相当の価値になるよう設計されており、基本的には金価格に連動して価格が変動します。
大きな特徴は、金地金そのものを購入しなくても、少額から金価格に投資できることです。
さらに、スマートフォンなどを利用して24時間365日取引できるため、従来の金ETFとは異なる利便性があります。
一方、投資家が持つのは金地金そのものではなくデジタル上のトークンです。
金価格の変動だけでなく、発行会社やシステムなどに関するリスクもあります。
ジパングコインは、単なる新しい暗号資産というより、金という伝統的な資産をデジタル化して小口で取引しやすくした商品として捉えると、その特徴が理解しやすくなります。
参考
日本経済新聞 2026年9月15日 朝刊 金で裏付けの暗号資産、売却益税率55→20%公算