晩婚化はなぜ出生数を減らすのか 結婚年齢が上がるほど子どもを持てる期間が短くなる理由編

人生100年時代
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日本の少子化を考えるとき、未婚化と並んで重要なのが晩婚化です。

結婚する人が最終的に同じ人数だったとしても、結婚する年齢が遅くなれば出生数に影響する可能性があります。

2025年の出生動向基本調査では、夫婦が理想の人数の子どもを持たない理由として、高年齢で生むのはいやだからという回答が35.0パーセントとなりました。

子どもを何人持つかは、お金だけで決まるわけではありません。

結婚する時期も大きく関係しています。

晩婚化とは何か

晩婚化とは、結婚する年齢が以前より高くなることです。

ここで未婚化との違いを整理しておく必要があります。

未婚化は、結婚しない人が増えることです。

晩婚化は、結婚はするものの、その時期が遅くなることです。

たとえば以前なら20代後半で結婚していた人が、30代半ばで結婚するようになれば晩婚化です。

最終的には結婚するため、婚姻だけを見れば同じように思えるかもしれません。

しかし、出産まで考えると意味が変わります。

結婚が遅くなれば第1子も遅くなりやすい

日本では結婚と出生の結びつきが強いため、結婚年齢が上がれば第1子を持つ年齢も上がりやすくなります。

結婚した直後に必ず子どもを持つわけではありません。

夫婦二人の生活を一定期間続けてから子どもを考える家庭もあります。

仕事の状況を見ながら時期を決めることもあります。

住宅や貯蓄を準備してからと考える場合もあります。

結婚する時期が後ろにずれれば、こうした時間も含めて第1子の時期が後ろにずれていきます。

第1子が遅くなると第2子も遅くなる

晩婚化が出生数に影響する大きな理由は、第1子だけの問題ではないことです。

第1子を出産した後、すぐに第2子を持つとは限りません。

出産後には育児があります。

仕事へ復帰する人もいます。

第1子の育児が少し落ち着いてから第2子を考える家庭もあるでしょう。

第1子の出産時期が遅くなれば、第2子を考える時期もさらに遅くなります。

理想では2人や3人の子どもを希望していても、実際にその人数を持つために使える期間が短くなっていきます。

年齢が出産判断に影響する

2025年の出生動向基本調査では、理想の人数の子どもを持たない理由として、高年齢で生むのはいやだからという回答が35.0パーセントでした。

これは子どもの人数を考えるうえで年齢が重要な制約になっていることを示しています。

年齢が上がるにつれて、妊娠や出産について身体的な負担を意識する人も増えます。

子どもを育てる期間について考える人もいるでしょう。

たとえば40歳で子どもが生まれれば、その子どもが20歳になるときには親は60歳です。

出産だけでなく、その後20年以上続く子育てまで考えて判断することになります。

お金が準備できるまで待つこととの矛盾

ここには難しい問題があります。

若いうちは所得や貯蓄が十分ではない場合があります。

結婚資金を貯める。

仕事で一定の地位を築く。

住宅を確保する。

生活が安定してから結婚しようと考える。

経済的には合理的な判断に見えます。

ところが、生活基盤が整うまで結婚を待てば、その分だけ結婚年齢が上がります。

経済的な準備を優先すると、今度は時間という制約が大きくなるのです。

若い世代は、お金と時間という二つの制約の間で人生設計を考えることになります。

キャリア形成とも重なりやすい

結婚や出産を考える時期は、仕事でも重要な時期と重なります。

20代後半から30代は、経験を積み、責任のある仕事を任されるようになる時期でもあります。

転職や昇進を考える人もいます。

その時期に結婚、妊娠、出産、育児が重なります。

特に出産や育児によってキャリアへの影響が大きいと感じれば、結婚や出産を後ろへずらす判断につながることがあります。

しかし、先送りするほど今度は年齢という制約が強くなります。

仕事と家庭形成を順番に行うことが難しい時代になっています。

晩婚化と2人目の壁はつながっている

晩婚化は、前回取り上げた2人目の壁とも密接に関係します。

第1子を持つことができても、第2子を考えるころには年齢が上がっています。

そこへ教育費や住宅費、仕事との両立、育児負担などの問題が加わります。

もう1人欲しいという気持ちはあっても、年齢を考えて断念する場合があります。

つまり、2人目の壁は経済問題だけではありません。

結婚や第1子の時期が遅くなることによって生まれる時間の壁でもあります。

少子化対策では時間の問題も考える必要がある

少子化対策では、児童手当や教育費支援など経済的な政策が注目されます。

もちろん、お金の支援は重要です。

しかし、若い世代が家庭形成を先送りしなくてもよい環境をつくることも重要です。

若いうちから安定した所得を得られること。

結婚時に無理なく住宅を確保できること。

出産や育児をしてもキャリアを続けられること。

男性も家事や育児に参加できる働き方であること。

こうした条件が整えば、経済的な安定を得るまで結婚や出産を待たなければならないという状況を減らせる可能性があります。

結論

晩婚化とは、結婚する人がいなくなることではなく、結婚する時期が遅くなることです。

しかし、日本では結婚と出生の結びつきが強いため、結婚年齢が上がれば第1子の出産時期も遅くなりやすくなります。

第1子が遅くなれば、第2子、第3子を考えるために使える期間も短くなります。

2025年の出生動向基本調査では、理想の人数の子どもを持たない理由として、高年齢で生むのはいやだからという回答が35.0パーセントありました。

若い世代には難しい選択があります。

経済的な準備が整うまで待てば年齢が上がり、早く家庭を持とうとすれば所得や貯蓄に不安が残る可能性があります。

少子化対策では、お金の問題だけではなく時間の問題を見る必要があります。

若い時期に仕事か家庭かのどちらかを選ばなくてもよく、キャリアを築きながら結婚や子育てもできる環境を整えること。

晩婚化を考えることは、若い世代が人生の大切な選択を必要以上に先送りしなくてもよい社会を考えることでもあるのだと思います。

参考

日本経済新聞 2026年9月12日 朝刊 一生結婚しない2割超

日本経済新聞 2026年9月12日 朝刊 生活不安で結婚ためらう 家庭築く準備、支援薄く

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