一生結婚しない人が2割を超えた日本 少子化対策は子育て支援だけでは足りない

人生100年時代
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日本の少子化を考えるとき、これまでは子どもを産んだ後の負担をどう軽くするかが議論の中心でした。しかし、少子化はそのもっと手前の段階で進んでいます。そもそも結婚しようと考える若者自体が減っているのです。

国立社会保障・人口問題研究所が公表した2025年の出生動向基本調査では、18歳から34歳の未婚者のうち、一生結婚するつもりはないと答えた割合が男性24.0パーセント、女性21.5パーセントとなりました。男女とも初めて2割を超えています。

少子化対策を考えるうえで、非常に重要な変化だと思います。

結婚するつもりの人が8割を下回った

同じ調査で、いずれ結婚するつもりと答えた割合は男性75.1パーセント、女性77.8パーセントでした。

かつて18歳から34歳の若者では、結婚する意思を持つ人が9割近くを占めていました。それが今では4人に1人近くが結婚しないという選択肢を考えるようになっています。

もちろん、結婚するかどうかは個人の自由です。結婚しない生き方を否定する必要はありません。

一方で、人口や社会保障、労働力という社会全体の視点から見れば、結婚希望そのものが低下していることは大きな意味を持ちます。

日本では結婚と出生の結びつきが強いためです。

結婚そのものの魅力も低下している

気になるのは、結婚に利点があると考える人も減っていることです。

結婚に利点があると答えた割合は男性56.3パーセント、女性63.4パーセントで、いずれも過去最低となりました。

つまり、単に結婚したくても相手が見つからないという問題だけではありません。

結婚することによって生活が良くなるという期待そのものが弱くなっている可能性があります。

仕事を続けながら家事や育児をする負担、住宅費、教育費、将来の所得への不安などを考えれば、結婚によって生活上の責任や負担が増えると感じる人がいても不思議ではありません。

経済状況が変われば結婚したい人もいる

ただし、一生結婚するつもりはないという回答を、そのまま生涯独身を決意した人と考えるのは早計です。

結婚を望まない人の4割から5割程度は、相手が現れたり、収入や貯蓄が増えたりすれば結婚を望む可能性があると回答しています。

特に注目したいのが所得です。

結婚する意思のない若者のうち、結婚希望に転じる可能性のある男性の56.1パーセント、女性の44.6パーセントが、収入や貯蓄が増えることを要因として挙げています。

結婚観の変化だけで説明することはできません。

若い世代が将来の生活設計を描ける経済環境になっているかという問題でもあります。

子どもを何人欲しいかも減っている

結婚した後の出産意欲にも変化が表れています。

夫婦が理想とする子どもの数は平均2.18人となり、2021年調査の2.25人から低下しました。

さらに重要なのが、実際に予定している子どもの数です。

平均1.95人となり、調査開始以来初めて2人を下回りました。

結婚期間が0年から4年の若い夫婦では、理想と予定の子ども数がともに2人を下回っています。

未婚者だけでなく、すでに結婚している若い夫婦の間でも少子化方向への意識変化が進んでいることになります。

最大の壁は子育てと教育のお金

理想の人数の子どもを持たない理由で最も多かったのは、子育てや教育にお金がかかりすぎるという回答で52.9パーセントでした。

次いで、高年齢で生むのはいやだからが35.0パーセント、これ以上育児の心理的、肉体的負担に耐えられないが27.8パーセントとなっています。

ここから見えてくるのは、少子化には一つの原因だけがあるわけではないということです。

所得だけ増やせば解決するわけでも、保育園を増やせば解決するわけでもありません。

所得、住宅、教育費、働き方、家事育児の分担などが重なっています。

希望出生率も1.46程度まで低下

今回の調査を基にした試算では、結婚を希望する人が全員結婚し、希望する人数の子どもを持てたと仮定した希望出生率も2025年には1.46程度まで低下するとされています。

新型コロナウイルス禍前には1.8前後でした。

ここには重要な意味があります。

これまでは、結婚したいのに結婚できない、子どもが欲しいのに持てないという希望と現実の差を縮めることが少子化対策の重要な課題とされてきました。

ところが、その希望自体が低下し始めています。

希望をすべて実現できたとしても、人口を維持できる水準には届かない状況になっているのです。

子育て支援だけでは少子化対策にならない

政府は少子化対策として児童手当や保育、育児休業、高校授業料などの支援を拡充しています。

これらは重要な政策です。

ただ、多くは結婚した後、あるいは子どもが生まれた後の支援です。

今回の調査が示している問題は、その前にあります。

結婚するかどうかを考える20代や30代が、安定した所得を得られるのか。結婚後に住める住宅を確保できるのか。共働きを続けながら子育てできるのか。教育費を負担できるのか。

家庭をつくる前の段階から将来への安心感を持てなければ、出産後の支援をどれほど充実させても政策の効果には限界があります。

少子化は人生設計の問題になっている

少子化というと出生数や合計特殊出生率という数字に目が向きます。

しかし、その数字の前には一人一人の人生設計があります。

就職し、所得を得て、住居を確保し、結婚し、子どもを持ち、仕事を続けながら育てる。

この一連の流れのどこかに大きな不安があれば、その後の選択にも影響します。

結婚しないという選択を問題視するのではなく、結婚や出産を望む人が経済的な理由によって諦めなくてもよい社会をつくることが重要です。

結論

2025年の出生動向基本調査では、一生結婚するつもりはないと答えた18歳から34歳の未婚者が男女とも初めて2割を超えました。

さらに夫婦が予定する子どもの数も初めて平均2人を下回りました。

これは日本の少子化が、単なる子育て費用の問題から、結婚や家庭形成そのものの問題へ広がっていることを示しています。

児童手当や保育支援だけでは十分ではありません。

若い世代の手取り、雇用、住宅、教育費、働き方まで含めて、結婚する前から家庭を築ける環境を整える必要があります。

少子化対策とは、子どもが生まれてから支援する政策だけではなく、若い世代が自分の将来に希望を持てるようにする政策なのだと思います。

参考

日本経済新聞 2026年9月12日 朝刊 一生結婚しない2割超

日本経済新聞 2026年9月12日 朝刊 生活不安で結婚ためらう 家庭築く準備、支援薄く

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