シフト選択制とは何か 会社が決めた勤務時間ではなく社員が働く時間を選ぶ仕組み編

人生100年時代
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正社員の勤務時間というと、午前9時から午後5時30分までなど、会社が決めた同じ時間帯に全員が働く姿をイメージする人が多いでしょう。

しかし、育児や介護などをしながら働く人が増えると、全員が同じ時間に出社し、同じ時間に退社する働き方では対応しにくくなります。

そこで、複数の勤務時間帯を会社が用意し、その中から社員が自分に合った働き方を選べる仕組みがあります。

これが「シフト選択制」です。

例えば午前8時から働き始めて夕方早く帰る勤務と、午前10時から働き始めて夕方遅くまで働く勤務を選べれば、同じ正社員でも生活に合わせて働く時間帯を変えられます。

時短勤務のように労働時間そのものを短くするだけではなく、「いつ働くか」を柔軟にする考え方です。

シフト選択制とは何か

シフト選択制とは、会社が複数の勤務時間帯を設定し、社員がその中から自分に合った勤務時間を選択できる仕組みです。

例えば1日の所定労働時間が同じでも、

午前8時から午後4時40分

午前8時30分から午後5時10分

午前9時から午後5時40分

午前10時から午後6時40分

というように、始業時刻と終業時刻を変えることができます。

早く出社したい人は早いシフトを選び、朝に家庭の事情がある人は遅いシフトを選びます。

会社が一つの勤務時間を全社員へ一律に当てはめるのではなく、複数の選択肢を用意するわけです。

オンワードホールディングスの例

参考記事では、オンワードホールディングスの取り組みが紹介されています。

同社では午前8時から10分刻みで、13通りの勤務時間から選べるシフト選択制を導入しています。

例えば午前8時に始業する勤務を選べば、その分だけ早く仕事を終えることができます。

記事で紹介された社員は、子どもが保育園に通っていた時期に、

午前8時から午後4時40分

の勤務を選択していました。

朝早く仕事を始め、夕方は子どもの迎えに行きやすくする働き方です。

時差出勤との違い

シフト選択制と似ている仕組みに時差出勤があります。

時差出勤も、通常とは異なる時間帯に出勤する働き方です。

例えば通常勤務が午前9時から午後5時30分の場合に、

午前8時から午後4時30分

へ変更するようなケースです。

シフト選択制も広い意味では、始業時刻と終業時刻をずらす仕組みと考えられます。

ただし、会社があらかじめ複数の勤務パターンを用意し、社員がその中から選べる制度として設計すれば、

今日は何時から働いてよいのか

という曖昧さを減らすことができます。

社員側も、自分の生活に合った勤務時間を選びやすくなります。

時短勤務との違い

シフト選択制と時短勤務の大きな違いは、

労働時間そのものを短くするのか

働く時間帯を変えるのか

という点です。

例えば通常勤務が、

午前9時から午後5時40分

だったとします。

時短勤務によって、

午前9時から午後4時

に変更すれば、1日の労働時間そのものが短くなります。

一方、

午前8時から午後4時40分

へ変更し、休憩時間を含めた所定労働時間が通常勤務と同じなら、労働時間は減っていません。

働き始める時刻と終わる時刻を前へずらしただけです。

この違いは賃金にも関係します。

労働時間そのものを短縮する時短勤務では、会社の制度によって賃金が減る場合があります。

一方、所定労働時間を変えずに時間帯だけを変更するのであれば、時短勤務とは事情が異なります。

なぜ早く出社したい人がいるのか

育児中の社員にとって、夕方の時間は特に重要です。

例えば保育園のお迎えが午後5時30分までなら、午後5時30分まで会社で働くことは難しくなります。

そこで、

午前8時に出社する

午後4時40分に退社する

という働き方を選べれば、労働時間を大きく減らさずに保育園へ迎えに行くことができます。

これは本人にとって大きなメリットがあります。

時短勤務にしなくても済めば、勤務時間の短縮による賃金減少を避けられる可能性があるからです。

遅く出社したい人にも意味がある

シフト選択制は、早く帰りたい人だけの制度ではありません。

朝の時間を確保したい人にも利用できます。

例えば、

子どもを学校へ送り出したい

家族を病院へ連れて行きたい

朝に勉強したい

通勤ラッシュを避けたい

という人なら、遅い勤務時間を選択する方法があります。

生活の事情は社員によって違います。

そのため、

全員が午前9時に働き始める

という前提をなくすだけでも、働き方の選択肢は大きく広がります。

全社員を対象にする意味

柔軟な勤務制度というと、

育児中の社員だけ

介護中の社員だけ

を対象にする制度になりがちです。

しかし、理由を限定すると、

制度を利用する人

制度を利用しない人

という区分が明確になります。

特に育児中の女性だけが早い時間に帰る状態になれば、

特別扱いされている

という意識が職場に生まれる可能性があります。

一方、全社員が複数の勤務時間から選べるのであれば、

早く帰る働き方も普通の勤務形態の一つ

になります。

育児以外にも利用できる

働く時間を変えたい理由は、育児だけではありません。

例えば、

介護

通院

資格取得の勉強

大学院への通学

地域活動

趣味

スポーツ

などがあります。

理由を限定せず利用できる制度なら、社員はそれぞれの生活に合わせて勤務時間を選べます。

すると柔軟な働き方が、

育児中の人への福利厚生

ではなく、

会社全体の働き方

になります。

時短勤務を選ばなくても済む人が増える

シフト選択制には、時短勤務を利用する人を減らせる可能性もあります。

例えば保育園への迎えのため午後5時には会社を出たい社員がいたとします。

午前9時始業しか選べなければ、午後4時までの時短勤務を選ぶ必要があるかもしれません。

しかし午前8時から働けるのであれば、通常とほぼ同じ労働時間を確保しながら早く退社できる可能性があります。

本人にとっては、

働く時間を減らす

のではなく、

働く時間帯を変える

だけで問題を解決できるわけです。

企業にとってもメリットがある

企業側にもメリットがあります。

例えば社員が育児を理由に、

フルタイムでは働けないので退職する

という事態を減らせる可能性があります。

勤務時間帯を少し変えるだけで働き続けられるなら、会社は経験のある人材を維持できます。

また、社員によって始業時間が異なれば、

午前8時から対応できる社員

午後6時以降まで対応できる社員

がいる状態を作ることもできます。

業務の性質によっては、顧客対応時間を広げられる可能性もあります。

フレックスタイム制とは考え方が違う

勤務時間を柔軟にする制度として、フレックスタイム制もあります。

フレックスタイム制では、一定のルールの下で労働者が始業時刻や終業時刻を決められる仕組みがあります。

一方、シフト選択制では、会社があらかじめ、

午前8時開始

午前8時10分開始

午前8時20分開始

というような複数の勤務パターンを用意し、その中から選択する形が考えられます。

どちらも働く時間を柔軟にする方法ですが、制度の設計は異なります。

重要なのは、自社の仕事に合った方法を選ぶことです。

全員が同じ時間にいる必要があるのか

シフト選択制を考えると、

社員の勤務時間がばらばらになると仕事がしにくい

という問題もあります。

確かに、チームで仕事をする以上、一定時間は社員同士が連絡を取れる方が便利です。

しかし、

全員が朝から夕方まで完全に同じ時間にいる必要があるのか

は別問題です。

例えば午前10時から午後4時までは多くの社員が勤務しているように制度を設計すれば、会議や打ち合わせをその時間帯に集めることができます。

重要なのは、全員を同じ時間に縛ることではなく、必要な連携が取れる仕組みを作ることです。

結論

シフト選択制とは、会社が複数の勤務時間帯を用意し、社員が自分の生活に合った時間帯を選べる仕組みです。

例えば午前8時から働き始めれば、その分だけ夕方早く退社できます。

時短勤務との大きな違いは、

働く時間そのものを短くする

のではなく、

働く時間帯を変える

ことができる点です。

そのため、保育園への迎えなどの事情があっても、労働時間を減らさず働ける人が出てきます。

さらに、育児中の社員だけではなく全社員が利用できる制度にすれば、

早く帰る人は特別

という考え方も薄くなります。

育児、介護、通院、学び直しなど、社員が働く時間を変えたい理由はさまざまです。

人手不足が進む日本では、

会社が決めた時間に働ける人だけを採用する

という考え方では、人材確保が難しくなります。

仕事に必要な時間を確保しながら、いつ働くかについては社員に選択肢を持たせる。

シフト選択制は、正社員の働き方を一つの時間帯に固定しないための仕組みといえるでしょう。

参考

日本経済新聞 2026年8月31日朝刊 「時短」勤務者は重要な戦力 人員確保に効果 管理職の意識変わる

日本経済新聞 2026年8月31日朝刊 シフトを選べる企業も

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