外貨預金と外国債券は何が違うのか ドルを持つ方法を金利と価格変動から比較する編

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米ドルなどの外貨で資産を持つ方法は、外貨預金だけではありません。

外国債券を購入する方法もあります。

例えば米ドル預金にお金を預ければ、ドルで利息を受け取ることができます。

一方、米ドル建ての米国国債や社債などを購入しても、ドルで利子を受け取ることができます。

どちらもドルで資産を持ち、円安になれば円換算した資産価値が増えやすいという点では似ています。

しかし両者には大きな違いがあります。

外貨預金には預金金利が付きますが、外国債券には債券価格の変動があります。

さらに外国債券では発行体の信用力や満期までの期間などによって利回りが変わります。

外貨を持つという目的は同じでも、外貨預金と外国債券では収益とリスクの仕組みが違うのです。

外貨預金の金利とは何か

外貨預金は、円を米ドルやユーロなどへ交換して銀行に預ける商品です。

銀行は通貨や預入期間などに応じて預金金利を設定します。

例えば1万ドルを年3%の外貨定期預金へ1年間預けた場合を単純化すると、税金などを考慮する前では300ドル程度の利息が発生することになります。

預金者から見ると、

元本である外貨

預金から生じる利息

を保有することになります。

ただし最終的に円へ戻すのであれば為替相場の影響を受けます。

1ドル150円で購入したドルを1ドル160円で円へ戻せば為替差益が生じる可能性があります。

反対に1ドル140円になれば為替差損が生じる可能性があります。

したがって外貨預金の収益は、預金金利だけで決まるわけではありません。

外国債券とは何か

外国債券とは、発行体や発行場所、通貨などのいずれかが外国と関係する債券です。

個人投資家にとって分かりやすいのが外貨建て債券です。

例えば米ドル建ての米国国債を購入すれば、米ドルで利子を受け取り、満期には原則として米ドルで額面金額の償還を受けます。

企業が発行する米ドル建て社債もあります。

債券とは、国や企業などへ一定期間お金を貸す仕組みと考えると分かりやすくなります。

発行体は投資家から資金を借りる代わりに、一定の条件で利子を支払い、満期になると元本を返します。

この点では銀行へお金を預ける外貨預金とは資金の流れが異なります。

外貨預金では銀行との預金契約ですが、債券では国や企業などが発行した有価証券を購入します。

外貨預金の金利と外国債券の利回りは何が違うのか

外貨預金では銀行が設定した預金金利が重要になります。

一方、外国債券では利率だけでなく利回りを見る必要があります。

債券には額面金額と市場価格があります。

例えば額面1万ドルの債券だからといって、いつでも1万ドルで購入できるとは限りません。

市場で売買されている債券の価格は変動します。

額面1万ドルの債券を9800ドルで購入できる場合もあれば、1万200ドルで購入する場合もあります。

そのため債券では、

いくらで購入するのか

どれだけ利子を受け取るのか

満期にいくら戻るのか

を合わせて考える必要があります。

これらを総合的に示すものが利回りです。

表面上の利率が高い債券だから、必ず投資収益も高いとは限りません。

外国債券には価格変動がある

外貨預金と外国債券の大きな違いの一つが価格変動です。

外貨預金では、例えば1万ドルを預けている場合、為替相場とは別に預金元本そのものが市場価格によって毎日9000ドルや1万1000ドルになるという仕組みではありません。

一方、外国債券は市場で売買される有価証券なので価格が変動します。

例えば1万ドルで購入した債券の市場価格が9500ドルになることがあります。

反対に1万500ドルへ上昇することもあります。

つまり外国債券では、

為替相場の変動

債券価格の変動

という二つの価格変動を考える必要があります。

外貨預金より値動きの構造が一段複雑になります。

金利が上がるとなぜ債券価格は下がるのか

外国債券の価格を大きく動かす要因の一つが市場金利です。

一般的に市場金利が上昇すると、すでに発行されている債券の価格は下がる方向に動きます。

例えば年3%の利子が付く債券を持っているとします。

その後、市場金利が上昇して新しく発行される同程度の債券から年5%の利子を受け取れるようになったとします。

投資家から見れば、新しく発行される5%の債券の方が魅力的です。

すると既存の3%の債券を同じ価格で買いたい人は少なくなります。

そこで既存債券の価格が下がり、投資家にとっての利回りが市場金利に近づいていきます。

反対に市場金利が低下すれば、以前発行された高い利率の債券の魅力が高まり、価格が上昇することがあります。

これが債券価格と金利が反対方向へ動きやすい理由です。

満期まで持てば価格変動を気にしなくてよいのか

債券には満期があります。

そのため、

満期まで持てば途中の価格変動は関係ない

と説明されることがあります。

一定の意味ではその通りです。

例えば額面1万ドルの債券を購入し、発行体が契約通りに利子と元本を支払えば、途中で市場価格が下落しても満期には原則として額面金額が償還されます。

途中で9500ドルまで価格が下がっても、売却しなければその時点で価格下落による損失を確定する必要はありません。

ただし、これには重要な前提があります。

発行体が元本を返済できることです。

企業が発行する社債などでは、発行企業の経営が悪化すれば利子や元本の支払いができなくなる可能性があります。

国が発行する債券についても、発行国の信用力によってリスクは異なります。

満期まで持てば必ず安全という意味ではありません。

満期まで持っても為替リスクは残る

さらに外貨建て債券では、満期まで保有しても為替リスクはなくなりません。

例えば1ドル150円のときに150万円を1万ドルへ交換し、米ドル建て債券を購入したとします。

満期まで保有して1万ドルが償還されたとします。

ドルベースでは元本1万ドルが戻っています。

しかし満期時に1ドル130円まで円高になっていれば、1万ドルの円換算額は130万円です。

購入時には150万円だったものが、円換算では130万円になります。

債券そのものについて元本が償還されても、為替変動によって円ベースでは損失になる可能性があります。

つまり満期保有によって抑えられる可能性があるのは、途中の債券価格変動の影響です。

為替リスクまでなくなるわけではありません。

外貨預金にも外国債券にも信用リスクがある

外貨預金と外国債券では、信用リスクの相手も異なります。

外貨預金の場合は預け先となる金融機関の信用力が重要です。

外貨預金は預金保険制度の対象外なので、金融機関が破綻した場合には円預金と同じ保護を受けることができません。

一方、外国債券では債券を発行した国や企業の信用力が重要になります。

米国国債なら米国政府、企業の社債ならその企業が元本や利子を支払えるかどうかが問題になります。

企業の信用力が低い債券ほど高い利回りが提示されることがあります。

しかし高い利回りには、それだけ高い信用リスクが反映されている場合があります。

高金利だから有利と単純に判断できない点は、外貨預金にも外国債券にも共通しています。

外国債券を途中で売るとどうなるのか

外国債券では満期前に売却できるものがあります。

ここが外貨預金との違いを理解する重要なポイントです。

例えば1万ドルで購入した債券が、その後の金利上昇によって9500ドルまで値下がりしたとします。

この時点で売却すれば500ドルの価格差による損失が生じます。

さらに購入時より円高になっていれば、円換算した損失は一段と大きくなる可能性があります。

反対に市場金利が低下して債券価格が1万500ドルまで上昇し、さらに円安になっていれば、債券価格と為替の両方が利益方向に働くこともあります。

外国債券では、

利子

債券価格

為替相場

という三つの要素が収益に影響します。

外貨預金より損益の構造が複雑なのです。

外貨預金と外国債券は目的が違う

外貨預金と外国債券のどちらが優れているかを一概に決めることはできません。

何のために外貨を保有するのかによって選択肢が変わるからです。

例えば将来ドルで使う予定のお金を比較的分かりやすい形で保有したい場合には、外貨預金という方法があります。

一方、一定期間使う予定のない資金について、債券の利回りを得ながら運用したい場合には外国債券が選択肢になることがあります。

ただし外国債券では満期までの期間や信用リスク、途中売却した場合の価格変動なども考える必要があります。

外貨を持つという目的と、投資による収益を得るという目的を分けて考えることが重要です。

ドルを持つ方法は一つではない

円から外貨へ資産を分散する動きが広がると、

ドルをどう持つのか

という問題が出てきます。

外貨預金だけでなく、外国債券、外国株式、海外投資信託など様々な方法があります。

同じドル資産でもリスクの中身は違います。

外貨預金なら主に預金金利と為替変動、金融機関の信用リスクを考えます。

外国債券なら、それに加えて市場金利による債券価格の変動や発行体の信用リスクを考えます。

外国株式なら、さらに企業業績や株式市場の価格変動があります。

資産分散では外貨を持っているかどうかだけでなく、どの金融商品を通じて外貨資産を持っているのかを見る必要があります。

結論

外貨預金と外国債券は、どちらも米ドルなどの外貨で資産を保有できるという共通点があります。

しかし収益とリスクの仕組みは異なります。

外貨預金では銀行が設定した預金金利によって利息を受け取り、円へ戻す場合には為替相場の影響を受けます。

一方、外国債券では利子を受け取るだけでなく、市場金利の変化によって債券価格そのものが変動します。

そのため外国債券を途中で売却すれば、為替差損益だけでなく債券価格の上昇や下落による損益も発生する可能性があります。

満期まで保有すれば途中の価格変動の影響を避けられる場合がありますが、発行体の信用リスクや為替リスクがなくなるわけではありません。

外貨預金は外貨を預ける商品であり、外国債券は外貨で国や企業などへお金を貸す金融商品です。

同じドルを持つ場合でも、何から収益が生まれ、どのような場合に損失が発生するのかは違います。

外貨資産を選ぶときには、金利の高さだけではなく、為替変動、価格変動、信用リスク、そして資金をいつ使うのかまで含めて考えることが重要です。

参考

日本経済新聞 2026年8月21日 朝刊 外貨預金の伸び最大 家計・企業、円から資産分散

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