福岡の家賃はなぜ上がっているのか 地方中枢都市に投資マネーが向かう理由編

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東京だけでなく、福岡でもマンションの家賃上昇が目立っています。

今回の記事では、単身者向けとなる30平方メートル以下のマンションについて、福岡市の平均家賃が前年同月から15.9%上昇したとされています。

東京23区の12.4%を上回る伸びです。

日本全体では人口減少が続いているのに、なぜ地方都市の福岡でこれほど家賃が上昇するのでしょうか。

ポイントは、日本の人口が一様に減っているわけではないことです。

人口や企業、若者が地域の中心都市へ集まる一方、再開発によって街の機能が高まり、住宅需要が強くなる地域があります。

さらに東京より高い不動産利回りを期待できる場合、国内外の投資マネーも流入します。

福岡の家賃上昇は、地方中枢都市に人と資金が集中する構造を映しています。

人口減少でも住宅需要が増える都市がある

日本の不動産市場を見るとき、全国の人口だけを見ると実態を見誤ることがあります。

日本全体では人口が減少していても、人は全国均等に減るわけではありません。

進学や就職、転職などによって地方の小都市や農村部から地域の中心都市へ移動します。

九州では福岡市がその受け皿の一つになります。

九州全体の人口が減少しても、福岡市へ人が集まれば福岡市内の住宅需要は強くなる可能性があります。

不動産投資では全国人口より、対象地域に人が流入しているかどうかが重要なのです。

若い世代の流入が賃貸需要につながる

福岡の住宅市場を考えるうえで重要なのが若い世代です。

進学や就職をきっかけとして都市へ移動する若者は、最初から住宅を購入するとは限りません。

まず賃貸住宅へ入居する人が多くなります。

特に単身者なら、

駅に近い

職場へ通いやすい

買い物に便利

家賃総額が手頃

といった条件のマンションを選びやすくなります。

そのため若年層や単身者の流入は、30平方メートル以下のコンパクトな賃貸マンションの需要につながります。

世帯数を見ることも重要になる

人口だけでなく世帯数も住宅需要を左右します。

例えば4人が一つの世帯として暮らせば必要な住宅は一戸です。

同じ4人でも全員が単身世帯なら四戸必要になります。

晩婚化や単身世帯の増加などによって世帯が小さくなれば、人口が大幅に増えなくても住宅需要が強くなることがあります。

特に都市部では単身世帯が多いため、コンパクトマンションへの需要が生まれやすくなります。

住宅需要に対して供給が追いつかなければ家賃は上がる

家賃も基本的には需要と供給で決まります。

住みたい人が増えても十分な賃貸住宅が供給されれば、家賃上昇は抑えられます。

しかし人気エリアでは土地に限りがあります。

さらに、

土地価格

建築資材

人件費

設備費

などが上昇すれば、新しいマンションを簡単に供給できなくなります。

新築マンションの建設コストが上昇すれば、オーナーはそれに見合う家賃を求めます。

新築物件の家賃上昇が周辺の築浅中古物件にも波及し、地域全体の家賃水準を押し上げることがあります。

再開発が住宅需要を強くする

地方中枢都市の不動産を見るときには、再開発も重要です。

駅周辺や中心市街地で再開発が進むと、

オフィス

商業施設

ホテル

交通インフラ

などが整備されます。

企業や店舗が増えれば、そこで働く人も増えます。

街の利便性が高まれば、その周辺に住みたい人も増える可能性があります。

再開発は単に新しいビルを建てるだけではありません。

雇用と人口を呼び込み、周辺の住宅需要を高める効果があります。

再開発への期待が不動産価格を先に動かすこともある

さらに投資家は、再開発が完成してから物件を購入するとは限りません。

将来、

企業が増える

人口が流入する

家賃が上がる

不動産価格が上がる

と予想すれば、再開発の途中からマンションを購入します。

すると実際の家賃上昇より先に不動産価格が上昇することがあります。

将来のNOI増加を現在の価格へ織り込むからです。

これは東京だけでなく、成長期待の高い地方中枢都市でも起こります。

東京より高い投資利回りを期待できる場合がある

海外ファンドや国内ファンドが地方中枢都市を見る理由の一つが利回りです。

例えば同程度のマンションでも、東京では取得価格が非常に高くなっています。

NOIが年間3億円、取得価格が100億円ならキャップレートは3%です。

一方、地方中枢都市でNOIが同じ3億円の物件を75億円で取得できれば、キャップレートは4%です。

実際の利回りは物件によって異なりますが、一般的に取得価格が低い地域では東京より高い利回りを期待できる場合があります。

高利回りだけではファンドは買わない

ただし、地方なら利回りが高いから投資対象になるというほど単純ではありません。

利回りが高い背景に、

人口減少

高い空室率

家賃下落

売却の難しさ

などがあれば、それはリスクの高さを反映している可能性があります。

大型ファンドが求めるのは、単なる高利回りではありません。

重要なのは、

賃貸需要が強い

人口流入が期待できる

一定の市場規模がある

将来も売却できる

という条件と利回りのバランスです。

福岡のような地方中枢都市が注目されるのは、この条件を満たしやすいからです。

東京と地方都市を組み合わせる意味がある

大型ファンドは一つの都市だけに投資するとは限りません。

例えば、

東京

大阪

名古屋

福岡

に分散してマンションを保有することがあります。

東京は市場規模が大きく、売買もしやすい一方、物件価格が高く利回りは低くなりやすい傾向があります。

地方中枢都市では市場規模は東京より小さいものの、取得価格を抑えながら比較的高い利回りを得られる可能性があります。

両者を組み合わせることで、ポートフォリオ全体の収益性と安定性のバランスを取ることができます。

数十棟をまとめて買えば地域分散ができる

今回のように50棟、3700戸という規模でマンションを取得する場合、一つの都市だけに集中する必要はありません。

複数都市へ分散すれば、ある地域の住宅市場が悪化しても他地域の収益で補える可能性があります。

例えば東京の家賃上昇が鈍化しても、福岡の家賃が上昇していればポートフォリオ全体のNOIを維持できます。

大型ファンドだからこそ可能になる地域分散です。

家賃上昇がさらに投資マネーを呼ぶ

福岡の家賃上昇が続けば、不動産ファンドにとって魅力が高まります。

例えば年間NOIが3億円だったマンションについて、家賃上昇によってNOIが3億3000万円になったとします。

キャップレート4%なら、

3億円を4%で割る

場合の評価額は75億円です。

NOIが3億3000万円になれば、

3億3000万円を4%で割る

ため82億5000万円になります。

賃料上昇が資産価値の上昇につながります。

すると新しい投資家も福岡市場へ注目します。

投資マネーの流入が価格を押し上げる

投資家が増えれば、マンションの取得競争が起こります。

価格が上昇するとキャップレートは低下します。

それでも将来の家賃上昇が期待できれば、ファンドは購入を続ける場合があります。

この結果、

人口流入

賃貸需要増加

家賃上昇

NOI増加

投資マネー流入

不動産価格上昇

という循環が生まれる可能性があります。

成長する都市では、人の流れと資金の流れが同じ方向へ動くことがあります。

家賃上昇が永遠に続くわけではない

もちろん福岡の家賃が今後も同じペースで上昇し続けるとは限りません。

家賃が所得に対して高くなりすぎれば、入居者はより安い地域へ移動します。

さらにマンション供給が増えれば、需給が緩みます。

再開発による成長期待が不動産価格へ過度に織り込まれれば、投資利回りも低下します。

投資マネーが増えるほど、逆に将来の収益性が低くなることもあります。

地方都市の中でも二極化する

福岡のような地方中枢都市が成長する一方で、人口流出が続く地域では住宅需要が弱くなる可能性があります。

つまり日本の不動産市場では、

東京対地方

という単純な区分だけではなく、

人口と企業が集まる都市

人口が流出する地域

という二極化が重要になります。

地方であっても成長する都市には投資マネーが集まり、住宅価格や家賃が上昇する可能性があります。

反対に人口減少が続く地域では、低価格でも投資家が買わないことがあります。

結論

福岡の家賃が上昇している背景には、単純な物価上昇だけではなく、都市構造の変化があります。

日本全体では人口が減少していても、進学や就職などによって人が地方中枢都市へ集まれば、その都市の住宅需要は増える可能性があります。

特に単身世帯が増えれば、人口以上に住宅戸数への需要が強くなることがあります。

さらに再開発によって企業や商業施設が集まり、街の利便性が高まれば住宅需要は一段と強くなります。

そこへ建築費上昇などによる供給制約が重なれば、家賃には上昇圧力がかかります。

投資家にとっても、福岡のような都市には東京とは違う魅力があります。

東京より高いキャップレートを期待できる一方、人口流入や再開発によって将来の家賃上昇も期待できるからです。

その結果、人口流入が家賃を押し上げ、家賃上昇がNOIを増やし、NOI増加が投資マネーを呼び込むという循環が生まれる可能性があります。

日本の人口が減るから不動産市場も一律に縮小するわけではありません。

これから重要になるのは、日本全体の人口ではなく「人がどの都市へ集まるのか」です。

福岡の家賃上昇は、日本の不動産市場が都市ごとに大きく分かれていく時代を象徴する動きの一つなのです。

参考

日本経済新聞 2026年8月15日朝刊「マンション、海外マネー増勢 カナダファンドが1000億円 資金流入で高値続く」

日本経済新聞 2026年8月15日朝刊「投資ファンド 不動産や企業買収活発に」

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