住宅ローン借り換えの諸費用とは何か 金利が下がっても得とは限らない理由編

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住宅ローンの借り換えを検討するとき、多くの人が最初に比較するのは現在の金利と借り換え後の金利でしょう。しかし、金利が下がるからといって必ず借り換えが得になるわけではありません。住宅ローンを借り換える際には、融資事務手数料や登記関連費用、司法書士報酬など、さまざまな費用が発生するからです。特に借入残高が少ない場合や残り返済期間が短い場合には、利息軽減額より諸費用の方が大きくなることも考えられます。借り換えでは金利だけではなく、諸費用を含めた総負担額を比較することが重要です。

住宅ローンの借り換えにはなぜ費用がかかるのか

住宅ローンの借り換えとは、単に現在の住宅ローンの金利だけを変更する手続きではありません。

基本的には、新しい金融機関から住宅ローンを借り、その資金を使って現在の住宅ローンを一括返済します。

つまり、新しい住宅ローンを契約することになります。

そのため、新規で住宅ローンを借りるときと同じように、さまざまな手続きが必要です。

金融機関による審査や契約だけでなく、現在設定されている抵当権の抹消や、新しい金融機関のための抵当権設定も行います。

こうした手続きに伴って複数の費用が発生します。

借り換えによって減らせる利息が100万円あったとしても、諸費用が70万円かかれば、実質的なメリットは単純計算で30万円程度になります。

借り換えの判断では、この諸費用を無視できません。

融資事務手数料とは何か

借り換えで大きな費用になりやすいものの一つが融資事務手数料です。

金融機関が住宅ローンの融資手続きなどに対して設定している手数料です。

金額の決め方は金融機関や商品によって異なります。

大きく分けると、

一定額を支払う方式

借入金額に一定割合を掛ける方式

などがあります。

例えば借入金額の2%程度に相当する事務手数料が設定されている商品で2000万円を借り換える場合、単純計算では40万円程度になります。

実際には消費税なども含めた条件を確認する必要があります。

金利が非常に低い住宅ローンでも、融資事務手数料が高ければ借り換え効果が小さくなることがあります。

そのため住宅ローン比較では、適用金利と融資事務手数料をセットで見る必要があります。

定額型と定率型では負担が違う

融資事務手数料には、一定額を支払う定額型と、借入金額に応じて支払う定率型があります。

定額型なら、借入額が増えても基本的には事務手数料が一定です。

一方、定率型では借入金額が大きくなるほど手数料も増えます。

例えば手数料率が同じであれば、1000万円を借り換える場合より3000万円を借り換える場合の方が事務手数料は大きくなります。

ただし定額型と定率型では、住宅ローン金利そのものに違いが設定されていることもあります。

定額型は手数料が安い代わりに適用金利がやや高く、定率型は手数料が高い代わりに適用金利が低いといった商品設計も考えられます。

したがって事務手数料だけを比較しても十分ではありません。

返済期間全体の負担で比較することが大切です。

抵当権抹消の費用が必要になる

住宅ローンを借りる際には、金融機関が住宅や土地に抵当権を設定するのが一般的です。

抵当権とは、住宅ローンの返済ができなくなった場合などに、金融機関が担保となっている不動産から優先的に債権を回収するための権利です。

借り換えでは現在の金融機関の住宅ローンを一括返済します。

そこで現在の金融機関の抵当権を抹消する必要があります。

抵当権抹消登記には登録免許税がかかります。

金額だけを見れば借り換え費用全体の中で大きな割合にならないこともありますが、必要な費用の一つです。

また土地と建物など複数の不動産に抵当権が設定されていれば、それぞれを考慮する必要があります。

新しい抵当権の設定費用もかかる

現在の金融機関の抵当権を抹消するだけではありません。

新しい住宅ローンを借りる金融機関のために、新たな抵当権を設定する必要があります。

これが抵当権設定登記です。

抵当権設定登記にも登録免許税がかかります。

抵当権抹消登記と比べると、借入額などとの関係から負担が大きくなる場合があります。

つまり借り換えでは、

古い抵当権を消す

新しい抵当権を設定する

という二つの登記手続きが必要になるわけです。

借り換えを検討するときには、こうした登記関連費用もあらかじめ見込んでおく必要があります。

司法書士報酬とは何か

抵当権の抹消や設定などの登記手続きは、司法書士に依頼するのが一般的です。

そのため登録免許税とは別に司法書士報酬が発生します。

司法書士報酬は一律ではありません。

依頼する司法書士や手続き内容、不動産の状況などによって異なります。

また借り換え先の金融機関が司法書士を指定する場合もあります。

借り換え費用を試算するときには、税金などの公的な費用だけでなく、専門家へ支払う報酬も含める必要があります。

金融機関から借り換え費用の見積もりを受け取った場合には、どこまでの費用が含まれているのか確認することが大切です。

保証料が必要な住宅ローンもある

住宅ローンでは、保証会社を利用する商品があります。

その場合、保証料が必要になることがあります。

保証料の支払い方法には、借入時にまとめて支払う方式や住宅ローン金利に上乗せする方式などがあります。

一方、融資事務手数料を高めに設定する代わりに保証料を不要としている住宅ローンもあります。

そのため、

保証料無料

という表示だけで住宅ローンが安いと判断することはできません。

保証料が無料でも融資事務手数料が高い場合があるからです。

住宅ローンの費用は名称ではなく、最終的にいくら負担するのかを見る必要があります。

現在の住宅ローンで支払った保証料はどうなるのか

現在利用している住宅ローンで保証料を一括して支払っている場合、借り換えによって住宅ローンを予定より早く完済すると、保証料の一部が戻ることがあります。

これを戻し保証料などと呼ぶことがあります。

ただし、当初支払った保証料が単純に残り返済期間に比例して戻ってくるとは限りません。

返戻額の計算方法や手数料などは保証会社や契約内容によって異なります。

また住宅ローンの契約方法によっては、そもそも返戻される保証料がない場合もあります。

借り換えを検討するときには、新しい住宅ローンで必要になる費用だけでなく、現在の住宅ローンを完済することで戻ってくるお金があるかも確認すると、より正確に損得を計算できます。

その他にも費用が発生する

住宅ローンの借り換えでは、融資事務手数料や登記関連費用以外にも費用が発生する場合があります。

契約内容によっては印紙税などを考慮する必要があります。

電子契約を利用することで、紙の契約書とは税務上の取り扱いが異なる場合もあります。

また現在利用している住宅ローンを繰り上げ完済する際に、金融機関によっては手数料が発生することがあります。

団体信用生命保険についても、借り換え先の商品内容によって保障内容や金利上乗せの有無が異なります。

つまり住宅ローンの借り換えでは、単純に二つの金利だけを並べればよいわけではありません。

商品全体を比較する必要があります。

金利が0.3%下がっても必ず得とは限らない

住宅ローンの借り換えでは、現在の金利より借り換え後の金利が0.3%程度低ければメリットが見込めるとの目安が示されることがあります。

しかし、これはすべての人に当てはまる絶対的な基準ではありません。

例えば住宅ローン残高が大きく、残り返済期間が25年ある人なら、年0.3%の金利差が長期間続くため、利息軽減効果が大きくなる可能性があります。

一方、住宅ローン残高が少なく、残り返済期間が5年程度しかなければ、同じ年0.3%の差でも利息軽減効果は限定的です。

それでも借り換えの諸費用は発生します。

そのため金利差だけでなく、

住宅ローン残高

残り返済期間

借り換え諸費用

を合わせて判断する必要があります。

総返済額と諸費用を合わせて比較する

借り換えの損得を判断するときには、現在の住宅ローンをそのまま返済した場合と、借り換えた場合の総負担を比較します。

現在の住宅ローンを継続する場合には、今後支払う元金と利息を確認します。

借り換える場合には、

借り換え後の元金

借り換え後の利息

融資事務手数料

登記関連費用

司法書士報酬

保証料など

を合計します。

さらに現在の住宅ローンを完済することで戻ってくる保証料などがあれば、それも考慮します。

こうして初めて借り換えによる実質的なメリットを比較できます。

低金利の住宅ローンだから得なのではありません。

諸費用を含めても総負担が減る住宅ローンへ借り換えることに意味があります。

10年固定終了前に費用まで試算する

10年固定などの固定期間選択型を利用している人は、固定期間終了後の適用金利が高くなると分かってから慌てて借り換えを始めるのではなく、早めに比較することが重要です。

まず現在の契約で固定期間終了後に適用される金利を確認します。

次に他の金融機関で借り換えた場合の適用金利を調べます。

そして金利差だけではなく、借り換えに必要な諸費用まで見積もります。

借り換えには審査や登記などの手続きもあるため、一定の時間が必要です。

固定期間終了の数カ月前から準備を始めれば、複数の商品を比較しながら判断しやすくなります。

結論

住宅ローンの借り換えでは、金利が下がることだけを見て判断してはいけません。

新しい住宅ローンを契約するための融資事務手数料、現在の抵当権を消すための費用、新しい抵当権を設定する費用、司法書士報酬、保証料など、さまざまな費用が発生します。

特に融資事務手数料は借入金額に一定割合を掛けて計算する商品もあり、借り換え費用の中で大きな負担になることがあります。

一方、現在の住宅ローンで保証料を一括払いしていれば、繰り上げ完済によって一部が戻る場合もあります。

借り換えで重要なのは、現在の金利と新しい金利の差ではありません。

現在の住宅ローンをそのまま返済した場合の総負担と、借り換え後の返済額にすべての諸費用を加えた総負担を比較することです。

住宅ローンは数千万円単位になることもある長期の金融商品です。

わずかな金利差に目を奪われるのではなく、諸費用まで含めて最終的にいくら負担するのかを見ることが、借り換えで失敗しないための基本となります。

参考

日本経済新聞 2026年8月8日朝刊 住宅ローン「10年固定」のワナ 想定外の高金利が適用

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