スマートフォンで友人へ送金したり、ネットショップから返金を受けたりすることが当たり前の時代になりました。以前であれば、お金を送るサービスといえば銀行振込が中心でしたが、現在では銀行口座を使わずに送金できるサービスが数多く登場しています。
こうしたサービスを支えているのが「資金移動業」です。
今回の免税制度改革でも、訪日外国人への消費税の返金をスムーズに行うため、資金移動業者が重要な役割を担うことになります。
今回は、資金移動業とはどのような制度なのか、その役割と今後の可能性について解説します。
資金移動業とは
資金移動業とは、銀行以外の事業者がお金を送金できるようにする制度です。
日本では資金決済に関する法律に基づき、一定の条件を満たした事業者が金融庁への登録を受けることで、送金サービスを提供できます。
利用者は銀行へ行かなくても、スマートフォンやパソコンを使って簡単に送金や受け取りができるようになりました。
キャッシュレス社会の拡大を支える重要な制度の一つとなっています。
銀行との違いは何か
銀行も資金移動業者も、お金を送るという点では同じように見えます。
しかし、その役割には違いがあります。
銀行は預金を受け入れ、融資を行い、為替取引など幅広い金融サービスを提供します。
一方、資金移動業者は、送金や決済を専門とする事業者です。
つまり、お金を「預かって増やす」のではなく、「安全かつ迅速に移動させる」ことが主な役割です。
この役割分担によって、多様な決済サービスが生まれています。
身近なサービスにも利用されている
資金移動業は、私たちの生活のさまざまな場面で利用されています。
例えば、
・QRコード決済へのチャージ
・個人間送金
・ネット通販の返金
・電子マネーへの入金
・給与のデジタル払いへの対応
などがあります。
普段は意識しなくても、多くのキャッシュレスサービスの裏側では資金移動業者が送金を支えています。
近年では利用機会が急速に増えています。
免税制度でも重要な役割を担う
新しい免税制度では、外国人旅行者が税込価格で商品を購入し、出国時に消費税分の返金を受けます。
この返金を迅速に行うためには、安全な送金システムが欠かせません。
旅行者が利用しているクレジットカードや電子決済サービスへ返金する場合、資金移動業者がその仕組みを支えることになります。
制度の円滑な運営には、送金インフラの整備が重要な要素となります。
安全性はどのように確保されているのか
銀行以外がお金を扱うことに不安を感じる人もいるかもしれません。
そのため、資金移動業者には厳しいルールが設けられています。
例えば、
利用者資金の適切な管理
本人確認の実施
不正送金対策
マネー・ローンダリング防止
システムの安全管理
など、さまざまな義務があります。
利用者が安心してサービスを利用できるよう、監督体制も整えられています。
競争が新しいサービスを生み出す
資金移動業への参入が進んだことで、多くの企業が独自のサービスを提供するようになりました。
決済会社
通信会社
IT企業
EC事業者
フィンテック企業
など、さまざまな業種が送金サービスへ参入しています。
競争が活発になることで、
送金スピードの向上
手数料の低下
利便性の向上
新しいサービスの開発
が進み、利用者にもメリットが生まれています。
今後さらに利用範囲は広がる
資金移動業の活用は、免税制度だけに限りません。
行政からの給付金
保険金の支払い
企業間送金
海外送金
シェアリングサービスの精算
フリマアプリの売上金管理
など、多くの分野へ広がっています。
今後はデジタル通貨やAIを活用した本人確認などとも連携し、お金の移動はさらに便利で安全になっていくでしょう。
結論
資金移動業は、「銀行以外がお金を送る」という新しい金融インフラとして、キャッシュレス社会を支える重要な存在になっています。
今回の免税制度改革でも、外国人旅行者への返金をスムーズに行うために欠かせない役割を果たします。
これからは、お金を預ける場所だけでなく、お金を「どのように動かすか」が社会の利便性を左右する時代です。
資金移動業の発展は、私たちの日常生活だけでなく、観光や小売、行政サービスまで幅広い分野を支える基盤として、今後ますます重要になっていくでしょう。
参考
日本経済新聞 2026年7月27日 朝刊
ソフトバンク系、免税対応を一括代行 訪日客にキャッシュレス返金 2500社に