固定資産税評価を争うポイントとは何か 実務と判例編

税理士
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固定資産税は毎年課税される身近な税金ですが、その税額の基礎となる固定資産税評価額について、「本当に適正なのだろうか」と疑問を持つ納税者は少なくありません。

もっとも、「近隣より高い気がする」「市場価格より高い」といった理由だけで評価額が見直されるわけではありません。

固定資産税評価を争う場合には、地方税法や固定資産評価基準に照らして、評価手続や評価方法に違法があることを具体的に示す必要があります。

今回の講義資料では、固定資産税評価をめぐる裁判例を通じて、裁判所がどのような視点で評価の適法性を判断しているのかが紹介されています。

評価額に不満があるだけでは争えない

固定資産税評価を争う際に最も重要なのは、

「評価額が高いと思う」

という主観だけでは足りないということです。

例えば、

  • 市場価格より高い気がする
  • 近所の土地より税額が高い
  • 地価が下がっているのに評価額が変わらない

といった事情だけでは、違法とは認められません。

裁判所が問題とするのは、

評価基準どおりに評価されたかどうか

です。

固定資産評価基準が重要になる

地方税法では、

固定資産税評価は総務大臣が定める固定資産評価基準によって行うこととされています。

つまり、

評価担当者が自由な判断で価格を決めることはできません。

評価基準には、

  • 宅地評価
  • 家屋評価
  • 補正方法
  • 路線価の適用方法
  • 地積や形状の補正

などが細かく定められています。

争いになるのは、

この基準どおりに評価されたかどうかです。

裁判所は市場価格を決めるわけではない

固定資産税評価訴訟では、

裁判所が

「この土地は○○円が適正価格だ」

と独自に価格を決めることはありません。

裁判所が審査するのは、

  • 地方税法に適合しているか
  • 評価基準どおりに評価されているか
  • 必要な補正を見落としていないか
  • 評価手続に違法がないか

という点です。

つまり、

市場価格ではなく、

評価制度そのものが適正に運用されたかが審査対象になります。

補正の適用漏れは重要な争点になる

土地評価では、

すべての土地を同じ方法で評価するわけではありません。

例えば、

  • 不整形地
  • 奥行きが長い土地
  • 間口が狭い土地
  • 高低差のある土地
  • がけ地を含む土地

などでは、

評価基準に従って補正が行われます。

もし、

本来適用されるべき補正が適用されていなければ、

評価額が高く算定されることになります。

実務でも、

補正の適用漏れは重要な確認事項の一つです。

手続の誤りも争点になる

評価額だけではなく、

評価手続そのものが争われることもあります。

例えば、

  • 必要な調査が行われていない
  • 評価資料が誤っている
  • 評価替えが適切に実施されていない

などです。

税務では、

結果だけでなく、

その判断過程も重要になります。

固定資産税評価も同様であり、

適正な手続によって評価されたかどうかが問題になります。

不服申立てには順序がある

固定資産税評価に不満がある場合でも、

いきなり裁判を起こすことはできません。

まず、

固定資産評価審査委員会へ審査の申出を行います。

この制度は、

専門的な評価内容を行政内部で審査する仕組みです。

その判断に不服がある場合に、

行政訴訟によって裁判所の判断を求めることになります。

この流れを理解しておくことは実務上重要です。

税理士が確認すべきポイント

固定資産税評価について相談を受けた場合には、

次の事項を確認することが重要です。

  • 固定資産評価額
  • 評価替え年度
  • 路線価の適用状況
  • 各種補正の適用状況
  • 固定資産評価基準との整合性
  • 固定資産評価審査委員会への申出期限

評価額だけを見るのではなく、

評価の根拠となった資料まで確認することが望まれます。

他の税目にも影響する

固定資産税評価額は、

固定資産税だけの問題ではありません。

この評価額は、

  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 一部の相続税評価

などにも影響する場合があります。

そのため、

評価の適否は長期的な税負担にも関わる重要な問題です。

税理士には、

一つの税目だけではなく、

関連する税制全体を見渡した助言が求められます。

結論

固定資産税評価を争う場合には、「評価額が高い」という印象だけでは足りません。地方税法や固定資産評価基準に照らして、評価方法や手続に具体的な誤りがあることを示す必要があります。

裁判所も市場価格そのものを判断するのではなく、評価基準に基づいて適正な評価が行われたかという観点から審査しています。

固定資産税評価は複数の税目にも影響する重要な制度です。税理士には、評価基準の内容を正しく理解し、制度全体を踏まえた専門的な助言を行うことが期待されています。

参考

近畿税理士会研修会(周辺専門講座)

「地方税をめぐる最近の動向等―注目すべき裁判例の検討を中心に―」

講師 和歌山大学経済学部教授 片山直子先生

地方税法

固定資産評価基準

固定資産税評価に関する講義資料

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