固定資産はなぜ一度に経費にならないのか 減価償却編

税理士
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NPO法人でもパソコンや車両、事務機器などを購入することがあります。

その際によく受ける質問があります。

「100万円で車を買ったのだから、100万円全部を今年の経費にしてよいのではないですか」

というものです。

確かにお金は一度に支払っています。

しかし会計上は必ずしもそうなりません。

一定金額以上の資産については「固定資産」として計上し、複数年にわたって費用化していくことになります。

今回はNPO法人会計でも重要な減価償却について解説します。

固定資産とは何か

固定資産とは、長期間にわたって使用する資産のことです。

例えば、

パソコン

コピー機

自動車

事務所設備

建物

などがあります。

これらは購入した年だけでなく、その後何年にもわたって利用されます。

そのため会計上は一度に経費にするのではなく、資産として管理することになります。

なぜ一度に経費にしないのか

例えば100万円の車を購入したとします。

もし購入年度に100万円全額を経費にしてしまうと、その年だけ大きな赤字になるかもしれません。

しかし車は翌年以降も利用できます。

実際には複数年にわたって活動に貢献しているのです。

そこで会計では、

利用する期間に応じて費用化する

という考え方を採用しています。

これが減価償却です。

減価償却とは何か

減価償却とは、固定資産の取得価額を耐用年数にわたって費用配分する手続きです。

例えば、

100万円の車

耐用年数5年

であれば、

毎年20万円ずつ

費用として計上していきます。

これにより、その資産が生み出す価値と費用を対応させることができます。

活動計算書と貸借対照表への影響

固定資産を購入したときは、活動計算書には全額費用としては現れません。

貸借対照表の資産として計上されます。

そして毎年の減価償却費だけが活動計算書に計上されます。

例えば、

購入時
貸借対照表に100万円計上

1年後
減価償却費20万円計上

貸借対照表残高80万円

という流れになります。

活動計算書と貸借対照表の関係を理解する上で重要な論点です。

NPO法人でも減価償却は必要

時々、

「NPO法人は利益追求組織ではないから減価償却は不要ではないか」

という声を聞きます。

しかしそうではありません。

NPO法人でも財務状況を正しく表示する必要があります。

もし減価償却を行わなければ、

資産が実態以上に大きく見える

年度ごとの費用比較ができない

という問題が生じます。

そのためNPO法人でも減価償却は重要です。

少額資産との違い

すべての資産が固定資産になるわけではありません。

例えば、

文房具

小型備品

消耗品

などは通常その年の費用として処理します。

一方で高額な設備や車両は固定資産として処理します。

どこまでを固定資産にするかは会計方針や重要性によって判断されます。

寄付で受け取った資産はどうなるか

NPO法人では寄付によって資産を受け取ることがあります。

例えば、

パソコンの寄贈

車両の寄贈

事務機器の寄贈

などです。

この場合も資産として計上し、その後は通常の固定資産と同様に減価償却を行います。

現金で購入した場合と考え方は変わりません。

固定資産の管理は信頼につながる

NPO法人では寄付金や助成金によって設備を購入することがあります。

そのため、

何を購入したのか

今も利用しているのか

適切に管理されているのか

が重要になります。

固定資産台帳を整備し、適正に減価償却を行うことは、社会からの信頼にもつながります。

税理士の役割

減価償却は単なる計算業務ではありません。

資産計上するのか

費用処理するのか

耐用年数は適切か

管理方法は適切か

など、多くの判断が必要です。

税理士は会計処理だけでなく、財務諸表の適正性を確保する役割も担っています。

人生100年時代と設備投資

今後は高齢者支援や地域支援を行うNPO法人が増えていくでしょう。

その中で、

送迎車両

ICT設備

オンライン配信設備

福祉機器

などへの投資も増えると考えられます。

固定資産の管理能力は、NPO法人の持続的な成長を支える基盤になっていくはずです。

結論

固定資産は長期間利用する資産であるため、購入時に全額を経費にするのではなく、耐用年数に応じて費用配分します。

これが減価償却の考え方です。

NPO法人であっても適正な減価償却を行うことで、活動計算書や貸借対照表の信頼性が高まります。

固定資産管理は単なる会計処理ではなく、寄付者や助成団体に対する説明責任の一部でもあります。

NPO法人の健全な運営には、適切な固定資産管理と減価償却が欠かせないのです。

参考

東京税理士会目黒支部

「NPO法人の会計について」 税理士 脇坂誠也

補助資料「NPO法人の会計について」

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