会社では毎月試算表が作成されます。
しかし、その試算表を十分に活用している企業は決して多くありません。
「税理士から毎月受け取っている。」
「数字は見ているが、よく分からない。」
そんな状況では、試算表は単なる報告書で終わってしまいます。
本来、試算表は会社の健康状態を映し出す健康診断書です。
毎月の数字を正しく読み取り、早めに異常へ気付くことで、経営は大きく変わります。
今回は、試算表の本当の役割について考えてみます。
試算表は会社の現在地を教えてくれる
経営では、「今、会社がどのような状態なのか」を把握することが欠かせません。
試算表には、
売上
売上原価
粗利益
販売費及び一般管理費
営業利益
現預金
借入金
など、経営判断に必要な情報が数多く含まれています。
これらの数字を見ることで、会社の現在地を客観的に把握できます。
地図を見ずに目的地へ向かえないように、試算表を見ずに経営判断を行うことは非常に危険です。
数字の変化には必ず理由がある
試算表は、数字そのものを見るだけでは十分ではありません。
先月より売上が減った。
利益率が下がった。
人件費が増えた。
在庫が増えている。
このような変化には、必ず原因があります。
重要なのは、「何が起きたのか」ではなく、「なぜそうなったのか」を考えることです。
数字の背景を分析することで、改善すべき課題が見えてきます。
毎月確認するから早く手を打てる
健康診断を一年に一度しか受けなければ、病気の発見が遅れることがあります。
経営も同じです。
決算書だけで経営を振り返る頃には、問題が何か月も前から続いているケースも少なくありません。
だからこそ、毎月試算表を確認することが重要です。
売上の減少
利益率の悪化
固定費の増加
資金繰りの悪化
こうした変化へ早く気付き、早く対策を講じることができます。
月次決算は、経営のスピードを高める仕組みでもあります。
前月比較と予算比較が経営を強くする
試算表を見るときには、
前月との比較
前年同月との比較
予算との比較
この三つの視点が欠かせません。
例えば、利益が前年より増えていても、予算を大きく下回っている場合には改善が必要かもしれません。
逆に、売上が前年より減少していても、利益率が改善していれば経営内容は良くなっていることもあります。
数字は一つだけを見るのではなく、比較することで初めて意味を持ちます。
試算表は未来を考える資料である
試算表は、過去を記録するためだけの資料ではありません。
例えば、
この利益率なら年間利益はいくらになるか。
設備投資を行っても資金繰りは問題ないか。
採用を増やしても利益は確保できるか。
こうした将来の経営判断にも活用できます。
試算表は、未来を予測し、経営計画を修正するための重要な資料なのです。
税理士は試算表を経営改善へつなげる役割を担う
税理士は試算表を説明するだけではなく、数字から経営課題を読み取り、改善策を提案する役割が求められます。
例えば、
利益率が低下した理由
固定費が増加した原因
資金繰りへの影響
今後必要となる改善策
こうした内容を経営者と一緒に考えることで、試算表は単なる会計資料ではなく、経営改善のためのツールになります。
数字を未来へ活かすことが、これからの税理士に期待される役割といえるでしょう。
結論
試算表は、会社の健康状態を毎月確認するための健康診断書です。
数字を眺めるだけではなく、その変化の理由を分析し、次の行動へつなげることで、試算表は経営改善の強力な武器になります。
経営環境が変化の激しい時代だからこそ、月次決算を通じて会社の状態を早く把握し、素早く行動することが重要です。
試算表を「過去の記録」ではなく、「未来をつくる経営資料」として活用できる会社ほど、持続的な成長を実現できるでしょう。
参考
企業実務 2026年7月号
猫と学ぶ「経理力」の磨き方 第7話 予算、つくったはええけど誰も見てへんやん