終活で最初に考えるべきは財産より自宅なのか 住まい整理編

FP
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終活という言葉を聞くと、多くの人は預貯金や相続財産の整理を思い浮かべます。

遺言書を作ることや、相続税対策を考えることも重要です。しかし人生後半戦において、本当に最初に考えるべきものは何でしょうか。

私は、それは財産そのものではなく「自宅」ではないかと思います。

なぜなら、自宅は単なる不動産ではなく、介護、相続、認知症、家族関係、老後資金など、人生後半のほぼすべての課題と結び付いているからです。

実際に空き家問題や相続トラブルの多くは、お金の問題ではなく、自宅の扱いを決めないまま時間が過ぎてしまうことから始まっています。

終活の第一歩は財産目録づくりではなく、自宅の未来を考えることなのかもしれません。

自宅は人生最大の資産である

多くの家庭にとって、自宅は最大の資産です。

預金は使えば減りますが、自宅は何十年も所有し続けることが一般的です。

住宅ローンを完済した後も、自宅には大きな価値があります。

しかし不思議なことに、多くの人は金融資産の運用には関心を持ちながら、自宅の将来についてはほとんど考えません。

このまま住み続けるのか。

将来売却するのか。

子どもが住む予定はあるのか。

施設に入居したらどうするのか。

こうした重要なテーマが話し合われないままになっています。

その結果、人生後半になって問題が表面化するのです。

相続財産の中で最も扱いが難しいもの

預金であれば相続人で分けることは比較的簡単です。

しかし自宅は違います。

一つしかない不動産を複数の相続人で共有すると、売却にも活用にも全員の調整が必要になります。

兄弟姉妹の意見が一致しなければ話は進みません。

「思い出があるから残したい」

「固定資産税だけ払ってほしい」

「早く売却したい」

こうした考え方の違いが対立を生みます。

実際の相続トラブルでは、金融資産よりも不動産が原因になることが少なくありません。

だからこそ終活では、自宅をどうするのかを元気なうちに決めておく必要があります。

認知症が住まいの問題を複雑にする

人生100年時代において避けて通れないのが認知症リスクです。

認知症になると、不動産の売却や賃貸契約など重要な法律行為が難しくなります。

本人のために売却したくても、判断能力がなければ自由に処分できません。

成年後見制度を利用する方法もありますが、柔軟な資産活用には限界があります。

つまり、自宅に関する意思決定には期限があるのです。

元気なうちは当たり前にできていた判断も、ある日突然できなくなる可能性があります。

終活とは死後の準備ではなく、判断能力があるうちの準備なのです。

施設入居後の空き家が増えている

近年増えているのが、高齢者施設への入居後に放置される住宅です。

本人は施設で生活している。

家族も住む予定がない。

しかし売却の決断ができない。

その結果、何年も空き家のまま放置されます。

郵便物だけがたまり、庭木が伸び、建物は老朽化していきます。

固定資産税や修繕費だけが発生し続けます。

そして相続が発生すると、問題は次世代へ引き継がれます。

空き家問題の多くは、実はこの段階から始まっています。

終活において自宅を考えることは、将来の空き家予防でもあるのです。

家族会議が最大の空き家対策

終活で最も大切なのは家族との対話です。

自宅をどうしたいのか。

誰が管理するのか。

将来売却するのか。

住み続けるのか。

こうした考えを家族が共有しているだけで、多くの問題は未然に防げます。

ところが日本では相続や終活の話題を避ける傾向があります。

縁起が悪い。

まだ元気だから。

今は考えたくない。

こうした理由で話し合いが先送りされます。

しかし、話し合いをしなかった結果として起こるトラブルの方がはるかに大きいのです。

人生後半戦は住まいの出口戦略を考える時代

現役時代は住宅を取得することが大きな目標でした。

しかし人生後半戦では視点を変える必要があります。

重要なのは取得ではなく出口戦略です。

最後まで住み続けるのか。

住み替えるのか。

売却して老後資金に充てるのか。

子どもへ引き継ぐのか。

その選択によって老後の生活設計は大きく変わります。

これからの終活は財産整理だけではありません。

住まいの整理が中心課題になっていくでしょう。

結論

終活というと遺言書や相続税対策に目が向きがちですが、本当に最初に考えるべきなのは自宅の将来かもしれません。

自宅は介護、認知症、相続、老後資金、家族関係など人生後半のあらゆる課題とつながっています。

自宅の方針が決まれば、多くの終活課題は自然に整理されていきます。

反対に、自宅の扱いを決めないままでは、空き家問題や相続トラブルが次世代へ引き継がれる可能性があります。

人生100年時代の終活とは、「何を残すか」を考える前に、「自宅をどうするか」を考えることから始まるのではないでしょうか。

参考

・日本経済新聞 2026年6月10日朝刊 私見卓見「空き家を生まない政策へ転換を」

・総務省統計局 住宅・土地統計調査

・国土交通省 空き家対策関連資料

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