純支払賃借料の計算で見落としやすい項目とは何か 賃借料編

税理士
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外形標準課税の付加価値割を計算する際、報酬給与額や純支払利子に比べて見落とされやすいのが「純支払賃借料」です。

多くの企業で地代家賃は発生していますが、会計上の賃借料をそのまま集計すればよいわけではありません。

更新料や借上社宅、受取家賃など、調整しなければならない項目が数多く存在します。

税務調査でも計算誤りが見つかりやすい分野の一つです。

今回は純支払賃借料の仕組みと実務上の注意点について解説します。

純支払賃借料とは何か

純支払賃借料とは、企業が支払った賃借料から受け取った賃借料を差し引いた金額です。

考え方は純支払利子とよく似ています。

企業は建物や土地を借りることがあります。

一方で、自社が借りた物件を他人へ転貸したり、社宅使用料を受け取ったりすることもあります。

そこで制度上は、

支払賃借料

マイナス

受取賃借料

という考え方によって実質的な負担額を算定します。

なぜ賃借料が課税対象になるのか

外形標準課税は事業規模に応じて課税する制度です。

企業活動には場所が必要です。

本社

営業所

工場

倉庫

店舗

これらを利用するためには地代や家賃が発生します。

つまり賃借料は企業が事業活動を行うために必要な経営資源の利用コストといえます。

人件費が「人」の利用コストなら、賃借料は「場所」の利用コストです。

そのため付加価値額の構成要素として扱われているのです。

支払賃借料に含まれるもの

講義資料の事例では、

本社賃借料

営業所賃借料

工場地代

借上社宅家賃

などが支払賃借料として登場しています。

企業によっては店舗家賃や駐車場使用料なども含まれることがあります。

重要なのは勘定科目の名称ではありません。

実質的に土地や建物などの使用対価であるかどうかです。

実務では総勘定元帳の内容まで確認する必要があります。

更新料はなぜ除外されるのか

講義資料では、本社建物の更新料100万円が支払賃借料から除外されています。

更新料は賃貸借契約を継続するために支払う一時金です。

毎月発生する使用対価とは性格が異なります。

そのため外形標準課税では、通常の賃借料とは区別して取り扱われます。

会計上は地代家賃として処理されていても、そのまま集計してはいけない代表的な項目です。

借上社宅は意外な落とし穴

企業が従業員のために借上社宅を用意しているケースは少なくありません。

講義資料でも借上社宅家賃996万円が登場しています。

借上社宅も企業が支払う賃借料であるため、支払賃借料に含まれます。

しかしここで終わりではありません。

従業員から社宅使用料を受け取っている場合には、その金額を控除する必要があります。

この処理を忘れると純支払賃借料を過大に計算してしまいます。

受取賃借料を忘れてはいけない

講義資料では、従業員から受け取った社宅家賃240万円が受取賃借料として計上されています。

純支払利子の計算で受取利子を控除したのと同じ考え方です。

企業が実際に負担した賃借料を把握するためには、受け取った金額を差し引かなければなりません。

税務調査では受取賃借料の見落としもよく確認されます。

特に社宅制度を採用している企業では注意が必要です。

講義資料の計算例

講義資料では、

支払賃借料8,145万6,000円

受取賃借料240万円

となっています。

その結果、

8,145万6,000円-240万円

=7,905万6,000円

が純支払賃借料として計算されています。

この金額が付加価値額の計算に組み込まれることになります。

税理士が確認すべき実務ポイント

純支払賃借料の計算では次の項目を確認する必要があります。

更新料は含まれていないか

借上社宅はあるか

社宅使用料を受け取っていないか

転貸収入はないか

地代家賃以外の勘定科目に計上されていないか

決算書だけを見ていると見落としやすい項目ばかりです。

実務では契約書や補助元帳の確認も重要になります。

外形標準課税が見ている事業基盤

純支払賃借料から分かることがあります。

外形標準課税は利益ではなく事業基盤を見ているということです。

企業は人を雇い、資金を調達し、場所を確保して事業を行います。

報酬給与額が「人」

純支払利子が「資金」

純支払賃借料が「場所」

を表しているのです。

ここまで理解すると、付加価値割の全体像が見えてきます。

結論

純支払賃借料は支払賃借料から受取賃借料を差し引いて計算します。

更新料や借上社宅、社宅使用料など実務上の論点が多く、計算誤りが起こりやすい項目です。

外形標準課税では企業が利用する事業基盤の規模を把握するために賃借料も課税対象となっています。

税理士には勘定科目だけでなく契約内容まで確認する姿勢が求められます。

次回は、いよいよ報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料を合算して計算する「付加価値額」の全体構造について解説します。

参考

近畿税理士会「税法実務講座(法人税)事業税の外形標準課税対象法人の申告の基礎③ 外形標準課税対象法人の申告書作成の基礎」

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