暗号資産の売買に消費税はかかるのか 非課税取引の仕組みを整理する編

税理士
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ビットコインなどの暗号資産を売却して利益が出れば、所得税や法人税の問題が生じます。

では、暗号資産を100万円で購入して120万円で売却した場合、120万円の売却代金に消費税はかかるのでしょうか。

現在の消費税制度では、暗号資産の譲渡は原則として非課税取引です。

そのため、暗号資産を売却したからといって、通常の商品販売のように売却代金へ消費税を上乗せするわけではありません。

令和8年度税制改正では暗号資産の消費税上の位置付けにも変更がありますが、暗号資産の譲渡が非課税であるという基本的な取扱いは維持されます。

消費税には課税取引と非課税取引がある

国内で事業者が対価を得て商品やサービスを提供すれば、原則として消費税の課税対象になります。

しかし、すべての取引に消費税がかかるわけではありません。

消費税の性格になじまない取引や、社会政策的な配慮が必要な取引などについては、法律によって非課税とされています。

例えば、一定の土地の譲渡や貸付け、住宅の貸付け、預金の利子などには消費税が課税されません。

暗号資産の譲渡も、消費税法上の非課税取引として扱われています。

暗号資産を売却しても消費税は上乗せしない

例えば、事業者が保有する暗号資産を100万円で売却したとします。

通常の商品を100万円で販売するのであれば、課税取引に該当する限り消費税を考える必要があります。

しかし、暗号資産の譲渡は非課税取引です。

そのため、暗号資産の売却価格について通常の商品販売のように消費税を計算して納付する仕組みにはなりません。

売却によって利益が出ているかどうかと、消費税が課税されるかどうかは別の問題です。

利益が出れば所得税などの問題は残る

消費税が非課税だから、暗号資産の売却に税金がかからないという意味ではありません。

例えば、100万円で取得した暗号資産を120万円で売却すれば、20万円の利益が生じます。

個人であれば、その利益について所得税などの課税関係を検討する必要があります。

法人が保有する暗号資産を売却した場合には、法人税の計算にも影響します。

消費税が非課税であることと、所得に対する税金が課税されることは分けて考える必要があります。

暗号資産同士の交換にも注意する

暗号資産の取引は、日本円へ売却する場合だけではありません。

ある暗号資産を別の暗号資産へ交換することもあります。

例えば、ビットコインを売却して、その対価として別の暗号資産を取得するケースです。

現金を受け取っていなくても、税務上は資産を譲渡した取引として扱われることがあります。

したがって、消費税が非課税だから取引記録を残さなくてもよいわけではありません。

取得価額や交換時の価額などを把握できるようにしておくことが重要です。

商品を暗号資産で購入した場合は別に考える

暗号資産そのものの譲渡が非課税であることと、暗号資産を使って商品やサービスを購入することは区別する必要があります。

例えば、事業者から課税対象の商品を購入し、その代金を暗号資産で支払ったとします。

支払手段が日本円ではなく暗号資産であっても、商品の販売自体が課税取引であれば、その商品販売には消費税がかかります。

暗号資産を利用したから商品販売まで非課税になるわけではありません。

何を売買した取引なのかを分けて考えることが重要です。

令和8年度改正で位置付けが変わる

令和8年度税制改正では、暗号資産の消費税上の位置付けが見直されます。

これまで暗号資産の譲渡は、支払手段に近い資産として非課税の取扱いが設けられてきました。

改正後は、暗号資産を有価証券などに近い金融資産として捉える方向へ整理されます。

ただし、位置付けが変わるからといって、暗号資産の譲渡そのものが直ちに消費税の課税取引になるわけではありません。

譲渡が非課税であるという結論は維持されます。

重要なのは課税売上割合への影響

暗号資産の譲渡が非課税であることは変わりませんが、令和8年度改正では課税売上割合の計算方法が変わります。

課税売上割合は、事業者が仕入税額控除を計算するときに重要になる割合です。

現行制度では、暗号資産の譲渡について一定の場合に課税売上割合の分母と分子から除外する取扱いがあります。

改正後は、暗号資産の譲渡対価の5%を課税売上割合の分母へ算入する仕組みになります。

暗号資産を大量に売買する事業者にとっては、暗号資産の売却自体に消費税がかからなくても、仕入税額控除を通じて消費税額へ影響する可能性があります。

非課税だから消費税と無関係ではない

暗号資産の譲渡は非課税なので、売却時に消費税を直接納めることはありません。

しかし、事業者の消費税計算全体から見れば、必ずしも無関係ではありません。

課税売上割合が変化すると、事業者が支払った消費税のうち、どこまで仕入税額控除できるのかに影響する場合があります。

特に暗号資産取引の金額が大きい事業者では、この間接的な影響を確認する必要があります。

単に非課税取引だから消費税の検討は終わりと考えないことが重要です。

結論

暗号資産の譲渡は、消費税では原則として非課税取引です。

そのため、ビットコインなどの暗号資産を売却しても、通常の商品販売のように売却代金へ消費税を上乗せする仕組みにはなりません。

ただし、売却によって利益が生じれば、所得税や法人税など別の税金の問題が生じます。

また、暗号資産を使って商品やサービスを購入した場合には、その商品やサービス自体の消費税を別に判定する必要があります。

令和8年度税制改正後も暗号資産の譲渡が非課税であるという基本的な取扱いは維持されますが、課税売上割合の計算方法は変わります。

暗号資産の消費税を理解するときには、売却そのものに消費税がかかるかという問題と、事業者全体の仕入税額控除へどのような影響を与えるかという問題を分けて考えることが重要です。

参考

税のしるべ 2026年9月7日 令和8年・役に立つ消費税実務問答集

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