夏でも涼しいゴルフ場はなぜ人気になるのか 猛暑がゴルフ会員権の価値を変える仕組み編

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ゴルフ会員権の価値を決める要素というと、コースの質やブランド、都心からのアクセスなどを思い浮かべる人が多いでしょう。

しかし近年、別の要素が重要になっています。

夏の暑さです。

2026年7月のゴルフ会員権市場では、都心に近い神奈川県の名門コースだけでなく、都心より気温が低く比較的快適にプレーできる山梨県や静岡県のコースにも人気が集まりました。

ゴルフは屋外で長時間プレーするスポーツです。

気温が上昇すれば、単に暑くて不快になるだけではありません。

プレーできる時間や季節そのものに影響します。

その結果、標高が高く夏でも比較的涼しいゴルフ場には、新しい価値が生まれます。

これまでゴルフ場の価値を左右してきた都心からの距離に加えて、夏の気温も重要な条件になりつつあるのです。

今回は、猛暑によってゴルフ場選びとゴルフ会員権の価値がどのように変わるのかを見ていきます。

ゴルフは暑さの影響を受けやすい

ゴルフは天候の影響を受けやすいスポーツです。

屋内スポーツなら空調設備によって温度をある程度調整できます。

しかしゴルフ場ではそうはいきません。

18ホールを回る場合、長時間屋外にいることになります。

さらにコースには日陰が少ない場所もあります。

夏場には強い日差しを受けながら移動し、ショットを繰り返します。

そのため気温が数度違うだけでも、体感的な負担が変わる可能性があります。

これまで夏も普通にプレーしていた人が、

真夏だけはゴルフを控えよう

と考えるようになれば、ゴルフ場にとって夏場の利用需要が減ってしまいます。

標高が高いとなぜ涼しくなるのか

一般に標高が高くなるほど気温は低くなる傾向があります。

そのため山間部や高原にあるゴルフ場では、都市部より夏の気温が低くなることがあります。

例えば東京都心が非常に暑い日でも、高原にあるゴルフ場では数度低いということがあります。

数度の違いは小さく見えるかもしれません。

しかし長時間屋外でプレーするゴルフでは、その差が快適性に影響します。

同じ真夏のゴルフでも、

都市部に近い低地のコース

標高の高い高原のコース

ではプレー環境が違ってくるのです。

涼しさそのものが利用価値になる

ゴルフ会員権には利用価値があります。

会員として実際にゴルフ場を使えることが価値の中心です。

したがって、そのゴルフ場を年間どれだけ快適に利用できるかは重要です。

例えばAゴルフ場とBゴルフ場があるとします。

Aゴルフ場は春と秋には快適ですが、7月と8月は暑さが厳しく、ほとんど利用しないとします。

Bゴルフ場は標高が高く、夏場も比較的利用しやすいとします。

年間を通じた利用可能性では、Bゴルフ場の方が高くなるかもしれません。

会員権価格が同じなら、より長い期間利用できる方に魅力を感じる人が出てきます。

つまり涼しいという特徴そのものが、会員権の利用価値を高めるのです。

山梨県や静岡県のコースが注目される理由

今回の記事では、山梨県や静岡県のコースの人気が上がっているとされています。

両県には標高の高い地域や高原地域に立地するゴルフ場があります。

首都圏から自動車で利用できる範囲にありながら、都心より比較的涼しい環境を選べることが強みになります。

これは従来のゴルフ場選びでは少し不利に見えた条件を変える可能性があります。

都心から多少距離があるゴルフ場は、移動時間という点では都心近郊のゴルフ場に負けます。

しかし真夏には、

多少遠くても涼しい方がよい

という利用者が増える可能性があります。

距離という弱点を気候という強みが補う構造です。

都心からの近さだけでは決まらなくなる

従来、首都圏のゴルフ会員権では都心からのアクセスが大きな価値を持ってきました。

片道1時間のゴルフ場と片道2時間のゴルフ場なら、頻繁に利用する人ほど1時間の差を重視します。

ところが猛暑が厳しくなると、新しい比較が必要になります。

例えば、

Aゴルフ場は片道1時間だが真夏は非常に暑い

Bゴルフ場は片道1時間30分だが標高が高く比較的涼しい

という場合です。

春や秋ならAゴルフ場が便利です。

しかし7月や8月にはBゴルフ場を選びたいという人もいるでしょう。

するとゴルフ場の価値は、

近いか遠いか

だけでは説明できなくなります。

移動時間と気候の両方を考える必要が出てきます。

夏に使えない会員権は年間利用回数が減る

例えば年間30回ゴルフをする人がいるとします。

春に10回

夏に8回

秋に10回

冬に2回

プレーするとします。

ところが猛暑によって夏の8回をすべて取りやめれば、年間利用回数は22回になります。

同じ年会費を払っていても利用回数は減ります。

一方、夏でも比較的涼しいゴルフ場なら、30回近く利用できるかもしれません。

会員権を購入する人にとって、

年間何回利用できるか

は重要です。

猛暑によって夏場の利用が難しくなれば、そのゴルフ場の会員権の実質的な利用価値が下がる可能性があります。

年会費との関係でも重要になる

ゴルフ会員権を持っていると、通常は毎年年会費がかかります。

例えば年会費が6万円だとします。

年間30回利用するなら、単純に1回当たりに置き換えると2000円です。

猛暑によって年間15回しか利用しなくなれば4000円です。

もちろん年会費は利用回数に応じて支払う料金ではありません。

しかし会員側から見れば、利用回数が減るほど保有コストの負担感は大きくなります。

夏場も利用しやすいゴルフ場なら年間利用回数を維持しやすく、会員権を持つメリットも感じやすくなります。

猛暑は低地のゴルフ場に新しい課題を生む

標高の低いゴルフ場が直ちに不人気になるわけではありません。

都心から近いという強いメリットを持つコースもあります。

しかし夏の暑さがさらに厳しくなれば、暑さへの対応がゴルフ場の競争力に関係する可能性があります。

例えば、

早朝プレーを充実させる

休憩環境を改善する

暑さ対策設備を整える

カート利用を工夫する

といった対応が重要になるかもしれません。

これまではコースの整備やクラブハウスの充実が中心だった設備投資にも、暑さ対策という新しい視点が加わります。

ゴルフをする時間帯も変わる可能性がある

猛暑が続けば、どこのゴルフ場でプレーするかだけでなく、何時にプレーするかも変わります。

真昼の気温が非常に高くなるなら、早朝の涼しい時間帯からスタートする需要が増えるでしょう。

例えば通常なら午前8時スタートを選んでいた人が、午前6時台を希望するようになるかもしれません。

そうなると早朝枠の予約が取りやすいゴルフ場に価値が生まれます。

つまり気候変動は、

ゴルフ場の場所

だけではなく、

ゴルフ場の運営方法

にも影響を与える可能性があります。

会員権の価値も、こうしたサービスへの対応力によって変わってくるでしょう。

涼しい地域なら無条件に有利とは限らない

もちろん標高が高ければ、すべての面で有利というわけではありません。

冬には逆の問題が起きるからです。

標高の高い地域では冬の気温が低く、積雪などによって営業できる期間が短くなることがあります。

例えば夏は快適でも冬はほとんど利用できないコースなら、年間を通した利用価値では別の評価が必要です。

そのためゴルフ場の気候価値を見るときには、

夏の涼しさ

冬の寒さ

降雪

年間営業日数

などを総合的に考える必要があります。

夏だけを見て会員権の価値を判断することはできません。

気候変動で立地評価が変わる

これはゴルフ場に限った話ではありません。

不動産でも、これまで高く評価されていなかった地域が気候変動によって注目される可能性があります。

例えば避暑地では、

夏でも比較的涼しい

という特徴そのものに経済的な価値があります。

ゴルフ場でも同じことが起こり始めています。

従来なら、

都心から何分か

高速道路のインターチェンジから何分か

が重要な立地条件でした。

そこへ、

真夏の最高気温はどの程度か

標高はどのくらいか

という気候条件が加わります。

気候が資産価値を決める要素の一つになっていくのです。

二つの会員権を使い分ける考え方もある

頻繁にゴルフをする人なら、季節によって利用するゴルフ場を変える考え方もあります。

例えば、

春と秋は都心に近いコース

夏は高原の涼しいコース

という使い分けです。

従来なら一つのホームコースを中心に利用することが一般的だったとしても、気候条件によって複数のコースを使い分ける需要が高まる可能性があります。

特に低価格帯の会員権なら、夏場用の会員権を追加で持つという選択肢も考えられます。

70万円前後の低価格帯にも需要が広がっている現在の市場では、こうした利用方法が広がる可能性もあります。

ゴルフ会員権の価値は固定されていない

ゴルフ会員権の価値は、ゴルフ場そのものが変わらなくても変化します。

例えば30年前と同じ場所に同じコースがあったとしても、

高速道路が開通した

周辺道路が混雑するようになった

都心人口が増えた

夏の気温が上昇した

といった外部環境の変化によって価値が変わります。

特に気候変動は長期的な変化です。

ゴルフ会員権を10年、20年と保有するのであれば、現在の人気だけでなく将来のプレー環境も重要になってきます。

結論

夏でも比較的涼しいゴルフ場の人気が高まっている背景には、猛暑によってゴルフ場の利用価値そのものが変化していることがあります。

ゴルフは長時間屋外で行うスポーツです。

そのため夏の気温が上昇すれば、暑さは単なる不快感ではなく、ゴルフ場を利用できる回数や季節を左右する問題になります。

標高の高い山梨県や静岡県などのコースでは、都心から多少遠くても、夏に比較的快適にプレーできることが新しい価値になります。

従来のゴルフ会員権では、都心からの距離や高速道路へのアクセスが重要でした。

これからはそこに、

標高

夏の気温

年間を通じたプレー環境

といった気候条件も加わっていく可能性があります。

一方で標高の高いゴルフ場には、冬の寒さや積雪という別の問題もあります。

したがって単純に涼しいほど価値が高いわけではなく、年間を通じてどれだけ利用できるかを見る必要があります。

気候変動が進めば、これまで不利と考えられていた都心から少し遠い高原のゴルフ場が、夏場には逆に高く評価されるかもしれません。

ゴルフ会員権の価格は、コースやブランドだけで決まるものではありません。

気温というこれまで当たり前だと思われていた環境条件まで、資産価値を左右する時代になりつつあるのです。

参考

日本経済新聞 2026年8月27日 朝刊 ゴルフ会員権値上がり 5カ月連続 低価格帯も人気

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