ゴルフ会員権はなぜ再び値上がりしているのか 16年半ぶりの高値を支える需要の変化編

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ゴルフ会員権の価格が上昇しています。

関東ゴルフ会員権取引業協同組合がまとめた2026年7月の主要150コースの平均価格は305万2000円となり、前月から0.9パーセント上昇しました。

価格上昇は5カ月連続です。

2021年4月から消費税込みの総額表示になったことを踏まえて単純比較すると、2009年11月以来、およそ16年半ぶりの高値圏にあります。

ただし、今回の値上がりで注目したいのは平均価格だけではありません。

1000万円を超える名門コースだけが上昇しているわけではなく、70万円前後の比較的低価格な会員権にも需要が広がっています。

さらに都心からのアクセス、移動時間、夏の涼しさなど、実際にゴルフ場を利用するときの価値も重視されています。

かつてのバブル期のように値上がり期待だけで買われている市場とは異なる面が見えてきます。

今回は、なぜゴルフ会員権が再び値上がりしているのかを、需要の変化から見ていきます。

ゴルフ会員権の平均価格が300万円を超えた

2026年7月の関東主要150コースの平均価格は305万2000円でした。

前月比では0.9パーセントの上昇です。

しかも上昇は1カ月だけではありません。

5カ月連続で価格が上がっています。

ゴルフ会員権市場に継続的な買い需要が入っていることが分かります。

もちろん平均価格ですから、すべてのゴルフ場の会員権が305万円程度で売買されているわけではありません。

数十万円で購入できる会員権もあれば、1000万円を大きく超える名門コースもあります。

重要なのは、複数の価格帯で需要が強まっていることです。

16年半ぶりの高値とはどういう意味か

今回の平均価格は、単純比較では2009年11月以来およそ16年半ぶりの高値圏とされています。

ただし途中で価格表示の方法が変わっています。

2021年4月から消費税込みの総額表示へ切り替わったため、過去の数字との比較には注意が必要です。

それを踏まえたうえでも、現在の会員権相場が長期間見られなかった水準まで回復していることは確かです。

ここで重要なのは、

バブル期の価格に戻った

という意味ではないことです。

日本のゴルフ会員権は1980年代後半から1990年代初めのバブル期に極端な高値を付けました。

現在の300万円台という平均価格は、その時代とは市場環境も価格水準も大きく異なります。

名門コースへの需要が強い

現在の相場を支えている一つの要因が、高価格帯の名門コースへの需要です。

会員権取引大手の桜ゴルフによると、買い注文件数を売り注文件数で割った買い倍率は、500万円以上1000万円未満の価格帯で1.14倍となりました。

前月は0.65倍でした。

1倍を超えるということは、単純には売り注文より買い注文の方が多い状態を示します。

さらに1000万円以上の価格帯でも1.04倍でした。

高額な会員権にも買い需要が入っていることが分かります。

富裕層が名門コースを買う理由

高額なゴルフ会員権では、単純なプレー料金の安さだけが購入理由ではありません。

例えば名門クラブには、

コースの質

歴史

ブランド

会員層

予約環境

クラブ競技

希少性

など複数の価値があります。

さらに首都圏ではアクセスも重要です。

頻繁に利用する人にとって、片道30分や1時間の違いは年間では大きな時間差になります。

そのため高所得者や企業経営者など時間を重視する人にとっては、高額でもアクセスの良い名門コースを選ぶ合理性があります。

神奈川県の名門コースが注目される理由

今回の記事では、神奈川県の名門コースの伸びが目立ったとされています。

例として挙げられているのが、横浜市の磯子カンツリークラブや神奈川県厚木市の厚木国際カントリー倶楽部です。

背景には都心からのアクセスがあります。

ゴルフ場では地図上の距離だけでなく、実際に何時間で往復できるのかが重要です。

特に週末には高速道路や一般道路の渋滞があります。

ゴルフ場までの距離が多少短くても、毎回激しい渋滞に巻き込まれれば利便性は低下します。

神奈川県の一部のコースでは、首都圏の他県へ向かう場合と比較して移動時間を抑えやすいことが評価されています。

時間そのものが会員権価格に反映される

例えばAゴルフ場まで片道1時間、Bゴルフ場まで片道2時間かかるとします。

往復では2時間の違いです。

年間30回利用すれば、

2時間掛ける30回で60時間

の差になります。

10年間なら600時間です。

会員権を頻繁に利用する人ほど、この時間差は大きくなります。

そのためゴルフ会員権市場では、

都心から近い

高速道路からアクセスしやすい

渋滞の影響を受けにくい

といった条件が価格に反映されます。

購入者はコースだけでなく、自分の時間も買っていると考えることができます。

今回は低価格帯にも需要が広がっている

今回の相場で特に興味深いのが、低価格帯の動きです。

これまで軟調だった70万円前後の会員権にも、徐々に引き合いが強まっています。

これは高額な名門会員権だけが値上がりしている相場とは意味が違います。

例えば会員権価格が70万円程度なら、名義書換料や取引手数料などを加えても、コースによっては総額100万円程度から会員になることができます。

数千万円の名門会員権には手が届かなくても、100万円程度なら購入を検討できる人は大幅に増えます。

購入者層が広がることで、低価格帯にも需要が入っているのです。

ゴルフブームが会員需要につながる

近年のゴルフ人気も会員権市場を支える要因になっています。

ゴルフを始めたばかりの段階では、毎回さまざまなゴルフ場をビジターとして利用する人も多いでしょう。

しかしプレー回数が増えてくると、

ホームコースを持ちたい

クラブ競技に参加したい

メンバー料金でプレーしたい

予約を取りやすくしたい

という需要が生まれます。

つまりゴルフ人口が増えたからといって、すぐ会員権価格が上がるわけではありません。

ゴルフを始めた人の一部が継続的なプレーヤーになり、さらに会員になりたいと考える段階まで進むことで、会員権需要につながります。

100万円という価格が入り口を広げる

低価格帯の会員権では、本体価格だけを見るのではなく総額で考える必要があります。

例えば、

会員権価格70万円

名義書換料20万円

取引手数料5万円

その他の費用5万円

なら、総額は100万円です。

もちろん実際の費用はゴルフ場によって異なります。

それでも総額100万円程度なら、

高級な金融資産

というより、

趣味のための大型支出

として考える人も出てきます。

自動車や高級時計、旅行などに数十万円から数百万円を使うのと同じように、趣味への支出として会員権を購入する層が広がれば、市場の裾野も広がります。

会員権には利用価値と資産価値がある

ゴルフ会員権の特徴は、購入後に実際に利用できることです。

例えば100万円で会員権を購入し、10年間そのゴルフ場を利用したとします。

10年後に80万円で売却したとしても、単純に20万円損をしたとはいえません。

10年間、会員としてゴルフ場を利用した価値があるからです。

逆に10年後に150万円へ値上がりしていれば、利用したうえで売却価格も上昇したことになります。

この、

使える

売れる

という二つの性格がゴルフ会員権の特徴です。

猛暑も人気コースを変え始めている

近年の猛暑もゴルフ場選びに影響しています。

ゴルフは長時間屋外で行うスポーツです。

夏の気温が上昇すると、真夏のプレーそのものが大きな負担になります。

そこで注目されるのが、標高が高く比較的涼しい地域のゴルフ場です。

今回の記事でも山梨県や静岡県のコースの人気が高まっているとされています。

従来なら、

都心から遠い

という点が弱みだったゴルフ場でも、

夏に比較的快適にプレーできる

という新しい価値が生まれています。

気候が会員権価格を左右する時代になる可能性

ゴルフ会員権の価格は、これまで主に、

ブランド

コースの質

都心からの距離

会員数

予約の取りやすさ

などによって評価されてきました。

しかし今後は気候も重要になる可能性があります。

例えば都心から1時間のゴルフ場でも、7月から9月まで暑すぎてほとんど利用できなくなれば、年間利用価値は低下します。

一方、片道1時間30分でも夏場に快適に利用できる高原のゴルフ場なら、年間のプレー回数を増やせるかもしれません。

猛暑が長期化すれば、標高や夏の気温が会員権価格を左右する立地条件の一つになっていく可能性があります。

バブル期との最大の違いは何か

現在の値上がりを見ると、

またゴルフ会員権バブルになるのではないか

と考える人もいるかもしれません。

しかし現時点で今回の値上がりをバブル期と同じものと考えるのは早計です。

バブル期には、

値上がりするから買う

という投機的な需要が会員権価格を大きく押し上げました。

一方、現在の需要には、

都心から近いコースを頻繁に利用したい

低価格帯でホームコースを持ちたい

夏でも比較的涼しいコースを利用したい

といった具体的な利用目的が見えます。

価格上昇の背景に実際の利用需要があることは、バブル期との重要な違いです。

今後は買い倍率を見る

今後の相場を見るうえで一つの参考になるのが買い倍率です。

買い倍率は、

買い注文件数を売り注文件数で割る

ことで求めます。

1倍を超えていれば、買い注文の方が多い状態です。

今回、500万円以上1000万円未満では1.14倍でした。

この状態が続けば価格には上昇圧力がかかりやすくなります。

反対に1倍を大きく下回り、売り注文が増えてくれば、価格上昇の勢いが弱まる可能性があります。

単純な平均価格だけでなく、売りたい人と買いたい人のバランスを見ることが重要です。

低価格帯の動きも重要になる

今後もう一つ注目したいのが低価格帯です。

名門会員権だけが上昇するのであれば、一部の富裕層による需要と考えることができます。

しかし70万円前後の会員権まで継続的に上昇するのであれば、市場参加者の裾野が広がっている可能性があります。

特に、

総額100万円程度で始められる

という価格帯が維持されるかは重要です。

会員権価格が上昇し、名義書換料などを含めた総額が大幅に高くなれば、新しい購入者が入りにくくなる可能性もあります。

値上がりそのものが将来の需要を弱めることもあるのです。

ゴルフ人口だけでなく利用頻度を見る

ゴルフ会員権市場では、単純なゴルフ人口だけを見るのも十分ではありません。

年に1回プレーする人が100万人増えても、会員権需要への影響は限定的かもしれません。

一方、年間20回や30回プレーする人が増えれば、

会員になった方が便利ではないか

と考える人も増えます。

したがって今後の会員権相場を見るには、

ゴルフをする人が何人いるか

だけでなく、

どのくらい頻繁にプレーしているか

を見る必要があります。

利用頻度の高いゴルファーが増えることが、会員需要の持続性につながります。

値上がり目的の買いが増えていないかも重要

現在は利用需要が相場を支えている面がありますが、価格上昇が続けば市場の性格が変わる可能性があります。

例えば、

ゴルフ場を利用したいから買う

のではなく、

来年もっと高くなるから買う

という人が増えてきた場合です。

値上がり期待による購入が増えれば、価格上昇そのものが次の需要を作るようになります。

これは過去のバブル期に見られた現象です。

したがって相場を見るときには、

いくら上がったか

だけでなく、

誰が何のために買っているのか

を見ることが重要になります。

結論

ゴルフ会員権が16年半ぶりの高値圏まで上昇している背景には、複数の需要の変化があります。

一つは、富裕層などによる名門コースへの強い需要です。

500万円以上1000万円未満の価格帯では買い倍率が1.14倍となり、1000万円以上でも1.04倍となっています。

さらに今回の特徴は、高価格帯だけではありません。

70万円前後の低価格帯にも需要が広がり、名義書換料などを含めて総額100万円程度からホームコースを持てる手軽さが評価されています。

また都心からのアクセスや渋滞の少なさによる時間価値、猛暑でも比較的快適にプレーできる山梨県や静岡県などの気候価値も重要になっています。

つまり現在のゴルフ会員権市場では、

ブランド価値

時間価値

価格の手頃さ

気候価値

という複数の要素が需要を支えています。

今後の相場を見るうえでは、平均価格だけを追うのでは十分ではありません。

買い倍率が1倍を超える状態が続くのか、低価格帯にも買い需要が広がり続けるのか、ゴルフを頻繁にする人が増えるのか、そして値上がり目的の投機的な買いが増えていないかを見る必要があります。

現在の値上がりが長く続くかどうかを決めるのは、単なる価格上昇への期待ではありません。

実際にそのゴルフ場を利用したいという需要が、どこまで持続するかが最大のポイントになるのです。

参考

日本経済新聞 2026年8月27日 朝刊 ゴルフ会員権値上がり 5カ月連続 低価格帯も人気

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