場所と時間に縛られない働き方とは何か 社員が自分に合った働き方を選ぶと生産性が高まる理由編

人生100年時代
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働き方改革というと、残業時間を減らしたり、有給休暇を取りやすくしたりする取り組みを思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかし、最近ではさらに一歩進み、会社が一律の働き方を決めるのではなく、社員自身が自分の生活や仕事に合わせて働く場所や時間を選ぶ仕組みが広がっています。

タレントマネジメントシステムを提供するカオナビでは、社員のパフォーマンスを最大化することを目的として、働く場所と時間の自由度を高める制度を導入しています。

その特徴は、単純にリモートワークを認めるだけではありません。

社員一人ひとりが、自分に合った働き方を組み合わせて選べる点にあります。

働き方を会社が決める時代から社員が選ぶ時代へ

従来の会社では、働く場所と時間は会社が決めるのが一般的でした。

朝に出社し、夕方まで会社で働くという形です。

ところが、社員の生活は一人ひとり違います。

子育てをしている人もいれば、介護をしている人もいます。通勤時間が長い人もいれば、自宅の方が集中して仕事ができる人もいます。

結婚や出産などのライフイベントをきっかけとして、それまでと同じ働き方を続けることが難しくなる場合もあります。

そこで重要になるのが、仕事に生活を合わせるのではなく、一定のルールの中で生活に合わせて働き方を調整できる仕組みです。

カオナビでは、こうした考え方からMy Work Styleという制度を導入しています。

目的は単なる福利厚生ではありません。

時間や場所にとらわれず、社員が自分のワークスタイルに合った環境を選び、より高いパフォーマンスを発揮できるようにすることです。

ハイブリッド勤務で働く場所を選ぶ

一つ目がハイブリッド勤務です。

出社勤務だけでなく、自宅や会社が許可した就業スペースでリモート勤務を選択できます。

ここで重要なのは、リモート勤務だけに統一していないことです。

自宅で集中した方がよい仕事もあれば、会社で直接話し合った方が進めやすい仕事もあります。

つまり、出社かリモートかという二者択一ではなく、仕事の内容や本人の状況によって働く場所を使い分けます。

実際、同社では全社員のリモートワーク率が78.7%となっており、5人に4人近くがリモートワークを行っています。

働く場所の自由度を高めることは、通勤時間の削減だけではなく、社員が集中しやすい環境を自分で選択できるという意味を持っています。

スイッチワークで仕事を途中で抜けられる

さらに特徴的なのがスイッチワークです。

これは勤務時間中であっても、家事や育児などのために短時間仕事を抜け、その後仕事に戻ることができる仕組みです。

勤務中をON、離席中をOFFとして柔軟に切り替えます。

たとえば子どもの学校行事に参加するため、昼間に一時間だけ仕事を抜けるとします。

従来であれば半日休暇や一日休暇を取らなければならない会社もあります。

しかし、スイッチワークであれば必要な時間だけ仕事から離れ、用事が終われば勤務を再開できます。

記事では、休校などで子どもが学校へ行けない状況の中で、自宅で仕事を続けることが難しいという社員の声が制度導入のきっかけになったことも紹介されています。

仕事を休むか続けるかではなく、途中で一時的に仕事から離れるという第三の選択肢をつくったわけです。

フレックス制度もさらに柔軟になる

働く時間そのものについても柔軟な仕組みがあります。

フレックスプラス20時間では、月間の所定労働時間をプラスマイナス20時間の範囲で調整できます。

さらにスーパーフレックスではコアタイムを廃止し、朝5時から夜10時までの間から任意の時間帯を選択して働くことができます。

毎日同じ時間に働く必要がなくなれば、家庭の予定などに合わせやすくなります。

特に子育てとの相性は良いでしょう。

子どもの発熱や学校行事のたびに有給休暇を使っていると、本当に休みたいときに有給休暇が残っていないという問題が起こります。

記事でも、スイッチワークなどを利用することで、有給休暇を自分が本当に取得したいタイミングで取得できている社員が多いとされています。

働く時間を柔軟にすることは、休暇を減らすことではなく、むしろ休暇を本来の目的で使いやすくすることにもつながります。

自由な働き方には勤怠管理が欠かせない

一方、働き方の自由度を高めるほど、会社側の勤怠管理は複雑になります。

誰が何時から何時まで働いたのか。

途中で仕事を抜けた時間はどれくらいなのか。

月間の勤務時間は適正なのか。

これらを正確に把握できなければ、制度を長く運用することはできません。

カオナビでは、自社の勤怠システムを使って勤務スケジュールや勤務状況などを社員自身が入力できるようにしています。

自由度の高い働き方と勤怠管理をセットにしているところがポイントです。

働き方改革では自由度だけが注目されがちですが、実際には自由を支える管理の仕組みがなければ制度は成立しません。

柔軟すぎる働き方にも課題がある

ただし、働く時間を自由にすれば、すべての問題が解決するわけではありません。

むしろ新しい問題が生まれる可能性があります。

その一つが、仕事と生活の境界が曖昧になることです。

いつでも働けるということは、逆に考えれば、いつまでも働いてしまう可能性があるということです。

記事では、制度開始から約六年が経過する中で、社員の平均勤務時間が最近やや長くなる傾向や、深夜勤務が増える健康リスクが課題として挙げられています。

そのため、健康状態を確認するパルスチェックなどを利用しながら、制度の健全な運用を模索しています。

自由度を高めるだけではなく、働きすぎを防ぐ仕組みも同時に必要なのです。

出社にもリモートにもそれぞれ価値がある

もう一つ興味深いのが、出社率をどう考えるかという問題です。

リモートワークを増やせば増やすほど良いとは限りません。

記事では、リモートワークはパフォーマンス最大化のための手段に過ぎず、オフラインだからこそ共有できる熱量や対面の価値も重視していると紹介されています。

そのため、現在の出社率が組織にとって本当に最適なのかを常に問い直していく考えです。

ここは働き方を考えるうえで非常に重要です。

出社そのものが目的なのではありません。

リモートワークそのものが目的でもありません。

社員と会社のパフォーマンスを最大化するために、どの働き方が最適なのかを考えることが本来の目的です。

働き方の柔軟性は採用競争力にもなる

柔軟な働き方は、現在いる社員の生産性だけに影響するものではありません。

採用にも関係します。

働く場所や時間を柔軟に選択できれば、従来の勤務制度では働くことが難しかった人も採用対象になります。

子育てや介護をしている人、会社から離れた地域に住んでいる人など、人材の選択肢が広がります。

記事では、同社が急成長段階にあり、一年間で社員数が約100人増加したことにも触れています。

柔軟な働き方の環境整備は、生産性向上だけでなく、人材確保という採用面にも恩恵をもたらしていると考えられています。

人手不足が深刻になるほど、働き方そのものが企業を選ぶ基準になっていくでしょう。

結論

場所と時間に縛られない働き方とは、単純に在宅勤務を増やすことではありません。

重要なのは、社員一人ひとりが自分の生活や仕事の状況に合わせて、働く場所と時間を選択できることです。

ハイブリッド勤務、勤務途中で仕事を抜けられるスイッチワーク、月間労働時間を調整できる制度、コアタイムのないフレックス制度などを組み合わせれば、働き方の選択肢は大きく広がります。

一方で、自由度が高くなれば勤怠管理や健康管理は難しくなります。仕事と生活の境界が曖昧になり、かえって長時間労働につながる可能性にも注意しなければなりません。

働き方改革の本当の目的は、出社を減らすことでも、勤務時間を自由にすることでもありません。

社員が最も力を発揮できる環境をつくることです。

会社が働き方を一律に決めるのではなく、社員自身が自分に合った働き方を選び、その選択を会社の制度と勤怠管理が支える。

人材不足が続く時代には、このような働き方の柔軟性そのものが、企業の生産性と採用競争力を左右する重要な経営資源になっていくのではないでしょうか。

参考

企業実務 2026年9月号 場所と時間に縛られない働き方で生産性向上を目指す

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