日本では近年、地震保険への加入率が上昇しています。大規模地震が相次いで発生したことに加え、南海トラフ地震や首都直下地震への警戒感が高まっていることが背景にあります。
一方で、加入率は地域によって大きな差があり、すべての家庭が十分な備えをしているわけではありません。
この記事では、地震保険の加入率が上昇している理由や地域差、防災意識の変化について解説します。
地震保険の加入率は年々上昇している
地震保険は火災保険とセットで加入する仕組みです。
損害保険料率算出機構によると、2024年度の火災保険契約のうち、地震保険が付帯されていた割合は全国で70.4%となりました。
これは制度開始当初と比べると大きく上昇しており、多くの家庭が地震への備えを重視するようになったことを示しています。
ただし、火災保険契約者の約3割は、依然として地震保険に加入していません。
加入率が上昇している理由
加入率が高まっている最大の理由は、大規模地震の経験です。
阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震、能登半島地震などを通じて、多くの人が地震による住宅被害や生活再建の難しさを目の当たりにしました。
また、住宅価格や建築費の上昇により、住宅を建て直す費用は以前より大きくなっています。
公的支援だけでは十分な再建資金を確保できないことが広く認識されるようになり、地震保険の必要性が高まっています。
地域によって加入率に差がある
地震保険の加入率は全国一律ではありません。
一般的には、
- 大規模地震が発生した地域
- 将来の地震発生確率が高い地域
では加入率が高くなる傾向があります。
一方、比較的地震リスクが低いと考えられている地域では加入率が低い場合もあります。
しかし、日本は全国どこでも大地震が発生する可能性があるため、「自分の地域は安全」と考えるのは危険です。
南海トラフ地震への警戒
現在、特に注目されているのが南海トラフ地震です。
政府は、今後発生する可能性がある巨大地震として警戒を呼びかけています。
発生すれば、
- 広い地域で強い揺れが起きる
- 巨大津波が発生する
- 建物の倒壊や火災が相次ぐ
- ライフラインが長期間停止する
など、甚大な被害が想定されています。
そのため、住宅の補償だけでなく、生活再建資金を確保する手段として地震保険への関心が高まっています。
防災意識の変化
以前は、「地震保険は保険料が高い」「自宅は大丈夫だろう」と考える人も少なくありませんでした。
しかし近年では、防災に対する考え方が変化しています。
住宅だけではなく、
- 家財への補償
- 非常用備蓄
- 家具の固定
- ハザードマップの確認
などを組み合わせて備える家庭が増えています。
地震保険も、そのような総合的な防災対策の一つとして位置付けられるようになっています。
加入率が高くても十分とはいえない
全国平均で約7割が加入しているとはいえ、残る約3割は地震保険に加入していません。
また、加入していても、
- 建物だけ契約している
- 家財の補償がない
- 保険金額が十分でない
といったケースもあります。
加入しているかどうかだけでなく、自分の生活に合った補償内容になっているかを確認することが重要です。
地震保険は生活再建のための備え
地震保険は住宅を完全に建て直すための保険ではありません。
被災後の生活を立て直すための資金を確保することが目的です。
そのため、公的支援や預貯金、防災対策などと組み合わせることで、より安心できる備えになります。
災害はいつ起こるか分かりません。
だからこそ、平常時に備えておくことが重要です。
結論
地震保険の加入率が上昇している背景には、大規模地震の経験や住宅再建費用の増加、防災意識の高まりがあります。
一方で、全国にはまだ加入していない家庭も多く、補償内容が十分とはいえないケースもあります。
南海トラフ地震など将来の巨大地震への備えとして、自宅の立地や家族構成に合わせて補償内容を見直し、公的支援や日頃の防災対策と組み合わせた総合的な備えを進めることが大切です。
参考
日本経済新聞夕刊(2026年8月5日)
マネー相談 黄金堂パーラー「自宅の損害に備える(下)地震保険」
日本経済新聞夕刊(2026年8月5日)
マンション、保険料安く ファイナンシャルプランナー 清水香さん