借り換えとは何か 同じ2億円の借金でも金利を下げれば会社再建が進みやすくなる理由編

経営

会社がすでに銀行やファンドからお金を借りていても、同じ借入先から最後まで借り続けなければならないわけではありません。

新しい金融機関からお金を借り、その資金で既存の借入金を返済することがあります。

これが借り換えです。

借入金の金額が変わらなくても、金利が下がれば毎年支払う利息を減らせます。

返済期間を見直せば、毎月の返済負担を軽くできる場合もあります。

特に経営再建中の企業では、借金そのものをすぐに減らすことが難しくても、借入条件を改善することで資金繰りを安定させられる可能性があります。

参考記事では、経営再建中のシードが企業価値担保権を利用して、ファンドからの2億円の借入金をりそな銀行の融資へ借り換えています。

借り換えとは何か

借り換えとは、新しく借りたお金を使って既存の借入金を返済し、借入先や融資条件を変更することです。

例えば会社がA金融機関から2億円を借りているとします。

その後、B銀行から新しく2億円を借ります。

B銀行から受け取った2億円でA金融機関への2億円を返済します。

会社の借入金残高は、借り換えの前も後も2億円です。

しかし借入先はA金融機関からB銀行へ変わります。

さらに金利や返済期間などの条件も変わる可能性があります。

借金が減らなくても意味がある

借り換えというと、借金を返したのだから借入金が減るように感じるかもしれません。

しかし新しい借入金で古い借入金を返すため、借入残高そのものは変わらない場合があります。

それでも借り換えには意味があります。

重要なのは借入金の金額だけではなく、その条件だからです。

例えば2億円を年6パーセントで借りている場合、単純計算すると年間の利息は1200万円です。

同じ2億円でも年3パーセントに借り換えられれば、年間の利息は600万円になります。

年間600万円の負担を減らせます。

会社にとって600万円の現金が残ることになります。

金利負担を減らす効果

企業にとって借入金の利息は費用です。

金利が高ければ、その分だけ利益を圧迫します。

例えば本業で年間3000万円の利益を生み出せる会社があるとします。

年間1200万円の利息を支払えば、その負担はかなり大きくなります。

利息が600万円まで下がれば、会社に残る利益や現金は増えます。

そのお金を借入金の返済に回すこともできます。

設備投資に使うこともできます。

従業員の採用や賃上げに使うこともできます。

金利を下げることは、会社の再建余力を増やすことにつながります。

返済期間を見直す方法もある

借り換えの目的は金利を下げることだけではありません。

返済期間を変更する場合もあります。

例えば1億円を5年間で返済する場合と、10年間で返済する場合を考えます。

単純化すれば、5年間で返済する方が1年間の元本返済額は大きくなります。

10年間にすれば、毎年の返済負担を小さくできます。

もちろん返済期間が長くなれば、支払う利息の総額が増える可能性があります。

そのため長ければよいわけではありません。

重要なのは、会社が生み出すキャッシュフローに合った返済計画にすることです。

高い金利には理由がある

それなら最初から一番金利の低い銀行から借りればよいように思えます。

しかし会社の信用状態によっては、それができないことがあります。

例えば経営再建中の会社を考えます。

赤字が続いている。

債務超過になっている。

銀行から通常の融資を受けにくい。

このような状況では、リスクを取って資金を提供するファンドなどから比較的高い金利で借りることがあります。

貸し手から見れば、返済されない可能性が高いほど大きなリスクを負います。

そのため金利も高くなる傾向があります。

高金利の資金調達には、それだけの理由があるわけです。

再建が進むと借入条件を改善できる

経営再建によって会社の状態が改善すると、金融機関からの評価も変わる可能性があります。

例えば赤字だった会社が黒字化します。

資金繰りが安定します。

主要顧客との取引が回復します。

事業計画通りに売上が伸びます。

こうした実績が積み重なれば、以前より低い金利で融資を受けられる可能性があります。

そこで高金利の既存借入金を、より低金利の銀行融資へ借り換えます。

会社の再建が進んだ成果を資金調達条件の改善につなげるわけです。

シードは2億円を借り換えた

参考記事では、運送業などを手掛けるシードの事例が紹介されています。

同社は過去の事業拡大が裏目に出て、多額の債務を抱え、経営再建を進めています。

2026年1月には新会社が設立され、ファンドから2億円の融資を受けていました。

その後、2026年5月に企業価値担保権を利用し、りそな銀行から2億円を借り入れました。

その資金でファンドからの借入金を返済しています。

借入残高が単純に2億円減ったわけではありません。

資金の提供者をファンドから銀行へ切り替えた借り換えです。

金利が下がれば再建しやすくなる

参考記事によると、シードが企業価値担保権を使って借りた融資の金利は、無担保で借りる場合と比べて半分程度になったとされています。

経営再建中の会社にとって金利負担の軽減は重要です。

再建には時間がかかります。

事業を立て直すための投資も必要です。

人材を確保する必要もあります。

高い利息を払い続ければ、本業で生み出した現金が金融費用として外へ出ていきます。

金利を下げられれば、その分を会社の再建に使えるようになります。

企業価値担保権が借り換えを可能にする場合がある

通常の融資では、不動産担保や経営者保証が重視される場合があります。

経営再建中の会社で、十分な不動産を持っていなければ銀行が融資しにくいことがあります。

一方、企業価値担保権では会社の事業全体の価値を踏まえて融資します。

現在の財務状態だけではありません。

顧客基盤があります。

技術があります。

ノウハウがあります。

ブランドがあります。

将来キャッシュフローがあります。

事業を再建できる可能性があると金融機関が判断できれば、新しい融資につながる可能性があります。

その資金によって高金利の既存借入金を借り換えられれば、再建をさらに進めやすくなります。

借り換えれば必ず得になるわけではない

ただし、金利が低いからといって借り換えが必ず有利とは限りません。

新しい融資に手数料がかかる場合があります。

既存借入金を期限前に返済すると費用が発生する場合もあります。

担保や保証の条件が変わることもあります。

コベナンツが設定される可能性もあります。

金融機関への定期的な情報提供が必要になることもあります。

そのため借り換えでは、表面上の金利だけではなく、融資条件全体を比較する必要があります。

返済能力が改善しなければ問題は残る

借り換えにはもう一つ重要な注意点があります。

借り換えをしても会社の事業そのものが改善するわけではありません。

2億円の借入金を別の金融機関の2億円に置き換えても、2億円を将来返済する必要があることは変わりません。

本業が赤字のままなら、いずれ再び資金不足になる可能性があります。

そのため経営再建では、

売上を回復させる

利益率を改善する

不採算事業を見直す

在庫を減らす

キャッシュフローを増やす

といった事業面の改善が必要です。

借り換えは再建そのものではなく、再建するための時間や資金余力を生み出す手段です。

金融機関のモニタリングも重要になる

企業価値担保権による借り換えでは、融資後のモニタリングも重要になります。

銀行は事業計画に沿って経営が進んでいるかを確認します。

売上は計画通りか。

利益は改善しているか。

資金繰りは安定しているか。

再建策は実行されているか。

借り換えによって金利負担を減らしても、その後の経営改善が進まなければ意味がありません。

金融機関が継続的に経営状況を確認することで、問題が起きたときに早く対応できる可能性があります。

結論

借り換えとは、新しい金融機関などから借りたお金で既存の借入金を返済し、借入先や融資条件を変更することです。

借入金の残高が同じでも、金利を下げることができれば毎年の利息負担を減らせます。

返済期間を見直せば、毎年の返済負担を軽くできる場合もあります。

特に経営再建中の企業では、金利負担を減らして手元に残る現金を増やすことが、事業を立て直すための重要な手段になります。

参考記事のシードも、企業価値担保権を活用してファンドからの2億円の借入金を銀行融資へ借り換えました。

企業価値担保権によって、現在の財務状態や不動産だけでなく、事業の将来性まで金融機関が評価できれば、経営再建中の会社でもより良い条件の資金へ借り換えられる可能性があります。

ただし、借り換えは借金を消す仕組みではありません。

重要なのは、借り換えによって生まれた資金余力を使って本業を改善し、将来キャッシュフローを増やすことです。

借金の金額だけを見るのではなく、金利、返済期間、そしてその資金によって会社がどれだけ再生できるのかまで考えることが、借り換えを理解するポイントなのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月2日朝刊 小さくても勝てる 企業価値担保に借り入れ 資産に頼らずブランド評価

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