事業承継前の資産整理とは何か 不要な資産を会社に残すと自社株評価が高くなる理由編

税理士
水色 シンプル イラスト ビジネス 解説 はてなブログアイキャッチのコピー - 1

事業承継では、後継者を決め、自社株を集中させ、経営者保証などを整理する必要があります。

それと同時に確認しておきたいのが、会社がどのような資産を持っているのかです。

長く経営している会社では、帳簿には載っているものの実際には使っていない設備や、収益を生んでいない遊休資産などが残っていることがあります。

こうした資産をそのままにしておくと、会社の実態を分かりにくくするだけでなく、自社株評価にも影響する可能性があります。

参考記事では、事業承継前の準備として固定資産台帳と現物を照合し、不良資産や遊休資産を整理することを挙げています。

事業承継は、今ある会社をそのまま後継者へ渡すだけではありません。

会社の資産を棚卸しして、次の経営者に必要なものと不要なものを整理する機会でもあるのです。

固定資産台帳と現物を確認します

会社は、建物や機械、車両、備品などさまざまな固定資産を保有しています。

こうした資産は固定資産台帳などによって管理されています。

しかし、長期間経営している会社では、帳簿上の記録と実際の資産の状態が一致していないことがあります。

参考記事では、固定資産台帳と現物を照合し、存在しない資産が残っていないかを確認することを挙げています。

たとえば、すでに廃棄した古い機械が帳簿上では残っているかもしれません。

昔使っていた備品が、現在どこにあるのか分からなくなっている場合もあります。

反対に、現物は存在していても、現在の事業にはほとんど使われていない資産が見つかることもあります。

まず会社が実際に何を持っているのかを確認する。

これが資産整理の出発点になります。

不良資産の除却を検討します

参考記事では、固定資産台帳と現物を照合したうえで、不良資産の除却を検討することを挙げています。

長い間会社を経営していると、取得した当時は必要だったものでも、現在は使用していない資産が出てきます。

設備の更新によって使わなくなった機械もあるでしょう。

事業内容の変更によって不要になった設備も考えられます。

こうした資産が帳簿上に残り続けていれば、現在の会社の実態を正確に把握しにくくなります。

そこで、実際の状態を確認しながら整理していくことになります。

事業承継をきっかけに固定資産を一つずつ確認すれば、先代経営者の時代から残っていた不要な資産を洗い出すことができます。

後継者に会社を引き継ぐ前に、会社の資産内容そのものを整理するわけです。

遊休資産とは何か

現物が存在していても、事業に十分活用されていない資産もあります。

いわゆる遊休資産です。

たとえば、以前は工場として使用していたものの、現在は使っていない土地や建物があるかもしれません。

事業縮小によって使用しなくなった倉庫などが残っている場合もあります。

参考記事では、遊休資産の売却などを検討することを事業承継前の資産整理として挙げています。

重要なのは、会社が持っている資産の金額だけを見るのではなく、その資産が現在の事業に必要なのかを考えることです。

会社にとって必要な資産であれば、後継者へ引き継ぐ意味があります。

一方、今後も使用する予定がない資産であれば、保有し続ける必要があるのかを検討する余地があります。

不要な資産を売却する意味

遊休資産を売却すれば、会社が保有する資産の中身が変わります。

参考記事では、遊休資産の売却を検討することで、会社の資産内容を整理するという考え方が示されています。

ただし、参考記事は、資産を売却すれば必ず自社株評価が下がるという単純な説明をしているわけではありません。

資産を売却すれば、その対価として現金などを受け取ることもあります。

また、売却によって利益や損失が生じることもあります。

したがって、遊休資産の売却は自社株評価を機械的に下げるための方法と考えるのではなく、事業承継前に会社の資産構成を整理する取り組みとして考えることが重要です。

何を残し、何を整理するのかを会社の実態に合わせて判断します。

純資産価額と自社株評価には関係があります

非上場会社の株式には、上場株式のような市場価格がありません。

そのため、相続や贈与などでは一定の方法によって株式を評価することになります。

参考記事では、自社株の評価について、会社の純資産や収益力などを踏まえて考える必要性が示されています。

会社に多くの資産が蓄積されていれば、それが自社株評価に関係する場合があります。

特に会社の資産と負債を基礎として株式価値を考える場合には、会社にどのような資産が存在するのかが重要になります。

だからこそ事業承継前には、会社の資産を正確に把握する必要があります。

帳簿上の数字だけではなく、現物まで確認することが重要になるのです。

資産が多ければよい会社とは限りません

会社の貸借対照表に多くの資産が載っていれば、一見すると財務内容の良い会社に見えるかもしれません。

しかし、事業で活用されていない資産まで大量に持っていることが、必ずしも効率的な経営とは限りません。

重要なのは、その資産が今後の事業に必要なのかという視点です。

後継者がこれから成長させたい事業に必要な工場や設備であれば、会社に残す意味があります。

一方、今後使う予定のない土地や設備であれば、そのまま保有することが適切なのかを検討する必要があります。

事業承継は経営者が交代する大きな節目です。

だからこそ、先代経営者の時代に積み上がった資産をそのまま引き継ぐのではなく、次の経営に必要な資産構成へ整理する機会になります。

資産整理と節税を混同しないことが重要です

参考記事全体を通じて重要なのは、事業承継を節税だけで考えないという点です。

自社株評価を下げることだけを目的として会社の資産を動かせば、本来必要な資産まで失う可能性があります。

事業承継で最も重要なのは、後継者が会社を安定して経営できる状態をつくることです。

そのため、まず後継者を決め、経営権を整理し、会社の財務状態や資産内容を確認します。

その過程で不良資産や遊休資産が見つかれば、整理を検討します。

その結果として自社株評価にどのような影響があるのかを確認するという順番になります。

税金を減らすために資産を整理するのではなく、会社を次世代へ引き継ぎやすい状態にするために資産を整理するという考え方が重要です。

後継者に何を引き継ぐのかを考えます

事業承継では、自社株を渡せば会社の承継が終わるわけではありません。

後継者は会社が保有する資産や負債、従業員、取引先との関係などを含めて経営を引き継ぎます。

会社に不要な資産が大量に残っていれば、その管理も後継者の仕事になります。

反対に、資産内容が整理されていれば、後継者は会社の財務状態を把握しやすくなります。

参考記事が固定資産台帳と現物の照合や不良資産の除却、遊休資産の売却を事前準備として挙げているのは、事業承継を会社全体の棚卸しとして捉えているからです。

何を後継者へ残すのか。

何を先代の時代に整理しておくのか。

これを考えることも事業承継の重要な作業なのです。

結論

事業承継前の資産整理とは、会社が持っている資産を確認し、次の経営に必要なものと整理すべきものを見極める作業です。

参考記事では、固定資産台帳と現物を照合し、存在しない資産が残っていないかを確認したうえで、不良資産の除却や遊休資産の売却などを検討することが示されています。

会社の資産内容は、自社株評価とも無関係ではありません。

そのため、事業承継前に会社の資産を正確に把握することが重要になります。

ただし、不要な資産を売却すれば必ず自社株評価が下がるという単純なものではありません。

大切なのは節税を目的として資産を動かすことではなく、後継者が引き継ぐ会社の中身を整理することです。

固定資産台帳と現物を確認する。

不良資産を整理する。

使っていない遊休資産について今後も保有する必要があるのかを検討する。

そして整理後の会社の財務内容と自社株評価を確認する。

事業承継前の資産整理とは、先代経営者の時代に積み上がった会社の資産を棚卸しし、次の世代が経営しやすい会社へ整えてからバトンを渡すための準備なのです。

参考

企業実務 2026年9月号 貸付用不動産の評価方法見直しが変える社長の相続・事業承継対策の実務

タイトルとURLをコピーしました